口の健康維持

口の健康維持 かむ力や飲み込む力を保つ

最近、食べこぼしが増えたり、むせてしまったりするなどの症状はないだろうか。
加齢とともに口の機能が衰える状態を「オーラルフレイル」という。
この兆候を早めに発見し、対処することが大切だ。
 
「フレイル」とは「虚弱」を意味する英語が語源で、高齢になって筋力や心身の活力が衰えた状態を指す。「オーラルフレイル」は、口の機能の衰えが、食欲の低下や栄養状態の悪化をもたらすという概念で、近年注目されている。
 
口の健康を維持するためには、歯の本数だけでなく、かむ力や飲み込む力、舌の力を保つことも欠かせない。
硬いものがかめないと、軟らかいものばかり食べて、かむ機能が低下するという悪循環に陥る。
放っておくと、誤って食べ物などが気管に入る誤嚥を招きかねない。
 
例えば、さきイカやたくあんなどの硬い食べ物がかめない場合、かむ力や口の筋力が弱まっている可能性がある。
お茶や汁物でむせることがあれば、飲み込む力が低下している恐れがある。
これらの症状を予防するには、次のような体操が有効だ。
 
一つは、唾液の分泌を促す唾液腺マッサージ。
奥歯の周囲の耳下腺、あごのエラの下にある顎下腺、あご裏の中央にある舌下腺を指で優しく刺激する。
唾液が出ることで、食べ物を飲み込みやすくなる。
もう一つは「パタカラ体操」。
「パパパ、タタタ、カカカ、ラララ」「パタカラ、パタカラ、パタカラ」と大きな声で繰り返す。
パは唇、タは舌の先端を使うといったように、口の周囲の筋力を向上させることができる。
 
普段の食事でたくあんやにんじんなど、かむと音のする物を一品入れるだけでも効果がある。
今年4月から、口腔機能の低下が疑われる65歳以上を対象に、かむ力の検査などが保険適用になった。
かかりつけ医をもって、定期的に歯科検診することも大切だ。

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2018.6.2