花粉症の原因はスギ以外にも

この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。


スギ以外にもいろいろ

スギ花粉症のシーズンは、2月から4月下旬まで。
つらい日々ももうひと息!と思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、スギ花粉症の方の多くは、ヒノキやほかの物質に対してもアレルギーを持っていて、スギのシーズンの後も、様々な花粉が飛ぶのです。

スギに少し遅れて飛ぶヒノキの花粉は5月末までがピークです。
さらに、初夏にはカモガヤなどのイネ科の植物の花粉が飛びます。
真夏から秋口にかけてはブタクサ、ヨモギといったキク科の花粉も飛んでいます。

スギ花粉のシーズンが終わっても、鼻がくしゅくしゅする、という方。
もしかしたら風邪ではなくて、ほかのアレルギーかも知れません。

ではこのやっかいなアレルギー症状。そもそもどうして発症するのでしょうか。

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アレルギーのメカニズム

目や鼻などの粘膜を通じて花粉などのアレルゲン(抗原)が侵入すると、私たちの体の中では、その異物を排除しようと、その異物と反応する物質「IgE抗体」を作ります。

IgE抗体は、粘膜の「肥満細胞」に付着します。肥満細胞には、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンなどの化学物質が詰まっています。

IgE抗体は、花粉などのアレルゲンとの接触が繰り返されるうちに体内に蓄積されていきます。

ここまでが、アレルギーを起こす準備状態です。

この状態で、再び花粉が体内に入ると、肥満細胞から化学物質(ヒスタミンなど)が分泌され、花粉をできる限り体外に放り出そうとします。
 
これが、くしゃみや鼻水、涙、鼻づまりなどの症状となって表れるのです。

この一連の反応はもともと、体に侵入した病原菌などの毒素を排除、無害化する「免疫」の仕組みと同じものです。

 しかし、花粉などはそのものが体に悪いわけではないので、普通は排除しようとはしません。アレルギーは、免疫反応が特定の物質(アレルゲン)に対して、過剰に起こってしまうことで起きる症状なのです。

どうして過剰な免疫反応が起きてしまうのかについては、生活環境や遺伝などの原因が考えられていますが、はっきりとは分かっていません。

あるアンケートで、花粉症に対する疑問について調査したところ、

「なぜ突然発症するのだろう」

「どうして、発症する人と発症しない人がいるの」という疑問が多いころがわかりました。

カギとなるのは、このIgE抗体です。

この抗体の作られ方はには個人差があり、作られやすい体質の人がいるということが分かっています。

花粉に対するIgE抗体を持っている人は、花粉症の「予備軍」とも言えます。
 
いつ発症するかについては、「コップの水があふれる」ことにたとえられます。コップの水に当たるIgE抗体が溜まって、あふれる=発症するのです。

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<番外編>

災地、6種類の感染症に注意を-感染研

国立感染症研究所感染症情報センターは、東日本大震災の被災地や避難所で注意すべき感染症として、▽急性胃腸炎▽インフルエンザ▽急性呼吸器感染症(インフルエンザ以外)▽はしか▽破傷風▽創傷関連感染症―の6種類を挙げ、症状や予防法などをホームページ上でそれぞれまとめている。

■急性胃腸炎
同センターによると、急性胃腸炎にはウイルス性と細菌性があり、主な症状は下痢、嘔吐、発熱など。
この季節に多いのはウイルス性で、ノロウイルスロタウイルスは感染力が強く、少量のウイルスで感染すると考えられている。
感染経路は主に糞口感染で、予防のためには排せつ物や吐物の適切な処理、手洗い、汚染された衣類の消毒などが重要という。
ウイルス性の胃腸炎を発症した場合には、特別な治療法はなく、脱水予防と下痢への対症療法が基本になる。

■インフルエンザ
今シーズンのインフルエンザの流行については、1月下旬をピークに患者数が減少しているが、2月下旬ごろからB型の流行による感染拡大が見られており、避難所などでもB型を中心にしたインフルエンザの集団発生が今後、多発する可能性がある。
インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染接触感染で、予防にはせきエチケットと手指衛生の徹底が基本となる。
同センターでは、38度以上の高熱やせき、のどの痛みなどの急性呼吸器症状を発症した人がいれば、インフルエンザを疑ってほしいとしている。
ただ、感染しても軽症のためインフルエンザと診断されない人もおり、感染拡大や重症者の発生を防ぐには、高齢者や乳幼児などリスクが高い人を中心にした抗インフルエンザウイルス薬の予防内服も選択肢に入れるべきだという。

■急性呼吸器感染症(インフルエンザ以外)
急性呼吸器感染症は、インフルエンザウイルスのほか、RSウイルス、パラインフルエンザウイルスなどのウイルスや、肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌によって引き起こされる症候群の総称。
急性呼吸器感染症のすべてを予防するワクチンはないが、せきエチケットの徹底を推奨している。

■はしか
はしかは発熱、発疹などが主な症状で、肺炎などによる重症化も高い頻度で見られる。
しかも、感染経路は空気感染で感染力が非常に強く、避難所のように人が集まる場所では注意が必要という。
唯一の予防法は、ワクチンを接種してあらかじめ免疫を獲得しておくことで、はしかを強く疑わせる患者がいる場合には、これまでに接種を受けていない人などに対する緊急接種などを検討する必要がある。

破傷風
破傷風は、土壌中に広く常在する破傷風菌が産生する毒素により強直性けいれんを引き起こす感染症で、土壌やがれきなどで傷を負った人には注意が必要。
3-21日の潜伏期間の後に開口障害や嚥下困難などの局所症状を呈した後、全身に症状が移行し、重症の場合には呼吸筋のまひによって窒息死することもある。
予防にはワクチンが有効で、通常は傷を負った人に接種する。破傷風を含むワクチンを接種したことがない人には、破傷風トキソイドと共に破傷風特異的免疫グロブリンを投与すべきだという。

■創傷関連感染症
汚染の強い外傷や、海水の暴露を受けた外傷は、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌のほか、大腸菌などのグラム陰性桿菌、嫌気性菌などによる感染症の原因になる恐れがある。
同センターでは、創傷への適切な処置に加え、感染リスクの高い創傷に対する予防的な抗菌薬の投与を勧めている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110317-00000004-cbn-soci
出典 医療介護CBニュース 2011.3.17



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