抗原を攻撃 研究次々

抗原を攻撃 研究次々

がんの治療といえばこれまでは、手術、抗がん剤治療、放射線治療の三つだった。
最近、これに免疫療法が加わりつつある。
 
免疫細胞は、ウイルスや細菌など外敵から身を守る。
体の中の異物であるがん細胞を免疫細胞の力でやっつけようとするのが、がん免疫療法だ。
 
人間の体は、過去に侵入したウイルスなどの異物を覚えている。
再び侵入したときに、免疫細胞の「Bリンパ球」と「Tリンパ球」が相手が持つ特定の目印「抗原」をめがけて攻撃する。
1960年代に米国のマックス・クーパー、豪州のジャック・ミラーの両博士がその役割を明らかにした。
 
以前もこうした免疫細胞を使った治療が試みられてきたが、うまくいかなかった。
最近、問題を解決する新たな手法が次々と開発された。
日本人による研究が大きく貢献している。
 
免疫を抑制する制御性T細胞があることを大阪大の坂口志文氏が、T細胞表面に活動を抑えるブレーキ役となる分子を京都大の本庶佑氏がそれぞれ見つけた。
そうした研究をもとに治療薬も開発され、ノーベル賞級の業績といわれている。

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2018.5.16