脱水対策

冷房効いた屋内でも水分補給 乳幼児・高齢者は注意

気象庁によると、2018年4~6月の気温は平年に比べ高くなる見込みという。
脱水対策は通常、暑い夏の熱中症予防の位置づけだが、春のうちからも必要だ。
脱水症状の気づき方や予防法などにはどのようなものがあるだろうか。
 
春先から気をつけたいのが脱水対策。
季節の変わり目は自律神経のバランスが崩れ、暑さに順応しにくい。
急激な暑さは脱水を招きやすくなる。
 
脱水とは、体の中の水分と塩分などの電解質が不足した状態。
体重の1~2パーセント相当が減るとのどの渇きや尿量の減少がみられ、体重の3~9パーセント分が減ると、全身の倦怠感や頭痛、めまい、血圧の低下などが起こる。
 
脱水が怖いのは、血液の流れる量が減り、心筋梗塞脳梗塞の原因になることだ。
 
特に注意が必要なのが高齢者。
総務省消防庁の「熱中症による救急搬送状況」では高齢者が約半数を占める。
その理由は、加齢により体液の貯蔵庫でもある筋肉量が減り、体に水分を蓄えにくくなる。
腎臓の機能も落ち、体内に水分や電解質を留める力も低下する。
 
高齢者は食べる量が減り、のどの乾きを感じにくくなるのに加え、頻尿や失禁を恐れて水分や電解質を十分に摂取しない傾向がある。
服用する薬の影響で、脱水を助長する場合もある。
 
一方で乳幼児は大人に比べると多くの水分が必要だが、体重に比べて体表面が大きく、気づかぬうちに水分を失いがちだ。
発汗や腎臓の機能が十分に発達しておらず、脱水を起こしやすい」。自分ではのどの渇きを訴えられない乳児の場合、機嫌が悪いといったサインを見逃さないことが大切だ。

脱水の最大の予防策は、こまめに水分と塩分をとること。
発汗以外に呼気や皮膚から水分が出る「不感蒸泄」は、成人で1日約500~900ミリリットルに上る。
脱水というと暑い中での作業時に起きる症状というイメージがあるが、エアコンの効いた屋内でも起こる。
 
乾燥した空気や扇風機の風などにより、不感蒸泄の量が増える一方、暑くないから大丈夫と考え十分な水分を摂取しないと起きる。
特に高齢者は、喉が渇かなくても水分補給をする必要がある。
 
水分補給のタイミングは、就寝や入浴、運動の前後と運動中、外出前や飲酒後。
外出の前や食欲がない時、下痢の時は経口補水液を飲むとよい。
 
ミネラルウオーターなど水分のみの摂取だと、塩分が薄まって塩分欠乏タイプの脱水になる可能性がある。

高齢者は特に、塩分欠乏性脱水が幻覚や幻聴などのせん妄を引き起こし、判断力を低下させてさらに脱水になるという悪循環に陥る。
 
効果的に水分と塩分を吸収するには、経口補水液が適している。
適度な塩分とその吸収を促す糖分がバランスよく含まれるためだ。
スポーツドリンクは経口補水液に比べ、塩分が少なく糖分が多い。
水分補給の目的で飲み過ぎないようにしよう。
 
食事をしっかりとることも脱水予防につながる。
通常、成人が1日に摂取する水分は約2.5リットルで、うち1リットルは食事から取っている。

みそ汁やスープなら、塩分も一緒にとれる。
十分な水分を蓄えられる体にするため、適度な運動で筋肉をつけることも大切だ。

参考・引用
日経新聞・朝刊 2018.4.21