膵臓・食道がん、遅れる診断

膵臓食道がん、遅れる診断 発見時の進行度を公表

国立がん研究センターは、2014年にがんと診断された患者の進行度を分析した。
5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)に続く、食道、膵臓前立腺、子宮頸部、子宮内膜(子宮体部)、膀胱、甲状腺の7部位で示すのは初めてのこと。
膵臓がんや食道がんは進行して診断される割合が高く、早期発見のための診断方法の改善などの課題が浮き彫りになった。

全国421のがん診療連携拠点病院などから集計した67万205例のうち、条件を満たす12部位の約38万例を分析した。
初公表の7部位は規定の研修を受けた職員がいる323施設を対象にした。
 
がんの進行度は最も軽い0期から最も重い4期までの5段階に分類。
4期で見つかる症例は膵臓が43・4%と12部位で最も高く、肺が続いた。
膵臓は胃の裏側にあるため画像などで見つけるのが難しく、自覚症状も少ないためとみられる。
検査技術の向上が求められており、血液検査などで早期発見する方法の研究が進められている。
食道は1期が34・1%で最も高いが、3期が24・4%、4期が14・4%と進行した状態で発見される症例の割合も高く、改善の余地が大きそうだ。
 
子宮頸部はがん細胞が上皮にとどまる0期が61・3%と高い。
子宮内膜と前立腺は1期がそれぞれ70・8%、51・4%で、早期に見つかる割合が高かった。
 
診断時の進行度の割合がはっきりすることで、各がんの実態が見える。
特に進行して見つかる割合が高い膵臓や食道は気になる症状があれば、医療機関を受診したい。
胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部では定期的ながん検診がすすめられる。
 
一方、進行度と生存率は部位ごとに異なる。
大腸は進行していても予後が比較的良好だが、早期でも生存率があまり高くないがんもある。
部位ごとの特徴にも注意したい。
早期発見に向けた研究の進展も急がれる。
 
今回、各病院で14年に診療した部位・進行度ごとのがんの症例数や治療方法もウェブサイトで公表された。
http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_registry.html

7部位では初めてで、例えばある病院で、1期の食道がんをどれぐらい診療し、手術や化学療法などどんな治療をしたかを確認できる。
各病院の特色がわかるので、治療を受ける病院やセカンドオピニオンを受ける病院を選ぶ際に役立ちそうだ。

 
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参考
朝日新聞・朝刊 2016.9.26

私的コメント
膵臓がんは進行しないと腹痛や体重減少など目立った症状がなく、決まった検診法もありません。
現在、早期発見を目指し、血液に含まれる特異なたんぱく質を目印にする検査キットなどの開発が進められています。