ヘッドホン・ロック難聴

音量抑え、耳を休ませる 「ヘッドホン・ロック難聴」を防ぐ

ヘッドホンやイヤホンを使って音楽を聴くとき、周りが騒がしいとつい音量を上げてしまいがち。
しかし、大きな音を長時間聴いたために聴力が低下する「音響外傷」を招くことがあり、注意が必要だ。
   
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ロックコンサートなどでスピーカーに近い席で音楽を聴いたあと、ずっと耳鳴りや耳詰まりなどが治らない。
耳鼻咽喉科には、このような症状を訴える人たちがしばしば訪れる。
 
内耳の蝸牛には、音の振動を感じるセンサー役の細胞がある。
それぞれ感じる音の高さ(周波数)が決まっているが、大きな音を長時間聴いた場合、特に高音担当の細胞が壊れたり、抜け落ちたりしやすい。
これが音響外傷で、傷ついた細胞は、再生しないといわれる。
 
90~120デシベルの大きさの音を聴くと体調などによっては耳鳴りや耳詰まりなどの症状が出ることがある。
ロックコンサートでは110~120デシベルの音が出るとされており、ロック難聴につながる。
<私的コメント>
寺山修司の「レミング」を最前列で観たことがありました。
OAが目の前にあり、すごい音響でした。
ロック以外にも観劇も追加すべきです。
その点クラシックの鑑賞は安心です。


同じような症状が、ヘッドホンやイヤホンを使う人にも起こる恐れがある。
高性能なヘッドホンの中には120デシベル近い音が出るものもある。
ボリュームを上げすぎるとヘッドホン難聴のリスクが高まる。
 
実際、電車内や街中などの騒音下では、音量を上げがちだ。
 
東京都は2008年、イヤホン(ヘッドホン=耳覆い型・耳載せ型イヤホン=を含む)を使ったときに「快適」と感じる音量を調査した。
無音の部屋と、雑踏や地下鉄内に近い73・2デシベルの騒音がある部屋とで、20代の男女41人にそれぞれ4種類のイヤホンをつけて音楽を聴いてもらった(回答数は計164)。
 
騒音がない部屋では、静かな60デシベル未満の音を「快適」と感じた人が目立つが、騒音下では、通常ならうるさいと感じる70デシベル以上の音が快適、と答えた人が多くなった。
   
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ヘッドホンをつけて音楽を聴くときは、周囲と会話できる程度の音量が理想。
感受性には個人差があり、一概には言えないが、疲れや睡眠不足は内耳にダメージを与えやすいので特に注意が必要だ。
飲酒時も音量を上げがちになる。
 
WHO(世界保健機関)は2月、「個人用のオーディオ機器の使用、娯楽施設などの騒音で、世界の多くの若者に難聴のリスクがある」と警告。
「騒音にさらされる時間の許容レベルは、85デシベルは1日最大8時間、100デシベルは1日最大15分間」などと推奨した。

大きな音を聴き続けていると、自覚のないまま聴力が低下していることがある。軽症であれば、回復の見込みはある。
 

音響外傷を防ぐには
・ロックコンサートなどの大音量スピーカーの前では耳栓をする
・ヘッドホンの音量は、音楽を聴きながら会話できる程度に抑える
・ヘッドホンで1時間聴いたら、それ以上の時間、耳を休ませる


出典
朝日新聞・朝刊 H27.8.22(一部改変)



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                            2015.9.6 撮影