網膜色素変性は、目に入った光を電気信号に変えて脳に伝える網膜の視細胞の働きが低下し、死滅することで起こる。
薄暗いところや暗い場所が見づらい、視野が狭くなり、周りが見えにくい、明るい場所にいるとまぶしい、といった症状が両目にあらわれる。
薄暗いところや暗い場所が見づらい、視野が狭くなり、周りが見えにくい、明るい場所にいるとまぶしい、といった症状が両目にあらわれる。
症状があっても目の病気と思わない人もいる。
きっかけになることが多いのが「眼底検査」だ。
医師が専用の器具で眼球の奥をのぞいて網膜の状態などを調べる。
健康診断に含まれないので、眼科に行かないと受ける機会がない。
きっかけになることが多いのが「眼底検査」だ。
医師が専用の器具で眼球の奥をのぞいて網膜の状態などを調べる。
健康診断に含まれないので、眼科に行かないと受ける機会がない。
国内の患者数は4千~8千人に1人とされる。
原因は遺伝子の異常で、約170の遺伝子異常が知られている。
遺伝の仕方は様々で、親が病気だからといって子どもも病気になるとは限らない。
原因は遺伝子の異常で、約170の遺伝子異常が知られている。
遺伝の仕方は様々で、親が病気だからといって子どもも病気になるとは限らない。
根本的な治療法は確立していない。
病気が進行し、網膜全体の視細胞が少なくなると、やがて失明につながる。
進行が遅く、高齢になるまで視力が低下しない場合もある。発症したら必ず光を失うわけではない。
病気が進行し、網膜全体の視細胞が少なくなると、やがて失明につながる。
進行が遅く、高齢になるまで視力が低下しない場合もある。発症したら必ず光を失うわけではない。
*
現在、症状の悪化を食い止める新しい点眼薬の開発が日本で進んでいる。
視野が狭くなった矯正視力0・5以上の患者を対象にした臨床試験では、半年間点眼を続けると、視細胞の光の感じ方が悪化する例が大幅に少なくなった。
生活が不自由になる例も減った。遺伝子治療や再生医療などの新しい治療法の研究も進んでいる。
視野が狭くなった矯正視力0・5以上の患者を対象にした臨床試験では、半年間点眼を続けると、視細胞の光の感じ方が悪化する例が大幅に少なくなった。
生活が不自由になる例も減った。遺伝子治療や再生医療などの新しい治療法の研究も進んでいる。
失明に至った場合でも、最近は「ロービジョンケア」と呼ばれる支援策が整備され、生活しやすくなった。音声読み上げや音声入力などの新しい技術も身近になり、福祉的支援や就労支援などの社会制度も整ってきた。
遺伝性の病気なので、子どもへの伝え方を悩む人が多い。
専門医でも意見が分かれるところだ。
ただ、早い時期に知っても治療法が確立していない。
「親の病状や子どもの性格にもよるが、本人に症状が出るまでは必ずしも言わなくていい」と専門医は助言する。
専門医でも意見が分かれるところだ。
ただ、早い時期に知っても治療法が確立していない。
「親の病状や子どもの性格にもよるが、本人に症状が出るまでは必ずしも言わなくていい」と専門医は助言する。
<参考>
網膜色素変性
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/momaku_shikiso.jsp
・眼の中で光を感じる組織である網膜に異常がみられる遺伝性の病気で、日本では人口10万人に対し18.7人の患者がいると推定されています。
夜盲、視野狭窄、視力低下が特徴的な症状です。
網膜色素変性
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/momaku_shikiso.jsp
・眼の中で光を感じる組織である網膜に異常がみられる遺伝性の病気で、日本では人口10万人に対し18.7人の患者がいると推定されています。
夜盲、視野狭窄、視力低下が特徴的な症状です。
・網膜の中で光を感じる細胞には、錐体細胞と杆体細胞の2種類があり、錐体細胞は網膜の中心部の黄斑に集中して存在し、視力や色覚を担います。
杆体細胞はそれより周辺に多数分布して、周辺の視野や暗い中で光を感じる働きを担います。
杆体細胞はそれより周辺に多数分布して、周辺の視野や暗い中で光を感じる働きを担います。
・網膜色素変性では普通、杆体細胞から障害されるために、夜盲が最初に現れることが多く、進行すると周辺の視野が狭くなって、物にぶつかりやすくなったり、物が見えたり消えたりするという症状が現れます。
さらに病気が進行すると錐体細胞も障害され、視力低下を自覚するようになります。
さらに病気が進行すると錐体細胞も障害され、視力低下を自覚するようになります。
・基本的には進行性の病気ですが、その進行はとても緩やかで、数年あるいは数十年をかけて進行します。
また病状の進行速度には個人差がみられ、症状の起こる順序にも個人差があり、最初に視力が低下してから夜盲を自覚する人もいます。
また病状の進行速度には個人差がみられ、症状の起こる順序にも個人差があり、最初に視力が低下してから夜盲を自覚する人もいます。
・現在のところ残念ながら根本的な治療法がありません。
症状の進行を遅らせることを期待して、暗順応改善薬(ヘレニエン)、ビタミンA、循環改善薬などの内服を行うことがありますが効果は証明されていません。
治療法の開発に向けて、網膜神経保護、遺伝子治療、網膜幹細胞移植、人工網膜などの研究が全世界で盛んに行われています。
なかでも病気の進行を遅らせる神経保護は、米国で臨床試験が開始されています。
症状の進行を遅らせることを期待して、暗順応改善薬(ヘレニエン)、ビタミンA、循環改善薬などの内服を行うことがありますが効果は証明されていません。
治療法の開発に向けて、網膜神経保護、遺伝子治療、網膜幹細胞移植、人工網膜などの研究が全世界で盛んに行われています。
なかでも病気の進行を遅らせる神経保護は、米国で臨床試験が開始されています。
・ロービジョンケアでは、残っている網膜の機能を最大限に活用して、少しでも社会生活を送りやすく工夫します。
まぶしさを和らげて見やすくする遮光眼鏡、活字を見やすくするルーペや拡大読書器などを患者さんの病状に合わせて選びます。
白杖を持つことにより、自分が視覚障害者であることを周囲に知らせることができますが、白杖で安全に歩行するには訓練を受けることが必要です。
まぶしさを和らげて見やすくする遮光眼鏡、活字を見やすくするルーペや拡大読書器などを患者さんの病状に合わせて選びます。
白杖を持つことにより、自分が視覚障害者であることを周囲に知らせることができますが、白杖で安全に歩行するには訓練を受けることが必要です。
・厚生労働省の事業の一つである医療費助成制度の適応疾患です。矯正視力が0.6以下で視野の障害がある場合、ご本人の申請があれば医師が難病患者診断書・網膜色素変性臨床調査個人表を記載します。
それを管轄の保健所に提出し、基準を満たすと判断されれば医療費の助成を受けることができます。
それを管轄の保健所に提出し、基準を満たすと判断されれば医療費の助成を受けることができます。
2015.5.10 撮影[