冬季うつ病

《冬季うつ病》 日照不足が原因、人工光浴び治療

が深まるにつれ、気分が落ち込む。朝なかなか起きられず、甘い物ばかり食べたくなる――。もしかしたら「冬季うつ病」という病気かもしれません。

国立精神・神経医療研究センターの三島和夫精神生理研究部長は「冬季うつ病の原因は冬場の日照量不足だとされます」と説明する。冬は日が短くなるうえ、外に出る機会も少なくなりがちだ。光を浴びる量が減ると、心のバランスを整えるとされる脳内の神経伝達物質セロトニン」をうまく作れなくなり、うつ病を発症すると考えられている。

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気分が落ち込む、人と会いたくない、といった典型的な症状だけでなく、睡眠時間が長くなる、甘い物を一度にたくさん食べるなど、一般のうつ病ではみられない症状が出るのが特徴だ。
甘い物を食べたくなるのは、脳内でセロトニンを作るために必要な糖質を体が無意識に欲しがるのが原因とされており、チョコレートや菓子パンなどの過食につながるという。「外出がおっくうになり、運動量も減るため、一冬で体重が5~6キロ増える場合もあります」
 季節が人の気分に影響を及ぼすことが、病気ととらえられるようになったのは1980年代半ば。米国の診断基準では、2年以上繰り返して特定の季節だけに症状が出ると「季節性感情障害」と診断される。そのほとんどが冬季うつ病だ。日本では季節性感情障害という病名は採用されておらず、うつ病と診断される。
 
治療は、人工的に明るい光を浴びる「高照度光療法」が第一選択肢だ。
専用の装置で毎日1時間ほど、照明としてはかなり明るい5千~1万ルクスの光を浴びる。
セロトニンの分泌が促され、早ければ数日で効果が出る人もいるという。
 
この療法は公的医療保険が適用されないため、医療機関で受けると自費診療となる。

自宅で使える装置は数万円で購入できる。
冬季うつ病は繰り返すことが多いため、長年悩んでいる人は購入するのも一案だ。
 
光を浴びる際は、網膜に光が届かないと効果がないため、なるべく正面で光をとらえる。
人工光とともに自然光を浴びた方が効果が高く、室内では窓側に座る、電車
では窓から外を見る、などを日常生活でも意識するとよい。
 
発症のピークは20代前半という。
冬季うつ病は不規則な生活をきっかけに発症する例が多い。
治療の際は
早寝早起きなど生活指導も重要となる。  

もしかして冬季うつ痍?
① □ 外に出るのがおっくうだ
② □ 人付き合いが減った
③ □ 冬が近づくと不調になり、春になると治る
④ □ 睡眠時間が延び、朝なかなか起きられない
⑤ □ やたらと甘い物が食べたくなる
⑥ □ 体重が急激に増えた

いずれも、冬季うつ病でみられる症状。
①②は一般的なうつ病の症状だが、冬季うつ病うつ病の一種のため、こうした症状があることが大前提。
③は、日照量が減るのに伴い不調になり、増えると改善するため起こる。
同じ症状を2年以上繰り返した場合、冬季うつ病の可能性がある。
④は、他の季節に比べ2~3時間ほど長くなる人もおり、勉強や仕事などの日
常生活に支障が出る場合がある。
⑤⑥は休が糖質を欲しがるようになるため、炭水化物などを好んで食べる傾向がある。
  
出典
朝日新聞・夕刊 2015.1.22


<関連サイト>
冬季うつ
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/34745316.html