隠れ(かくれ)肥満 その2(2/2)

昨日に続き、きょうは隠れ(かくれ)肥満の「対策」についてです。


意外!食事を抜くとかえって体脂肪が燃える!?

ダイエットというと、まず食事の量 を減らす人が多いはず。
たしかに食べすぎ状態が続くと、体脂肪が増える原因となります。
でも食事の量 を減らすため、1日2食、あるいは1食だけにするといった方法は大変な間違いです。
1日3食のうち1度でも食事をしないでいると、からだは飢餓状態に備えるため、かえって体脂肪を蓄積しようとします。
その結果 、逆に体脂肪の多いからだになってしまうのです。

●夜食も体脂肪の原因に?
では朝食を抜いて、昼食と夕食のほかに、夜食を加えて1日3食にしたらどうでしょうか。
これも間違いです。
夜の時間帯は体のエネルギー消費量 が減るので、体脂肪がたまりやすくなるからです。
同じ理由から、朝と昼は軽めにして、夜はこってりと栄養価の高いものを食べるというのも、体脂肪の増える原因となります。

体脂肪を減らすダイエットとは?

●体脂肪を減らすには、基礎代謝をアップさせるのが効果的!?
基礎代謝量というのは、何もしないでいるときにからだが消費するエネルギー量 のことです。
呼吸や心臓の拍動など、生命の維持に必要なエネルギーですが、とりわけ影響が大きいのは筋肉を維持するためのエネルギーです。
筋肉は、年齢とともに落ちていき、代わりに体脂肪が増えています。
若いころと体重が変わらない人でも、かくれ肥満が少なくないのは、このためなのです。
筋肉の衰えを防いで基礎代謝量 を高め、体脂肪を減らすというのが本当のダイエットということになります。
スポーツ選手の場合、体脂肪率が標準でも、筋肉が多いため、体重が重いことがあります。この場合は肥満ではありません。

●筋肉の衰えを防ぐには?
ダンベル体操、エアロビクス、速足のウォーキング、水泳などの有酸素運動が効果的です。
できれば週に3~4回はつづけるようにします。
体脂肪のなかでも内臓脂肪は、運動によって減らしやすいので病気の予防にも役立ちます。

●食事面では?
1日3食をかならずとるようにします。
仕事の関係などで外食の多い場合は、カロリーの高い丼物は避け、魚や野菜を中心とした品数の多い定食物にしましょう。

●まとめ
食事制限を中心とした従来のダイエットではなく、運動と組み合わせることで体脂肪のつきにくいからだをつくっておけば、リバウンドでかくれ肥満に逆戻りといった失敗もありません。


体重50kgの女性が1時間当たりに消費するエネルギーは普段の歩行では100kcal、速足では170kcal、階段昇降では220kcal、水泳では390kcal程度です。
手軽に出来る運動の中では、階段昇降が消費エネルギーも多く、足の筋肉もつきやすいのですが、傾斜が強く、狭い階段や、人通 りの多い階段でやるのは危険です。
滑りにくいスポーツシューズをはいて足下をしっかりさせ、転倒事故には十分気を付け、最初のうちは自分の歩くリズムでゆっくりやりましょう。
慣れてくると、一段とばしでも歩けるようになり、より筋肉の強化を図ることができます。

●日常生活の運動とエネルギー消費量
通勤の急ぎ足         
女性 10分で約28kcal   男性 10分で約35kcal
電車で立っている        
女性 10分で約17kcal   男性 10分で約23kcal
階段の上り下り         
女性 10分で約46kcal   男性 10分で約36kcal
自転車(普通 の速さ)      
女性 20分で約43kcal   男性 20分で約53kcal
散歩や買い物の歩行       
女性 20分で約23kcal   男性 20分で約30kcal
掃除機で掃除          
女性 10分で約23kcal   男性 10分で約30kcal
ダンベル運動          
女性 10分で約103kcal 男性 10分で約133kcal

