期外収縮

誰でもというわけではありませんが、多くの方はたまに胸がドクンとした感じになることがあるのではないでしょうか?
自動車のエンジンでいえばノッキングみたいなものです。
予期に反して想定外の心臓の収縮が起こることから期外収縮と呼ばれます。

#どんな病気か
期外収縮は、もともとの調律(タイミング)で心拍が生じると予想される時期より早期に生じる電気的な興奮のことを指します。
そのため、余分な心拍が現れます。
心房(しんぼう)あるいは房室(ぼうしつ)接合部から生じる期外収縮を上室(じょうしつ)期外収縮といい、ヒス束(刺激を伝える筋線維)より下部の心室(しんしつ)から生じる期外収縮心室期外収縮といいます。

期外収縮自体は放っておいてもよい不整脈ですが、期外収縮が引き金になって頻拍(ひんぱく)が起こる場合や、期外収縮による自覚症状が強い場合には治療の対象になります。

#原因は何か
自律神経の異常によって起こることが多いようですが、原因がはっきりしないこともあります。
病的な心臓だけでなく健常な人にも生じます。
アルコールの飲みすぎ、カフェインの過剰摂取、睡眠不足、疲労、ストレス、喫煙などが誘因になります。

加齢も原因の一つです。
生理学的には、大部分の期外収縮は自動能亢進で生じ、僧帽弁(そうぼうべん)や肺静脈などの発生組織によっては激発活動で生じると考えられています。
また、場合によっては回帰収縮(リエントリー)で生じることもあります。
これは、心臓に異常な基質(細胞、回路)がある場合に起こります。
心臓病に合併して起こることもあります。
この場合には心臓の一時的な停止による軽い失神(ブラックアウト)を起こすこともあります。

#症状の現れ方
期外収縮の症状はさまざまで、患者さんの感受性によって強弱も違います。
ドキッとする、クーッとする、モヤモヤするなどと表現されます。
中には咳として症状が現れる人もいます。
そのような症状を自覚する時に脈をみると、脈が抜けていることで期外収縮と判断されることが多いようです。
上室期外収縮心室期外収縮とでは、自覚症状の差はありません。
 
自覚症状の強弱は、先行する心拍のあと、どのくらいの時間(連結期)で期外収縮が現れるかによって左右されます。
 
次の正常心拍が現れる時期に近いタイミングで、長い連結期をもって期外収縮が現れる時には、前後の心拍の出現時間に著しい差はないために、期外収縮はほとんど自覚されません。
逆に先行心拍に近く、短い連結期で生じる期外収縮は、起源がどこであっても、強く症状を感じます。
 
敏感な人では1発の期外収縮を的確に自覚します。
しかし、一般に期外収縮の出現数が1日に2万発、3万発あるような人は期外収縮による症状を自覚しないことが多く、むしろ1日数百発から数千発出現する場合に症状を強く自覚します。
健常な人でも自分の年齢数くらいは期外収縮が現れてもおかしくありません。
全く自覚症状のない場合もあります。
また、出現回数が多いと心臓の空打(からうち)が多くなる結果
心臓は拍動していても止まっているのと同じ血液の送り具合となります。
たとえば70回/分で打って(拍動して)いても40~50回で打っているのと同じことになってしまいます。
そのような場合には動いたときの息切れとなって自覚することがあります。

#検査と診断
正確な診断は心電図で行います。
上室期外収縮は、洞調律あるいは基本調律のQRS波とほぼ同一のQRS波が早期に現れます。
よくみると先行T波の前後に異所性P波が見つかります。
心室期外収縮は、洞調律の時とはまったく違うQRS波形を示し、先行するP波がなく、洞調律(どうちょうりつ)の周期より早期に現れます。

専門的になってしまいますが、その他に接合部期外収縮というものもありますが、上室期外収縮に含む場合があります。

検査は期外収縮の出現頻度と出現形態をみるために、ホルター心電図(24時間心電計)を行います。
患者さんの年齢数くらいの出現は生理的な範囲と考えられます。
1日3千発未満を散発性(さんぱつせい)期外収縮、3千発以上を頻発性(ひんぱつせい)期外収縮としています。

運動によって増えるか、あるいは減るかを検討するために、トレッドミル運動負荷試験を行います。
トレッドミルの代わりにマスター2階段負荷試験でも十分検討できます。

運動をすると期外収縮が頻発する場合には、期外収縮の連続による頻拍や持続性の頻拍が生じる可能性があるので、運動はひかえるようにします。
逆に、運動によって期外収縮がなくなる場合には、運動制限をする必要はありません。

