インフル新薬 「ゾフルーザ」

インフル新薬、1回のむだけで大丈夫? 副作用や用法は

2018年3月に発売された新薬「ゾフルーザ」が注目を集め、インフル治療薬の選び方に変化が出ているという。
どんな薬か。注意点は。

ゾフルーザは塩野義製薬大阪市)が開発。
大人なら20ミリグラム錠(直径8・5ミリ)を1回2錠、子どもは10、または20ミリグラム錠(直径5ミリ)を1回1錠が目安となる。
同社によると、4~9月の国内の売り上げは4億6千万円で、インフル治療薬のシェア65%に。
今後、インフル薬の勢力図を変える可能性がある。

<私的コメント>
「4~9月の国内の売り上げ」ということですが、このようなインフルエンザのオフシーズンにゾフルーザが売り上げを伸ばすとは思えません。

従来の治療薬タミフルリレンザの使用は、1日2回を5日間。
イナビルは1回だが、吸入容器を使うためコツが必要で、子どもやぜんそく患者らには難しい。
 
どのように効くのか。
作用する仕組みが異なるのも特徴だ。
 
インフルエンザウイルスは感染すると、細胞に侵入して増殖し、細胞膜を破って外に広がる。
従来の治療薬はウイルスが細胞の中から出てくるのを抑えるが、ゾフルーザはウイルス自体が細胞の中で増殖できないようにする仕組みを持つ。
そのため、タミフルなどが効かない耐性ウイルスでも治療できる可能性がある。
 
同社が実施した約1400人を対象にした臨床試験で、ゾフルーザをのんだ半数が24時間でウイルスの検出がほぼなくなり、従来の治療薬よりも早くウイルスを抑えることを確認したという。
 
副作用などの心配はないのか。
 
厚労省によると、ゾフルーザをのんだ10代の患者で、上半身裸のまま玄関から出ようとするなどの異常行動が2件報告された。
ただし、異常行動は治療薬の使用の有無にかかわらず、インフルエンザ患者で報告されている。
厚労省は「薬と異常行動の因果関係は不明」としている。
 
使う人が急に増えれば、異常行動などの副作用報告は増える可能性がある。
1回ですむ点も、体の中に薬が長く残るということ。
腹痛や下痢の症状が出ても、やめて様子をみることができない。
 
データが乏しいとして、慎重な動きもある。
日本小児科学会は今季の治療指針で、「十分なデータを持たず、現時点では検討中」と推奨しなかった。
日本感染症学会は「今後の臨床症例を蓄積し、薬の位置づけを決めていく必要がある」とした。
臨床試験段階ではわからなかった副作用の可能性があるなどとして現時点では処方しないことを決めた病院もある。
亀田総合病院(千葉県鴨川市)の感染症科部長は「予期しない副作用が判明する可能性があり、積極的に使用するものではないと判断した」と話す。
 
そもそも、インフルエンザは治療薬を使わなくても治ることが大半だ。
他の治療薬と同様、適切な患者に慎重に使用していく必要がある。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2018.12.18



亀田メディカルセンター亀田総合病院 感染症科 ゾフルーザ採用見送り
http://www.kameda.com/pr/infectious_disease/post_140.html
・ウイルスの排泄がday 2-3がタミフルより少ない状態となることが利点とされているが、本当にそれによって感染性が落ちることは示されていない(飛沫予防策の期間は変わらない)。
また、インフルエンザウイルスA/H3N2で、治療中に約10%が耐性化する可能性が指摘されており、その場合、ウイルス排泄はタミフル群より多いため、むしろそのような株が大勢を占めた場合、感染伝播拡大の危険性もある。
・コストは、4789円(40mg)で、タミフルの2720円(5日分)の1.76倍。
タミフルジェネリックはさらに安く1360円(ゾフルーザはこれの3.52倍)。
将来的に、タミフル耐性ウイルスが出た場合の治療薬となる可能性もあり、今から使用して、耐性ウイルスを増やしてしまってもよいのか、という問題もある。

インフルエンザウイルスの増殖過程とゾフルーザの作用機序
https://www.shionogi.co.jp/med/p_xofluza/mechanism/action_movie/index.html
(動画)

Xofluza(ゾフルーザ)の名前の由来
XO(ノックアウト,~がない)+ influenza