メタボ対策、成功の秘訣は?

= メタボ対策、成功の秘訣は? 専門家に聞く   
無理のない目標 カロリーに注意 =
健康診断でメタボリック症候群と指摘され、運動や食事対策を始めてみたものの、腹囲や体重がなかなか減らない人も多い。

大阪府立健康科学センターの西村節子栄養指導班長は、同センターでメタボ解消の保健指導を受け、半年後に4%以上の減量に成功した男性18人に聞き取り調査をした。
共通の特徴が浮かび上がった。


■効果の実感が大切
成功要因はまず強い動機。減量に取り組むきっかけは保健指導だったが、「糖尿病になりたくない」「娘の結婚式でかっこよく歩きたい」などやせる目標が明確だった。

次は改善メニューに無理がなかった。目標が高すぎると挫折しやすい。
「毎日10分しか歩かず揚げ物中心の食事をしている人が、いきなり2時間歩いて揚げ物ゼロにするのは困難」(西村班長)。
少しがんばれば達成できる目標を立てるのがコツのようだ。

減量効果の実感が得られることも大切だ。「体が軽くなった」「服のサイズが変わった」など成果が体感できるとやる気が続く。
体重をこまめに量るなど自分なりの工夫も実行していた。
パソコンや携帯電話を利用し、体重変化のグラフを付けたり、歩いた距離をメタボ仲間と競い合ったりすると、うれしさを感じやすい。
励ましメールが楽しみだった例も。こうしたサービスを提供する企業もあるので調べてみるのもよさそうだ。

家族と一緒にウオーキングするなど周囲の支えも重要だ。
女性の場合は張り合うというより、励ましたり減量のコツを教え合ったりするグループ作りが有効だという。

体重を落とすには、摂取エネルギーを減らし消費エネルギーを増やす。
体重80キロなら半年で4%減は3.2キロ。2カ月で約1キロ落とせばいい。
1キロ減れば腹囲も1センチ縮む。食事や運動で体にため込むカロリーを今より毎日120キロカロリー削減するのが目標となる。
ご飯だと0.5杯分だ。

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京都医療センター臨床研究センターの坂根直樹予防医学研究室長は、食べたいと思った食事と似ている低カロリーで健康的なメニューを選ぶ方法を勧める。
牛丼が頭に浮かんだら親子丼にする。
トンカツではなくチキンカツ、そばなら具を天ぷらからわかめに変える。
酒のつまみは揚げ出し豆腐を湯豆腐に、鳥のから揚げを焼き鳥にする。
こうした工夫で1人前あたり80キロ~100キロカロリー減る。

どうしてもトンカツなど好きな物が食べたい時は量を減らし、キャベツはドレッシングではなくポン酢をかけるなどカツ以外では油を控える。
食パンを薄くしたり、ビールやマヨネーズ、ドレッシングなどを低カロリータイプにしたりするのもよい。
食材や調理法、味付けを少し変えれば脂質や糖質を抑えられる。

つい食べ過ぎる人は「子どもと茶わんを交換した」「アイスの買い置きをやめた」などの対策も有効。
運動面では、エレベーターなどを控え、なるべく歩き体を動かす。


■家計の節約にも
メタボになると、金銭面でも損失が大きい。
京都大経済研究所の古川雅一研究員の調査では、標準体形の男性が20キロ(女性は16キロ)太って糖尿病になると、患者1人あたりの年間の医療費が平均的な身長・体重の人の2.5倍になった。
仕事を休んで通院する損失や費用を加えれば負担はさらに増える。
「減量は家計節約の面からも重要」(古川研究員)。

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生活習慣病への入り口とされるメタボを軽視して「どこも悪くない」「もともと太り気味」などと言い張る姿勢では、やせる動機が高まらず失敗しやすい。
誰でも将来の健康より今の満足感を優先しがちだが、何のために脱メタボを目指すのか、いま一度しっかりかみしめよう。
(長谷川章)
出典 日経新聞・Web刊 2010.1.9
版権 日経新聞




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