口の機能低下、筋トレで予防

滑舌や噛む力は大丈夫? 口の機能低下、筋トレで予防

うがいや早口言葉/噛み応えある食品を
「滑舌が悪くなった」「会話中に唾が飛ぶ」・・・。
こんな様子があれば、口の機能が低下している兆候だ。
放置すると、低栄養や病気、全身の虚弱などの原因にもなる。

硬いものが食べづらい、食べこぼす、自分の唾液でむせる、滑舌が悪くなるなど、口の機能低下の兆しが表れる状態は「オーラルフレイル」と呼ばれる。
40代後半以降に兆候が表れる人が増える。
見過ごしていると、軟らかいものばかり食べる、筋力が低下する、そしゃくしづらいという悪循環に陥り、口の機能が一層低下する。

大きな要因は舌や口周りの筋力の低下。
飲食や会話の際は舌やほお、下あごなど様々な部位をタイミングよく連動して動かす必要がある。
そのためには、舌や咬筋などに十分な筋力が必要だ。
虫歯や歯周病、あわない入れ歯など、歯のトラブルが原因の場合もある。

口の機能を保つことが重要視され、2018年の診療報酬改定では、65歳以上に対する「口腔機能低下症」の検査や治療などが保険適用になった。
加齢などが原因でそしゃくや飲み込み、唾液の分泌などの機能が低下する病気を指し、進行すると、食べ物が誤って気道に入って起こる誤嚥性肺炎などの原因にもなる。

オーラルフレイルはQOL(生活の質)と寿命に影響を与える。
オーラルフレイルのある高齢者は、全身の虚弱や筋力の衰え、要介護状態になる危険性、死亡のリスクが、問題のない人の2倍以上に達したという。

予防には若い頃からの心がけが大切だ。
まず、しっかりかめる歯と歯茎を保つ。
歯磨きで口の中を清潔にし、定期的に歯科医院で検診を受けたい。
同時に、ウオーキングや筋トレで全身の筋力の維持を図る。
舌の筋肉の量は、骨格筋の量と相関することがわかっている。
口腔機能が衰えた高齢者に舌のトレーニングをすると、骨格筋量が多い人ほど効果が表れやすい。

全身運動と並行して、口周りの筋トレに取り組もう。
口角の両端を思い切り左右に引っ張る「イー」と、唇を前に突き出す「ウー」の発声を繰り返すと、舌や唇の運動範囲を広げて筋力をつけることができる。
舌をできるだけ出して上下左右に動かす運動では、舌の動きが良くなる。
水を口に含み、ほお全体を思い切り膨らませたりすぼませたりするブクブクうがいや、口に水を含んだ状態で上を向き、喉の奥でガラガラするうがいもおすすめだ。
舌や舌の奥、ほおの筋力を高める。

舌や唇を巧みに動かせるようにするには、早口言葉も役立つ。
砂糖不使用のガムをかむのもいい。
舌を使ってガムを口の中で左右、手前、奥と動かす。
1回10分程度は噛みたい。

人と会話するときは、口を大きく開けてしっかり動かし、相手に聞かせることを意識する。
日ごろ会話が少ない人は、本や新聞を音読するのも一案だ。

口周りのトレーニングは予防に役立つうえ、口腔機能が低下した人にも有効。
鏡を見ながら、どこを動かしているか意識しながら取り組むのがポイント。
毎日の習慣に取り入れてみよう。

噛む力を保つには、噛み応えのある食品の摂取も重要だ。
多種多品目の食材を使った食事だと、色々な食感を楽しめる。

参考・引用内部改変
日経新聞・朝刊 2019.2.23

関連サイト
舌や口周りを鍛えるトレーニン
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/382