花粉症による目のかゆみ対策

花粉症にドライアイ 目かゆくても冷却・水洗いはNG

花粉症患者は、調査を重ねるたびに増加傾向にある。
全国でも多いといわれている東京都の2016年度調査では、東京都内のスギ花粉症推定有病率は48.8%。10年前の大規模調査よりも全年齢で有病率が上昇している。
花粉症によるくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみに悩む人は少なくない。
「鼻」へのダメージも嫌だが、特に「目」の場合、集中力を落とし、ひどいときにはかゆみや違和感で目を開けられなくなり、ストレスの増大と仕事の効率低下を招く。
世の中には、さまざまな花粉症対策法が出回っているが、なかには陥りがちな間違いもある。

ドライアイの人は花粉症もひどい
――「実はドライアイ症状がある人は、花粉症の症状もひどい」
ドライアイというのは、涙の量が減ってしまったり、涙は分泌されるのにすぐに乾いたりすることで、結果的に目に傷などのダメージが出やすい症状だ。
パソコン作業、コンタクトレンズの装着、加齢など原因はいろいろだが、確実にドライアイ患者さんは増えている。
ドライアイ患者が増えているということは、花粉症症状がひどい人も増えているということになる。

――「理由はシンプルだ。一つは、涙の量や質が悪くなった状態のドライアイの目に花粉が飛び込んできても、涙で洗い流すことができないということ。さらに、ドライアイの人は角膜(黒目の部分)が弱っているので、花粉などのアレルゲンから受けるダメージも大きい」
つまり、洗い流す涙が少なく刺激に弱くなった目に「花粉」という大きな敵が舞い降りることで、目はダメージを悪化させる。

――「ドライアイ患者さんは集中力が低下しやすい。当然、ドライアイで花粉症もあるなら、集中力の低下とストレスを招きやすい」
まずは、この時期の花粉によるストレスをなんとかしなければならない。

――「花粉が目に入ったことによるアレルギー症状には、主に4つある。『かゆみ』『涙が出る』『目やにが出る』『充血』だ」

【花粉が目に入ることによる主なアレルギー症状】
〇「かゆみ」:目や鼻の粘膜にある肥満細胞から化学物質(ヒスタミンなど)が放出され、異物である花粉に過剰反応して発生する

〇「涙が出る」:目に異物が入ったことによって「大変だ!目を守らなければ!」と目が反応することで出る

〇「目やにが出る」:花粉が飛び込むことで、花粉を撃退するために戦った目の表面の細胞の死骸や、ダメージを受けた組織。「皮膚と同じく、垢(あか)や老廃物の一種ですね」(綾木さん)

〇「充血」:花粉との戦いの最中に出たヒスタミンなどの化学物質が血管を刺激することで起こる

・・・花粉が目に飛び込むと、目の中では激しい戦いが繰り広げられる。
目がつらくなるのも当然のことなのだと、納得だ。

NGルール(1)「目や目の周辺を手でかくのはNG」
なかでも、「かゆみ」で困っている人は少なくない。
しかし、こするのは絶対にダメだ。
ヒスタミンなどの『かゆみ物質』はこすればこするほど増えて、かゆみは広がる一方となる。これは皮膚と同じだ。

では、どうすれば?
――「花粉用メガネやゴーグルをかけるなどして花粉を寄せ付けないこと。花粉がついてかゆみを感じたら、まばたきや目を閉じて涙で洗うのが一番だ」

NGルール(2)「水道水で目を洗うのはNG」
そうは言っても、前述した通り、ドライアイなどで涙の量が少なく、うまく洗い流せない人も多い。そんなこんなでこの季節になると、目を取り出してジャブジャブと洗い流したくなる。
しかし、水で目をジャブジャブと洗うことは避けよう。

――「まぶたについた花粉を洗い流すための洗浄ならいいが、目の中の花粉なら、基本的に涙で落ちる」

水道水なら、目の中でも問題はなさそうに思えるのだが……。

――「水道水は、基本的に目には有害だ。涙とは違うので、浸透圧も成分も違う。コンタクトレンズを水で洗ってしまうと、水道水に生息するアカントアメーバコンタクトレンズを介して角膜炎を引き起こし、ひどくなると失明の危険もある」

プールに行くと、泳いだ後に水でジャブジャブ刺激を与えながら目を洗う光景をよく見かける。これはどうなのだろうか。

――「実は、涙と違う成分を水圧をかけて目に浴びせているわけだから目にはよくない。もちろん、顔を洗いゴミや花粉を洗い流す程度だったら、問題はない。でも、必要以上に水道水を目の中に入れないこと」

NGルール(3)「目薬を乱用するのはNG」
それでは、涙で洗い流せない場合は、点眼薬を使いまくるしかないのだろうか?
――「点眼薬も、何度も何度も頻繁に差すなど、使い過ぎは目に有害だ。特に防腐剤が入っている目薬は目を傷めることがある。あくまで処方通りの適量を守ろう」

では、どうしても「洗い流したい」という切実な思いを満足させるには、どうすればよいのだろうか?