出典 「かくれ肥満」は健康とプロポーションの大敵 (一部改変)
http://jfpa.info/wh/nichijo_yobo/himan.html





イメージ 1

(画像をクリックすると拡大します)
出典 朝日新聞・朝刊 2010.3.15
版権 朝日新聞社



イメージ 2

(画像をクリックすると拡大します)
出典 朝日新聞・朝刊 2010.3.17
版権 朝日新聞社




<番外編>

新型含む3価インフルワクチン製造へ―厚労省方針

厚生労働省は3月15日、来シーズンの流行に向けて製造するインフルエンザワクチンを、新型と季節性を混合した3価ワクチンとするよう各ワクチンメーカーに伝える方針を固めた。
同日の「厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会」で明らかにした。
最終的な製造方法はメーカー側が決定する。

3価は新型のほか、A香港型とB型。今シーズンの季節性インフルエンザワクチンはA香港型、B型、Aソ連型の3価だが、WHO(世界保健機関)の推奨通り、来シーズンには、このうちAソ連型から新型に推奨株を変更する。
 
WHOでは、3種を混合した3価ワクチンにするか、新型だけの1価ワクチンにするかの判断は各国に委ねていたが、厚労省は3価ワクチンを製造するようメーカー側に伝える。
 
15日の予防接種部会で厚労省は、3価ワクチンへの切り替えにより季節性と新型ワクチンを別々に製造するよりも効率が良く、接種を受ける人の経済的・身体的な負担軽減も見込めると説明した。

新型インフルエンザワクチンのみの接種を希望する人には、余剰が見込まれる今シーズンのワクチンを備蓄して対応する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100315-00000010-cbn-soci
医療介護CBニュース 2010.3.15

<コメント>
今シーズン、季節性インフルエンザがまったく流行しなかった現実、そして簡易試験で季節性と新型が区別できない現状で両者を混合したワクチンを製造する意味はどこにあるのでしょうか。
インフルエンザの専門家をどこまで聞いての決定だったのでしょうか。
今回の新型インフルエンザの会議でも、(故意に?)議事録をとらずに会議の内容を隠蔽した事実が厚労省にはあります。
国民や医療機関を愚弄するのもいい加減にして欲しいものです。


<番外編>
大洋薬品停止命令へ 調合ミス品を出荷
ジェネリック医薬品大手の○○薬品工業が、主力の△△工場で製造し昨年九月に自主回収した胃潰瘍(かいよう)などの治療薬について、安全管理に重大な問題があったとして××県は近く、同工場に薬事法に基づく業務停止命令を出す方針を固めた。
大手製薬会社の自主回収を受け、行政機関が業務停止命令を出すのは異例。
同県は、業務停止は三月下旬から十日間前後で検討している。
 
同社によると、回収したのは昨年二月に製造した「ガスポートD錠20ミリグラム」(一般名ファモチジン)で、調合の際に薬剤を取り違えて二ロット分約二万八千箱(一箱百錠入り)を製造。品質を確かめる検査でもサンプルを取り違えるミスが重なり、規格外のまま三千余の病院や薬局など医療機関向けに出荷していた。
取り違えた薬剤は主成分ではなく、健康への影響はないという。
 
大半は処方されるなどしており、回収できたのは16%という。
 
薬品の製造業許可を出している××県は、同工場の立ち入り調査を既に実施。
規格外製品が流通した事実を重くみている。
厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課によると、自主回収は年間百五十~百八十件ほどあるが、二重のミスによる流通は異例という。
ジェネリック医薬品後発医薬品)> 
新薬(先発医薬品)の特許期間が切れた後、他メーカーが厚生労働省の許可を得て、同じ効果や成分で製造、販売する医薬品。
開発、研究費がかからない分、価格が安い。国は患者の負担軽減や医療費抑制のため使用促進を図っている。
出典 東京新聞・朝刊 2010.3.17
版権 東京新聞社

<コメント>
以前にもこの工場の薬剤では、ヒート シールの中に虫が見つかったニュース(事件?)がありました。
厚労省ジェネリックを推進する限りはこういったニュースに対するコメントをして欲しいものです。
すぐ忘れ去られそうな記事なのでドキュメントしておきます。



読んでいただいて有難うございます。
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