40歳過ぎたら眼科検診を

40歳過ぎたら眼科検診を 意外と多い緑内障の発見

目を開ければいつもの風景が見える。
当たり前だと思っている「見える」を脅かす病気は気づかないうちに進行することが多い。その多くは眼科検診を定期的に受ければ早く発見でき、治療を始められるものだ。
特に40歳をすぎたら、ぜひ1年に1回、眼科検診を受けておきたい。

まずは「網膜裂孔」という病気。
眼球の中の網膜に穴が開く症状で、病気が進行すると穴を中心に網膜がはがれる「網膜剥離」に進行し失明の可能性もある。
発見されれば網膜剥離への進行を予防するためにすぐにレーザー治療を行う。

眼科検診は、勤務先の健康診断の視力検査程度という人も多い。
しかし年齢を重ねると視力検査だけでは不十分。
それなのに、日本人は眼科検診への関心度が目立って低いというデータがある。
 
ジョンソン・エンド・ジョンソンが2008年に実施した「世界13カ国における眼科検診の実態調査」によると、目の状態が良くないと感じている日本人は5割以上。
目のトラブルを経験した人は9割を超えたが「包括的眼科検診を全く受けたことがない」と回答した人は72%にのぼった。
これは他の先進国に比べて際立って高い数値だった。

「自覚なし」多く
「視力のチェックに来た人に緑内障が見つかるといったケースは少なくない」とある眼科医はいう。
 
目は2つあり、片方が不調でも反対側の目がカバーする。
脳も見えない部分を補正してくれるので、病気を自覚しにくい。
 
例えば緑内障
視神経に障害が出て視野が狭くなる病気だが、実際は視野がかなり欠けても気づかない人がいる。
眼圧(眼球内の圧力)が上昇し痛みを感じて受診するケースもあるが、最近は正常眼圧の緑内障が増えている。

<私的コメント>
「正常眼圧緑内障」が増えているのか医療側でこの病気に関する認識が高まったかははっきりしません。
実際に増加しているというなら、何らかの原因があるわけでしょうから。

患者は40歳以上の20人に1人。
日本人の失明原因トップの緑内障は実に見つけにくい病気だ。

<私的コメント>
岐阜県多治見市で実施された、日本緑内障学会による多治見緑内障疫学調査(多治見スタディ)で「正常眼圧緑内障」がクローズアップされました。
http://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/95.html
 
最近増加が指摘されている加齢黄斑変性も気づかないうちに進行することが多い。
網膜のなかで、ものを見る中心となる黄斑に加齢によって変化がおき、ものがゆがんで見えるほか、視野の欠損、視力低下がおきる。
東京スカイツリーのような細長いものがぐにゃっと曲がって見えるようになるのだが、それでも気づかない人も多い。
症状に気づいていても病気とは思わないことが多いのが飛蚊(ひぶん)症。
視野の中に小さなゴミのようなものが飛んで見える症状で、多くは加齢に伴い起こる生理的な現象だが、網膜裂孔や網膜剥離の場合もある。

「眼科ドック」も
これらの病気は、発見が遅れれば失明のリスクがある一方、眼科検診で早期に発見できれば治療が可能。視力も維持できる。
 
自宅や勤務先から近い眼科で定期的に目をチェックしてもらおう。
 
眼科検診では、問診に続いて視力検査、屈折検査、眼圧検査のほか、目の中に光を照らし、眼球の前の方や眼底を検査するのが一般的。
病院ごとに多少異なるが、こうした検査で異変がわかれば、視野検査や網膜の様子を詳しくみる検査をする。
 
費用は自己負担3割の人で3千円程度。
検診の費用を補助する自治体もある。
 
また最近は、主要な検査に加えドライアイの検査や視野検査などを盛り込んだ「眼科ドック」を用意している病院もある。
 
ある眼科で眼科ドックを開始し、そのうち12%は再検査が必要と診断され、最も多かったのが緑内障の疑いだったという。
失明は生活の質を著しく低下させる。
特にリスク要因の高い人はドックや検診を上手に利用したい。

参考
<眼科検診を特にすすめたい人は>
40歳以上             加齢で目の病気も増える
強い近視がある          緑内障、網膜裂孔、網膜剥離のリスクが高い
血縁関係に緑内障の人がいる    遺伝的な要因で緑内障になる人もいる
糖尿病が持病           糖尿病性網膜症のリスクが高い
コレステロール値が高い、喫煙する 加齢黄斑変性症のリスクが高い


シート使い自分でチェック
自分でできる目のチェック法。
調べるのは片目ずつ。
眼鏡やコンタクトレンズはつけたままでよい。
 
1つ目は視野の欠損のチェックだ。
中心点と4つのマークを書いた図のようなシートを、自分の目から30センチほど離れた場所で誰かに持ってもらう。
片方の目で中心の黒い丸を見ながら、シートをゆっくり回転してもらい、もし見えないマークがあったら、視野が欠けているかもしれない。
 
もう1つの図の格子状のシートを片目でじっとみると、加齢黄斑変性の発見につながるチェックができる。
線がゆがんだり、中心部分が黒ずんで見える場合は加齢黄斑変性の可能性がある。
 
セルフチェックに加え「食生活や生活習慣の改善も目の病気を予防したり進行を遅らせたりするのに効果がある」。

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出典
日経新聞・朝刊  2013.11.30

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長野・小布施からの山岳風景(北信五岳のうちの斑尾山1382m) 2015.9.20 撮影