坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、坐骨神経が刺激されることによっておこる神経痛です。
注意しなければならないのはあくまで症状であり、病名ではありません。
一般的には「座骨」ではなく「坐骨」といいます。


整形外科にかかっている方で、「坐骨神経痛といわれている」とおっしゃる方がみえます。
これは医師としては診断したことにはなりません。
原因となる病名をいいあてて初めて診断したことになります。
これは耳鼻科に「のどが痛い」ということで受診して「咽頭炎ですね」と言われるのと同じです。
医師としては通院していただいた患者さんに対しては、細菌性かウイルス性か、溶連菌なのかアデノウイルス伝染性単核球症、普通感冒(ウイルス性)なのかを鑑別する必要があるのです。

咽頭炎」というのは、患者さんの訴えをただ難しく(それほどでもないのですが)言い換えたに過ぎません。
せいぜい「魚の骨が刺さったのどの痛みではありません」と言っているだけです。

坐骨神経痛」という診断も同じで、その原因を追求して初めて治療ができるのです。

多くの整形外科(診療所)ではMRIは検査出来ません。
MRI検査は病院に紹介すれば簡単に出来ます。
こういった検査もせずに、漫然と理学療法に毎日通院させる整形外科があるのは驚きです。
理学療法特にマッサージの効果はきわめて限定的です。
効果はないといっていいかも知れません。
病院では理学療法としての通院は指示しません。
要するに同じ医師でも、勤務医の時と開業してからでは治療法(?)が違うのです。
MRI検査がすべてとはいえませんが、この検査をしなければ脊髄腫瘍や骨盤内腫瘍などは見落とされてしまいます。
腰椎レントゲンなどの骨の写真だけではこういったことはわからないのです。

毎日通院するように指示をしている開業医の整形外科の先生も、医師としてそのあたりはご存知の筈です。



#坐骨神経とは?
坐骨神経痛は末梢神経のなかで最も太く長い神経です。
第4、5腰神経と第1~3仙骨神経からなり、梨状筋という筋肉の下を通って大腿後面を下行し、膝の裏で総腓骨神経と脛骨神経に分かれます。
坐骨神経痛は、神経が腰椎の隙間から出て骨盤をくぐり抜け、お尻の筋肉から顔を出す間のどこかで、圧迫や絞扼(こうやく、しめつけられること)などの障害を受けた結果発症するものです。


#原因と症状
原因はさまざまです。
坐骨神経の圧迫、脊椎神経根の圧迫、梨状筋症候群(比較的緩徐に発生)、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア(比較的急激に発症)、腰椎すべり症などが原因とされています。
忘れてならない原因に帯状疱疹により坐骨神経痛があります。

坐骨神経痛は太ももの後面、ふくらはぎ辺りの痛みが代表的です。
他にも下肢の痺れ、知覚鈍麻、歩行障害などが見られることがあります。
その日の健康状態や体調によって痛さや箇所が変わることもあって毎日一定の症状とは限りません。


#種類
■根性坐骨神経痛・腰椎性坐骨神経痛
 坐骨神経の付け根が圧迫されて、痛みがおこるタイプの神経痛。
 椎間板ヘルニアが原因となっているケースが多いのですが、最近の高齢化社会の伴い腰部脊柱管狭窄 症が増えています。
■梨状筋性坐骨神経痛
 梨状筋による神経圧迫によって起こるもの。
■症候性坐骨神経痛
 神経の圧迫が原因ではないため、まだ原因が詳しく解明されておらず、治療が困難。


#治療法
以下の
「整形外科外来で多く見られる“坐骨神経痛”」
に分かりやすくまとめられています。



<関連サイト>
整形外科外来で多く見られる“坐骨神経痛
http://www.tmg.gr.jp/hokensinpou/030301-zakotusinkeitu.html
(医師が書かれているだけあって、理論的にうまくまとめられています。医師にとっても非常に参考になります。)

坐骨神経痛の症状と治療法
http://zakotsu.moo.jp/
(上手くまとめられていますが、どういった方が書かれているのかがわかりません)

坐骨神経痛の予防・原因・治療!
http://坐骨神経痛.thyme.jp/




イメージ 1


出典 朝日新聞・朝刊 2010.4.29
版権 朝日新聞社




<自遊時間>
#「影響力ある100人」に鳩山首相=米誌
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100430-00000004-jij-int
米誌タイムは29日、「世界で最も影響力のある100人」を発表し、「リーダー部門」で日本の鳩山由紀夫首相を選出した。
同誌は、鳩山首相自身は政治家の家系に生まれ、「革新的には見えない」としながらも、「(自民党による)事実上の一党支配体制を、機能する民主主義に変える手助けをした」と評価。
「このことは称賛するに十分な理由」とした。
<コメント>
この文面をよく読みましたが、「影響力」にもいろいろあるとは書かれてはいません。
最初この記事を読んだ時には、「イグノーベル賞」の「影響力ある100人」版かと思いました。




読んでいただいて有難うございます。
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