メタボ健診

厚労省研究班が「メタボ健診」について異議を唱えたという記事です。
そもそも、多くの反対を押し切って強行された「メタボ健診」。
壮大なる実験とか無駄遣いといわれながら多くの矛盾をはらんだまま昨春より実施されました。
多くの医療関係者や受診者は今や冷ややかな目でみています。
そもそもどのような経緯で強行されたのでしょうか。
ゆとり教育」や「卒後研修医制度実施に伴う医療崩壊」の失策について誰も責任
をとらない。
そして「厚労省研究班」からこんな話が出るのもなんだか不思議です。
座長も「国家公務員」です。
思わず自分の目を疑ってしまいました。

裁判員制度」も長続きするとは思えません。
法科大学院」「ポスドク1万人計画」も漂流しています。

3分の1に「不合格」の烙印
再編・淘汰必至の法科大学院
http://diamond.jp/series/inside/09_04_18_003/


ポスドク1万人計画と博士の就職難
http://banare.rikoukei.com/posudoku.html


メタボ健診:非肥満でも危険大 厚労省研究班が大規模調査

厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター部長)が全国の
40~69歳の男女約3万人を対象に実施した大規模調査で、肥満でなくても血圧
や血糖値など血液検査値に異常があれば、死亡の危険性が高まることが明らかになり、
日本循環器学会誌などに発表した。

国は昨年度からメタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)対策を目的に肥満に
重点を置いた特定健診を始めたが、研究班は「メタボ健診だけでは、太っていなくて
も病気を発症する危険性がある多くの人を見逃す危険性がある」と指摘。
特定健診は導入後3年で見直しされる予定で、今後の議論の大きな根拠になる可能性
が高い。

メタボと死亡率の関係について、10都府県の3万4000人を約13年追跡した。
日本人を対象にした同様の調査では、最大規模という。心筋梗塞(こうそく)など
虚血性心疾患は、メタボの場合、男性で約3倍、女性で約2倍、死亡する危険性が
高かったが、肥満ではない人でも血圧や血糖値などが診断基準を超えた場合、死亡の
危険性はメタボの人と同様に高かった。
病気の種類を問わない男性全体の死亡率もメタボの有無による違いはなかった。

また、8県の2万3000人を対象に実施した分析では、虚血性心疾患の患者のうち、
高血圧が原因で発症したと推測されるのは全体の5割近くに上った。
一方、メタボによって発症した割合は2割未満にすぎず、メタボ対策の効果は限定的
とみられる。
日本人の死因の第1位であるがんの発症にもメタボの有無は関係なかった。

津金部長は「肥満重点の対策で期待できる効果は小さく、禁煙や血圧の管理など効果
が期待できる対策を推進すべきだ。今回のデータを健診制度を見直す際に役立てて
もらいたい」と話す。

◇ことば 特定健診
メタボ対策による医療費削減を目的に、08年度から始まった。会社や国民健康保険
などの医療保険者に実施が義務づけられている。健康悪化は腹部肥満が原因との学説
に基づき、腹囲や、身長と体重で計算する体格指数(BMI)が基準値を超えたうえ、
血圧、血糖値、血中脂質の血液検査値が基準値を超えた場合、特定保健指導を受ける
ことになる。原則として40~74歳の被保険者と被扶養者が対象。

◇解説 メタボに傾斜の特定健診 予備群見落とす恐れ
厚生労働省研究班の大規模調査で、メタボに注目した現在の特定健診では、予防が
可能な病気の「予備群」を見落とす可能性が高いことが判明した。
メタボ健診については、診断基準の科学的根拠の欠如、性急な制度導入による混乱
などの問題が指摘されていたが、効果についても疑問が投げかけられた。

研究班によると、肥満が保健指導につながる第一条件となっている日本の診断基準
に基づくメタボが、死亡や循環器疾患発症に与える影響はあまり大きくない。むしろ、
今回の調査では、血圧を正常値に抑えると、脳卒中の5割以上、循環器疾患による
死亡の3割以上を予防できることが明らかになった。

研究班の磯博康・大阪大教授(公衆衛生学)は「日本では、メタボ対策で予防を
目指す虚血性疾患による死亡者自体が少ない。日本人全体の健康を守るという観点
からは、肥満対策だけではなく、肥満ではない人の健康対策にも積極的に取り組む
べきだ」と話す。

今回の調査人数は、メタボ対策と効果を分析した先行研究をはるかに上回るほか、
がんなどメタボ以外の病気による死亡も網羅している。現在の特定健診の行方を
左右する重要なデータと受け止める必要がありそうだ。