断食繰り返すと長生き?

断食繰り返すと長生き? 京大、線虫で解明

一時的に栄養を与えない“断食状態”を繰り返すと線虫の寿命が延びるメカニズムを、
京都大の西田栄介教授らのチームが遺伝子レベルで解明し、15日付の英科学誌
ネイチャーに発表した。

Rhebというタンパク質がインスリンに似た物質を活性化して代謝を変化させ、寿命
を制御していた。
線虫だけでなく、ラットなど哺乳類も食事を制限すると老化が遅れるが、詳しい
仕組みは謎。
西田教授は「人の寿命が決まる仕組みや動物の冬眠などにも、同じタンパク質が関係
しているかもしれない」と話している。

線虫は土壌などにすむ体長約1ミリの線形動物
遺伝子解析が進んでいるため生命科学研究のモデル生物として利用されている。

チームは、線虫が食べる大腸菌を2日間隔で与えると、毎日食べる線虫と比べ、平均
寿命が20日から30日に延びるのを確認した。
詳しく調べると、Rhebが働いて老化抑制や代謝調節にかかわる複数の遺伝子の
スイッチを入れていた。
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http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008121501000393.html

<コメント> 
■線虫は寿命が二十数日と短いため、老化のモデル生物として以前から注目されて実験
に使われてきました。
■今回の研究では、栄養状態に応じて細胞の反応と働きに関与しているタンパク質の
一つRhebの働きを止めると、断続的絶食でも寿命は延びなかったよいうことです。
したがってRheb(レブ)は断続的絶食状態で寿命を延ばすように働くらしいという
結論になりました。
■しかし、同様にRhebの働きを止めた線虫に継続して食事を与えると、今度は逆に
寿命が延びるという不思議な現象もみられたとのこと。
本来は食事制限によって活性化することが分かっている別の遺伝子が働くようになり、
寿命延長の効果が生じたとみられる。
■これらのことから、Rhebは老化を防ぐ単純な「長寿因子」ではなく、老化に関し
複雑な経路で働いているらしい。
■人でもRhebと同様の遺伝子があり、老化の制御にかかわっているとみられています。
■結局、老化にはさまざまな要因があるので、(断続的な絶食で)人でどうなるのかは
分からないが、複雑な老化のメカニズムに迫る糸口になるということのようです。
■今回の実験結果から、研究チームは、Rhebが、がんや糖尿病などのうち老化による
疾患にかかわっている可能性があると推察。
こうした病気の研究につながる成果としている。


哺乳(ほにゅう)類でも、食事をとったりとらなかったりする状態にすれば、老化を防ぐ
作用があるとされ、動物を使った実験でも確認されているとのこと。
ラマダーン月に行われるイスラム教徒の義務の一つ「断食(サウム)」も意味のあること
かも知れません。

<自遊時間>
「わたしは身をかわすのが結構うまい。君たちの質問に対しての話だが」とジョークを飛ばす
余裕を見せた。
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