精神腫瘍医学・精神腫瘍医

精神腫瘍医学」という言葉を聞かれたことがありますか。
がんという疾患では患者さんの身体のみならず、患者さん本人はもちろんのこと、ご家族の悩みや苦しみによって生活の質(QOL)が落ちてしまいます。
そういった状態を何とかしたいということで、精神腫瘍学という心のケアを考える医療が誕生しました。

日本でも1980年代から医療の中で少しずつ認識されるようになり、その領域で働く医師は精神腫瘍医と呼ばれています。
全国的にその数は十数名しかいないのが現状のようです。


##「精神腫瘍学(サイコオンコロジー)」講座が誕生:埼玉医科大
がんと心の関係を考える「精神腫瘍学」を学ぶ講座が、全国で初めて、埼玉医科大学名古屋市立大大学院に誕生した。
がんが患者や家族の心に与える影響や、心の持ち方と生存期間との関係などを研究する。
また告知の仕方や、がんとわかってうつ状態になった患者や家族への対応などを学び、臨床現場にいかしていく。

精神腫瘍学は「サイコオンコロジー」の和訳で、サイコロジー(心理学)とオンコロジー(腫瘍学)などからなる造語。
日本サイコオンコロジー学会によると、「精神腫瘍医」として専門治療を行っている医師は、国内で数十人程度しかいないという。

埼玉医科大では大西秀樹教授(精神腫瘍科)らが担当し、医学生を対象に、精神腫瘍学の基礎や、がん患者のうつ病意識障害の出方、痛みの治療の重要性などを教える。

名古屋市立大大学院は連携大学院の形で、国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部の内富庸介部長が客員教授を務める。医師を対象に、基本的に4年間、名市大国立がんセンターで、新しいケア法の開発などを研究する。

がんになった場合、2~4割がうつ状態になると報告されており、その場合、治療に積極的になれないなどの影響が出る。
02年から診療報酬で、精神科医らがいる緩和ケアチームに加算が認められるようになった。
日本サイコオンコロジー学会も昨年から、精神科医を対象に講習会を開催しているが、人材育成が追いつかないのが現状だ。

同学会の代表世話人を務める内富さんは「患者は、抗がん剤の副作用より心の痛みの方が強いと訴える。最期までその人らしく生きるため、心のケアを提供する人材を増やすことが急務だ」と話している。
http://medical-today.seesaa.net/article/31552655.html
(一部改変)




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出典 日経新聞・朝刊 2010.1.31
版権 日経新聞




<関連サイト>
鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授 大西秀樹さん VS
「がんばらない」の医師 鎌田實
http://www.gsic.jp/support/sp_02/kvs/31/index.html
(この「がんサポート情報センター」のサイトには「がん」に関する対談など、真摯に「がん」に関する情報を集めた姿勢がみられます)

特別対談・日本のがん医療を考える
養老孟司北里大学教授、東京大学名誉教授)× 中川恵一(東京大学助教授)
http://www.gsic.jp/support/sp_02/spc/index.html
(上のサイトの中にありました。私は個人的に鎌田氏と養老氏にはある種の胡散臭さを以前から感じています。臨床医や学者(解剖学教授)ということを中途で投げ捨てて現在がある、という生き方に些かの抵抗があるのかも知れません。元整形外科医の作家・渡辺淳一氏に医学や医療を語られるのも何だか違和感があります。)


広がれ、「サイコオンコロジスト」の育成と活用
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/report/0508_1.html



埼玉医科大学国際医療センター/精神腫瘍科
http://www.saitama-med.ac.jp/kokusai/division_info/16.html
(家族外来・遺族外来というのもあるようです)

『がん患者の心を救う ―精神腫瘍医の現場から―』: 名著と対話の力
http://meityosem.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-62e0.html




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