円形脱毛症

円形脱毛症」は、重症化すると髪の毛だけでなく眉毛まで、すべての毛が抜ける
精神的にもとてもつらい病気です。
しかし、その原因は解明されておらず、完治する治療法もありません。
「生命にかかわる病気ではない」ということもあって研究はさほどさかんでは
ありませんでした。
かかる年齢は大人だけでなく子どもでもなります。
髪の毛がふさふさ生えていて当然といった年齢でなってしまうだけに、その悩み
は深いといえます。


■リンパ球による毛根への攻撃
円形脱毛症」は、ある日突然、前ぶれもなく一気にバサッと髪が抜けるのが
特徴です。
脱毛するのは1か所のこともありますが、数か所に起こったり、頭髪だけでなく
全身の毛がすべて抜け落ちてしまうこともあります。
そして毛が生えている部分と境界のはっきりした脱毛です。
 
円形脱毛症は、免疫機能を担う「リンパ球」の働きの異常によって起こる
「自己免疫障害」であると考えられています。
リウマチと同様の自己免疫疾患の一種といえます。
この「免疫機能」とは、ウイルスや細菌などの異物が体内に侵入すると、それ
を攻撃し、排除しようとする働きです。

本来は、外敵から身を守るために働くリンパ球が、何らかの理由で、毛根を
異物と勘違いし、攻撃することで円形脱毛症が起こります。
この脱毛メカニズムは、攻撃された毛根で、髪の毛の元となるたんぱく質
つくり出す「毛母細胞」などが死んでしまうためです。

免疫の仕組みに異常が起こるのは、遺伝的素因に何らかの誘因が加わったとき
と考えられています。

発症の引き金(誘因)としては、「ストレス、自律神経失調症、アレルギー疾患
感染症」などが考えられます。

■薬と物理化学療法の組み合わせで治療
円形脱毛症を発症したら、なるべく早く専門医を受診することが大切です。

軽症の場合はコイン大の脱毛で済み、自然に発毛して治ることがよくある
(自然治癒)ので、しばらくの間様子を見ることもあります。

しかし、その後も発毛しなかったり、さらに脱毛が増えたときは、治療が
行われます。
また、急激な脱毛がみられる場合は、なるべく早く治療を受けることが必要
です。
 
治療は、「薬物療法」と「物理化学療法」が中心です。
薬物療法は、症状の程度にかかわらず行われるもので、ステロイド、血管
拡張剤、抗アレルギー剤、免疫抑制剤などの薬が用いられます。

一方の物理化学療法は、頭皮に人工的な刺激を与えることで、リンパ球の
異常な働きを抑えたり(紫外線療法、局所免疫療法)、血行を促進して発毛
を促す治療法(液体窒素)です。
脱毛部分が大きいときや重症の場合に行われ、薬物療法と併用されることも
あります。

効果には個人差があり、改善の兆しが出ても再発率は70%以上です。
特に、思春期以前に発症すると、重症化したり長期化する例が多いと
いわれます。

■周囲の理解も大切
円形脱毛症は、命にかかわる病気ではないため軽視されがちですが、本人や
家族にとっては深刻な悩みとなっています。

特に、子どもの場合は脱毛をからかわれて深く傷つくことがあるので、医師
と協力して教師や友達に病気を正しく理解してもらい、本人が積極的に治療
できるように、環境を整えることも大切です。

<参考および引用サイト>
髪いきいき! ヘアケア最前線 / 円形脱毛症の対処法 2003.6.11
http://www.nhk.or.jp/kenkotoday/2001/20030611/index.html
(「円形脱毛症の種類」「薬物療法」「物理化学療法」の図をみることが
できます。)

お答えします! 薄毛・抜け毛の悩み 円形脱毛症 2004.9.15
http://www.nhk.or.jp/kenkotoday/2001/20040915/index.html

<番外編>
歯磨きがインフルエンザ予防の新常識!
http://allabout.co.jp/health/oralcare/closeup/CU20070130A/
「歯磨きでインフル発症率10分の1」は本当?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090306-00000002-cbn-soci