また発生源が沢山ある場合には多源性期外収縮、正常な収縮と期外収縮との感覚がほとんど変化しない場合は間入性期外収縮といい、期外収縮によって正常な収縮が相殺されて大幅に変化する場合は代償性期外収縮と呼びます。
しかし多くの場合では良性ですので過剰な心配は無用です。

#治療の方法
単発の期外収縮自体を治療する必要はありませんが、症状が強い時にはまず抗不安薬を投与します。
それでも症状がある場合には抗不整脈薬を使うことになります。

一般には、自動能亢進で期外収縮が起こりやすいので、自動能を抑えるナトリウムチャネル遮断薬を投与します。
心室性期外収縮の場合は、どの抗不整脈薬でも使えますが、上室性期外収縮の場合は、非活性化ナトリウムチャネル遮断薬のリドカインとメキシレチンは効果がありません。
期外収縮自体の予後は良好です。
しかし、期外収縮が引き金になって致死的な頻拍が生じることがあります。
このような場合の期外収縮は治療が必要です。
高周波カテーテル・アブレーションで期外収縮の起源を焼灼(しょうしゃく)することがあります。

#病気に気づいたらどうする
期外収縮自体は良性の不整脈であり、誰にでも起こります。
ですから期外収縮を指摘されただけならば、日常生活に制限はありません。
ただし症状が強かったり、頻拍の引き金になる場合には治療が必要なので、循環器内科を受診してください。

期外収縮は他の不整脈と同様に、お酒の飲みすぎ、睡眠不足、疲労、ストレスによって悪くなるので、これらのリスクを避けるように心がけてください。


<自遊時間> 
イチロー!!!
■4月15日は黒人初の大リーガー、故ジャッキー・ロビンソンのデビューから62年目の記念日となり、全選手がロビンソンの背番号「42」をつけた。
胃かいようで欠場していたマリナーズイチローが「1番・右翼」で今季初出場。
2安打をマークして日米通算安打数を3085本とし、張本勲氏(元ロッテなど)の日本プロ野球最多安打記録に並んだ。
イチローは三回の第2打席で中前打、七回の第5打席で満塁本塁打を放った。
http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/major/news/20090417k0000m050093000c.html

■ -通算3085安打目となる満塁弾には。
 「悪くないな、と思いながら(ベースを)回った。ジュニア(グリフィー)の(マリナーズでの通算)400号と同じ日に、張本さんの数字と、エンディ・チャベスと僕のメジャーで最も(体重の)軽い2人によるアベックホームラン。いろんな思いがありました」
 -これからの自分の記録は後輩たちの目標になるか。それとも誰も追いつけないと思わせるところまで持っていきたいのか。
 「その質問は、僕がもうちょっとおっさんぽくなってから聞いてください」
 -日米通算1000打点も達成した。
 「あ、そうですか。打点のことは全く頭になかったですね」
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sports/159452.html

■「でも抜きたかったですねえ。張本さんが試合前に“2本はいけそうだな”とかって何か嫌らしい感じで言ってたんで。3本打ちたかったですね。残念でした」
試合後、張本氏の“大あっぱれ”の言葉を伝え聞いたイチローは「そうですか!いただきましたねえ、それは。ごちそうさまです」と子供のように笑った。「これで悪い感じだって言ったら怒られますからね。それこそ“喝だ!”って言われちゃいますから」


■チームも快勝し、試合後のテレビのインタビューでは終始上機嫌だった。「持ってますね」と振られると、「それは僕が言うセリフでしょ」と笑顔。
満塁弾には「必死ですよ、バットに当てるのに。最高の結果?出ましたね」と声を弾ませた。
http://www.daily.co.jp/mlb/2009/04/16/0001831000.shtml

■何という日だ。節目の記録ずくめだ。グリフィーのマリナーズ400号、イチローのタイ記録、素晴らしいことだ。ベンチは、すごい盛り上がりよう。若手がみんなイチローやグリフィーの特別さを楽しんでいる。(マリナーズ・ワカマツ監督)
■同じ野球人としてあこがれの存在。普通の人なら満塁の場面などなかなか回ってこない。スーパースターの証しだと思う。(ロッテ・西岡)
■満塁ホームランで決めるのがすごい。満塁で回ってくるし、ホームランを狙っているスイングをしていた。すごいとしか言いようがないし、感動した。 (楽天・岩隈)
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2009041600598


<コメント>
背番号「51」ではなく「42」での記録。
大リーグの歴史の重みを感じます。
大リーグといえば最多安打記録は、ピート・ローズの持つ4256安打。
気の遠くなるような数字です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ピート・ローズ
http://tomtom.iza.ne.jp/blog/entry/166569/
http://www.thanks-mlb.com/newpage68.html
http://www.geocities.co.jp/Athlete/3055/rose.html
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091201700106.html
http://circlechange.com/players/pete-rose