――「洗い流したいのだったら、花粉やゴミなどを洗い流す洗眼薬がある。ただそれも、健常な目だったり定められた用量を守って使ったりする分にはいいが、ドライアイのように目を傷めている場合や使い過ぎには注意が必要だ」

含まれている成分によっては、目に悪影響を与える場合もある。
洗浄用の目薬が自分の目に合っていて安全かどうか、眼科医にご相談の上、用量や用法を守ること。

NGルール(4)「目を冷やすのはNG」
目がつらいときに目を冷やすと、気が紛れ、炎症を抑えられるような気もするが、これはどうなのだろうか。
――「気分転換や治療になると思い込んで、やたらと冷やすのは危険だ。気分のリフレッシュ効果はあっても、目の健康には逆効果となる。特に点眼治療中の人やドライアイ気味の人など、目が弱っている人は避けたほうがいい」

涙は、涙腺から分泌される「水分」、その水分の蒸発を抑えるために目の縁から分泌される「油」、水分が流れてしまわないようにのりの役割をしている「ムチン」が目の表面から分泌されることで構成され、目を守っている。
目を冷やしてしまうと、特に油の分泌が滞りがちになり、涙の健康的な循環に悪影響が出て涙の質も下がる。
――「特にこの時期、目を冷やしてしまうと、涙による花粉の洗浄除去が不十分になり、花粉によるダメージからの回復も阻害されてしまうことになる」

目のかゆみがとれるどころか、冷やすことでますますひどくなる可能性があるらしい。

――「逆に、目を温めれば、大抵の人は気持ちよく感じられる。滞りがちな涙の分泌も目の中での循環もスムーズになるためだ」

目のかゆみや違和感を覚えたら、目を温めることで、その不快感を改善できる。
目がふんわりと温められると、花粉によるかゆみもイライラ感も忘れてリラックスできるようになる。

――「まばたきには目の表面をきれいに拭く役割が、涙には目の表面を洗い流す役割がある。まばたきや涙で花粉を除去し、目を閉じて目を休ませることが、この時期のかゆみストレスから解放される一番のリラックス法だ。そのときに目を温めれば、さらに目が楽になる。簡単なことに思えるが、意外と、ちゃんと目を休ませている人はそう多くはない」

NGルール(5)「メガネを曇らせるマスクの装着法はNG」
――「ちゃんと正しい装着法でマスクを使っていますか? 」

正しいマスクの装着法
(1)ワイヤがついている辺を上にして耳にゴムひもをかける
(2)両手の指でワイヤを顔に押さえつけながら鼻とほほにフィットさせて隙間をなくす
(3)ワイヤ部分を片手の親指と人さし指で支えながら、残りの手であごの下までマスクを伸ばす
(4)両手でマスクを覆い、空気漏れをチェック。呼吸をしてもマスクが顔に密着するように(2)を繰り返して確認する

――「こうすれば、呼吸をしてもマスクが顔に吸い付いたままなので、メガネは曇らない」

手で鼻とほほに当たるワイヤ部分を密着させるように心がけて息漏れチェックを繰り返してみれば、なんとか曇りも違和感もない視界を手に入れることができる。

マスクは、どのタイプでも大丈夫なのだろうか?

――「ワイヤが鼻の形に曲がらない製品は用をなさない。上端を内側に折り曲げるやり方もあるようだが、ワイヤがしっかりとしているマスクなら、不要だ。ワイヤを鼻とほほにしっかりと添わせるだけで簡単に顔にフィットさせることができる」
こうしてチェックしていくと、無意識にNG行為を行っていることに気づく。
現代人は、パソコンやスマホ操作など、何かと目を酷使する機会が多い。
目のかゆみストレスから解放されれば、視界も広がり前向きになれる。

「花粉症による目のかゆみストレス」軽減のためにやってはいけないNGルール
(1)「目や目の周辺を手でかくのはNG」
⇒「かゆいからかく」行為は、かゆみを増やすだけ

(2)「水道水で目を洗うのはNG」
⇒顔、特にまぶたについた花粉を洗うだけならいいが、目を洗うことは目によくない

(3)「目薬を乱用するのはNG」
⇒目薬の使い過ぎは目に有害。特に防腐剤が入っていると、目を傷めることがある

(4)「目を冷やすのはNG」
⇒冷やすことは、目の状態の悪化を招くことがある。温める方が目の健康には良い

(5)「メガネを曇らせるマスクの装着法はNG」
⇒マスクの装着法に気を付けるだけで、「レンズの曇りストレス」から解消される!

参考・引用一部改変
日経Gooday 2019/3/18


 
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2019.4.4 撮影