「五月病」、生活リズムで予防

五月病」、生活リズムで予防  起床時間、土日も一定に

「GW明けから気だるさが続いている」・・・。
そんな人も多いのではないだろうか。
五月病」という言葉がある通り、この時期は疲れが出やすい。

体調を崩した人に症状がいつから出ているかを聞くと、GW明けの5~6月から、ということは多い。

原因の一つは環境の変化。
4月は就職や異動、昇格など、ビジネスパーソンにとって重要な季節だ。
適応しようと4月に頑張り過ぎてしまい、知らず知らずのうちに疲れが積み重なる。
そんな中で「連休を迎えると一気に心身が「電源オフ」になる。
4月に適応できなかった人は思い詰めてしまう。
春から初夏にかけては寒暖差や梅雨など外的な環境変化も体に負担をかけがちだ。

その結果、連休明けに体調を崩す人が増える。
いわゆる五月病だ。
正式な病名ではないものの、放置するとうつ病適応障害につながる可能性もある。
ただ、五月病は誰にでも起こる「燃え尽き症候群」に近い状態。
「頑張ったから消耗している」と自分をねぎらうという考え方も必要となる。

五月病を本格的な症状に発展させないためには、疲れた時に出やすい体のサインを把握しておきたい。
頭痛や腹痛なのか、はたまた眠気が増すのか。
こうしたサインが2週間続く時には、医療機関など客観的な相談に乗ってもらえる場所に行ってみてもらう必要がある。
受診がきっかけで安心して元気になる人もいる。

だが、自分では体調の変化に気づけないこともあるだろう。
悩みがあるときは、古くからの友人や家族に相談するのも一手だ。
逆にいつもと様子が違う人が職場にいれば声をかけてみよう。
「最近出社が遅いけど寝られている?」というように気づいた点を聞くとよい。
また、ストレスチェックを活用するのも有効だという。

心身の健康は一般的に生活リズムと密接に関わると言われている。
連休明けに体調を崩す人が増えるのも、連休中についつい寝過ぎてしまうなどの生活リズムの乱れが一因だ。

リズムを整えるためには「一日決算主義」が重要だ。
一日決算主義はストレスや疲れなどを翌日に持ち越さない、という造語。
ビジネスパーソンはつい平日にしっかり仕事をして、休日に疲れを解消しようとしてしまうが、患者の多くは週末の寝だめが心身に悪影響を及ぼしている。

重要なのは起床時間だ。
毎日一定の時間に、できれば始業時間の3時間前には起床する。
その上で、しっかり日光を浴びて、軽い体操などといった運動をして、朝食をしっかり取る。
夜は早めに食事を取り、風呂に入ってリラックス。
土日も同様で、いつもの時間に起きて朝食を取る。
その上で午前中にやりたいことに目いっぱい取り組む。
10連休中の不規則な生活の習慣から脱するため、まずは週末に寝だめせず、平日と同様の時間に起床し、運動など趣味に時間を使う。
そうすれば自然と夜は早めに就寝できる。
当たり前のことだが、実践するのは難しい。
ただ、リズムが崩れてしまっていれば整える努力をたい。
慣れるまで最初はつらいかもしれないが、リズムを取り戻せば、仕事のパフォーマンスも向上するはずだ。

メンタル・睡眠 関係深く
睡眠を通し生活リズムを整え、心身の調子を高めていくにはどうすればよいのか。

メンタルと睡眠はどう関連しているのだろうか
カニズムはわかりきっていないが、密接に関わっているのは確か。
例えば睡眠に問題がある人はうつ病になりやすい。
リズムを整え、睡眠時間を確保できれば心身の健康リスクは抑えられる。
睡眠には記憶や感情を整理する機能もある。
負の感情の除去が睡眠中に進む。
また睡眠不足はネガティブな感情を引き起こしやすくなる。
感情を安定させるという意味でも睡眠は重要だ」

睡眠リズムを整えるにはどうすればよいか
人の体内時計は24時間より少し長く、自然と後ろにずれていく。
なるべく起床時間は一定にし、起きたら光を浴びるとよい。
光には体内時計を整える機能があるためだ。

日光は照度も高くベスト。
最近は照明を自動調整したり、カーテンを自動開閉したりして起床を促す機器がある。
目覚まし時計で起きるよりもこうした機器を使って自然と覚醒できればなおよい。
もし家族と起床時間が異なりそうした機器が使えない場合でも、午前のうちに光を浴びれば体内時計を整えられる。

就寝前に気を付けるべき点は何だろうか
睡眠は規則性が大事だ。
いつもと同じパジャマに着替えて、歯を磨いてから布団に入って、というようにベッドタイムのルーティンを決めておいた方が寝やすい。
また夜は光を浴びてしまうとよくない。
部屋の照明はできるだけ暗めに、オレンジに近い暖色系の光にしたほうがよい。
スマートフォンなどの液晶に使われる発光ダイオード(LED)の白い光は体内時計を狂わせたり覚醒させたりする作用が比較的強い。
液晶を通じて見る内容の刺激性が睡眠に悪影響を与える可能性もあり、注意が必要だ。

10連休中に睡眠リズムを崩した人も多そうだが
いつものリズムを整える作業を効率良くやる必要がある。
連休中の体内時計のずれは多くても2~3時間程度。
ただ、修正は1日1時間程度ずつが限界だ。
夜眠れなくても、いつも通りの時間に起きると次の日の夜は早めに眠れるようになる。
これを繰り返し、整えていくしかない。

参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2019.5.14