寝起きの時間帯はできるだけ同じに

体内リズム 寝起きの時間帯はできるだけ同じに


日々の睡眠不足を取り返そうと、休日には寝だめをしてしまいがちだ。
しかし、こうした生活を続けていると「体内リズム」が乱れ、かえって体に悪い影響を与えてしまう。
 
人には約24時間周期の体内リズムが備わっていて、朝に目が覚めたり夜眠くなったりするし、体温や血圧も変化している。
リズムは、光をいつ浴びるかで変わる。
朝に光を浴びるとリズムが早まり、夜に浴びると遅れて夜型化する。
体内リズムの周期は24時間より少し長いため1日の長さとずれがあるが、朝に光を浴びることでリセットされている。
 
現代は職場や自宅など同じような明るさの中で過ごす時間が長い。
光のメリハリがなく、体内リズムが乱れやすい。
特に青色を多く含む光はリズムに強く作用するという。
 
休日の朝寝坊や休日前の夜更かしで、寝る時間や起きる時間が平日とずれることでもリズムは乱れる。
こうしたずれは「社会的ジェットラグ(時差ボケ)」と呼ばれ、心身に影響を及ぼす。
 
海外の研究では、ずれが大きくなると肥満になりやすく、2時間以上のずれがあると抑うつ状態が強くなるとされる。
週末に朝寝坊する人は、翌週前半の疲労感や眠気が強いとの報告もある。
 
では、体内リズムを整えるにはどうすればいいのだろうか。
 
平日も休日もできるだけ同じ時間帯に寝起きすることが大切だ。
睡眠時間は人によって違いがあるものの、大人の場合、普通なら7時間以上必要とされる。
休日に寝だめをしている分を、20分ずつでも平日に割り振る工夫をしたい。
 
朝起きたら、まずカーテンを開けたりベランダに出たりして朝日を浴びよう。
朝食をしっかりとる、適度に運動するなどのほか、昼に10~20分ほど座った状態で目を閉じるのもお勤めだ。
夜には、湯船でリラックスして深酒しない、照明は落とし気味にする、スマホやパソコンの使用は寝る1時間前までにやめる、といったことを心がけたい。

朝日新聞・朝刊 2019.2.9



<関連サイト>
体内リズムが乱れると・・・
https://www.otsuka.co.jp/suimin/influence.html
・体内リズムが乱れやすい人は、肥満やメタボであったり、糖尿病のリスクが高いと言われている。
・交代勤務のシフトワーカーは日勤と夜勤を繰り返すことで体内リズムも乱れやすく、日勤者より発がんリスクが高いといわれている。
・体内リズムのズレは認知機能にも影響することがわかっており、さらには起床時の憂鬱や身体の不調とも関係があることが明らかになっている。
・睡眠は、就寝時に向けて分泌されるメラトニンと起床時に向けて分泌されるオレキシンというホルモンでリズムを形成しており、メラトニンは、眠気を誘う「睡眠ホルモン」と言われている。
このメラトニンのリズムを刻む起点となるのが、朝の体内時計のリセット。
太陽の光を浴び、体内時計がリセットされてから15~16時間後にメラトニンが分泌され眠気が生じるように体はできている。
・朝にうまくリセットが行われないと、夜間のメラトニンの分泌が遅れたり、分泌が不十分になったりする。
逆に夜間に強い光を浴びると、体は「朝が来た」と勘違いしていまい、メラトニンの分泌のリズムに乱れが生じる。