リウマチ治療の新薬

リウマチ治療、新薬次々 関節破壊抑える「生物学的製剤」

関節リウマチの治療で生物学的製剤と呼ばれる新薬を使う人が増えている。
関節の破壊を抑え、生活の質(QOL)の改善効果が期待できるが、薬代が高額で、経済的負担が大きくなるのが患者の悩みだ。
「期間限定」で利用したり、後発薬を使ったりする方法もあるが、医師とよく相談することが重要だ。

■8種に増加、副作用も
リウマチの原因は不明だが、本来は外敵から自分の体を守るはずの免疫細胞が、関節で骨と軟骨を包む「滑膜」に集まって攻撃し、炎症を起こす。
これが続くと滑膜が増殖、次第に骨や軟骨が破壊され、激しい痛みやはれが出る。
進行すると関節が変形し、人工関節が必要な場合もある。
 
痛みなどの症状だけを抑える非ステロイド系抗炎症薬や副腎皮質ステロイドもあるが、関節を破壊から防ぐのが抗リウマチ薬と生物学的製剤だ。
 
世界的に治療の中心は抗リウマチ薬のメトトレキサートだ。
細胞増殖に必要な物質の合成を防ぎ、免疫細胞や滑膜の増殖を抑える飲み薬だ。
それでも効果が十分でなく、病気の勢いが強い人で、ほかの合併症がないなどの場合に、生物学的製剤の追加が検討される。
 
生物学的製剤は免疫細胞から出てくる炎症を起こすたんぱく質などをピンポイントの標的にして抑える。
2003年にインフリキシマブがまず承認され、現在は8種類まで増えた。
点滴や皮下注射で投与する。
 
ただ、生物学的製剤は、免疫を抑えるため、副作用として、肺炎や結核などの感染症にかかりやすい。
メトトレキサートも肝機能障害などを起こすことがあり、定期的な検査が必要だ。

■保険適用でも高額
生物学的製剤は複雑な遺伝子組み換え技術などを使うため、従来の薬に比べて価格が高い。
毎月の医療費の自己負担は、検査代なども合わせ保険適用(3割負担)で5万円前後。
患者団体「日本リウマチ友の会」の10年の調査では、回答者9046人中3142人が使い、うち36%は「医療費負担が大きく、生活を切り詰めている」と答えた。
 
所得に応じた自己負担の限度額を超えた分の払い戻しが受けられる「高額療養費制度」を利用する人もいるが、限度額でも負担が重く、薬の使用をあきらめている人がいる。
 
生物学的製剤は基本的には使い続ける薬だが、「期間限定」にできる可能性もある。

ただ、中止して再び症状がひどくなる人もおり、中止後も慎重に状態を見ていく必要がある。
どういう患者なら中止できるかといった研究も進められている。
 
薬代を少し下げられる場合もある。
特許が切れた生物学的製剤とほぼ同じ成分の後発薬「バイオシミラー」は、先行薬より3割ほど安い。
関節リウマチでは一つしかなく、今後、こうした薬がもっと開発されることが期待される。

関節リウマチ治療に使われる生物学的製剤
インフリキシマブ
バイオシミラー(インフリキシマブのジェネリック
エタネルセプト
アダリムマブ
ゴリムマブ
セルトリズマブペゴル
トシリズマブ
アバタセプト

 
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参考
朝日新聞・朝刊 2106.8.24


 
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                        2016.8.12 撮影