善玉菌増やし免疫アップ

善玉菌増やし免疫アップ

腸内環境整え夏バテ撃退 乳酸菌で活性化 / ストレスも大敵
暑い日が続くと、食欲不振や気力減退に悩まされる人が増える。
体調管理には腸内にある細菌群のバランスが関係する。
体に負担をかける悪玉菌を減らし、健康に役立つ善玉菌を増やすことで夏バテを防ぎたい。
 
一人ひとりの場には約100兆個とも、200兆個ともいわれる膨大な細菌が生息している。
腸内の多様な細菌群のバランスの乱れが、アレルギー発症、肥満など多くの疾患を引き起こしている可能性が指摘されている。
夏バテによる不調も、腸内細菌の活動か鈍り免疫力が低下してしまうことが要因だ。
 
腸内細菌は大きく3つに分類される。
一つは乳液菌に代表され腸の活動を活性化し、体の抵抗力を高める善玉菌。
もう一つは、ブドウ球菌など毒素を出して下痢や便秘、炎症につながる悪玉菌がある。
それぞれ腸内細菌全体の10~15%ほどで20%を超えることはない。
腸内細菌のおよそ70%を占めるのは、そのどちらでもない日和見菌だ。
 
日和見菌は場内環境によって善玉菌にも悪玉菌にも味方する。
日和見菌には2種類ある。
腸内環境が悪化すると悪玉菌の活動を助けようとするものと、逆に善玉菌が活発になるとその働きを支援するものがある。
冷房や冷たい飲み物などで腸が冷えて下痢の状態が続くと、悪玉菌が優位の腸内環境となり、悪玉型になる日和見菌が増える。
 
夏バテ対策としては、悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすようにする。
善玉菌に味方する日和見菌の勢力を高めることも欠かせない。
 
暑気払いといって、焼き肉やバーベキューでスタミナをつけて乗り切ろうと考える人も少なくない。
しかし、肉類の食べ過ぎは、腸内細菌のバランスを崩す。
悪玉菌は動脈硬化を促進する物質も生み出すので、過度な肉類の摂取に注意を促す。
 

善玉菌を増やす上でお勧めなのは、乳酸菌を含み栄養バランスも良いヨーグルトだ。
市販のヨーグルトはさまざまな乳酸菌・ビフィズス菌の効果をうたっている。
生きたままの乳酸菌が腸に届く「プロバイオティクス」という機能性の高いヨーグルトもある。
 
ただ、乳酸菌の特徴として死んだ後も仲間の乳酸菌を活性化させる要素を出し続けるので、普通のヨーグルトでも腸内の善玉菌の活性化に十分効果がある。
 
腸内の善玉菌の種類は、生後1歳ぐらいまでの生活環境を基に形成されていくので、人によって異なる。
様々なヨーグルト製品を交代で2週間ずつ続けて食べてみて、便通や肌の調子が良くなるものが自分に合うタイプのものだ。
 
夏バテ対策として日本の伝統的な発酵食品である味噌、漬物、納豆などがある。
できるだけいろいろな種類の善玉菌を腸内に入れてあげることが良い腸内環境づくりにつながるからだ。
 
塩分が気になるところだが、最新の研究では、通常の味噌汁の塩分程度では一般的に高血圧症などのリスクが低いことがわかっている。
味噌や漬物の食欲増進効果も夏バテ対策にピッタリという。
 
加齢やストレスの多い生活も腸内環境を悪化させる。
気になる人に対し、医療機関で腸内の細菌群の様子を見る検査(3万5千~4万円程度)がある。
少量の便から遺伝子レベルで腸内細菌のバランスを調べる。医師や栄養士から、その人の腸内環境に応じた生活改善のアドバイスが受けられる。

腸内環境を
整えるために
1.発酵食品(納豆、漬物、ヨーグルトなど)をとる
2.野菜、豆、穀物類など食物繊維を含む食事を心がける
3.オリゴ糖を含む食材を1.と―緒にとる
  (善玉菌の養分となる)
4.防腐剤などの食品添加物の使用をできるだけ避ける
5.夏こそお風呂でゆっくりあたたまる

こうすると悪化する
・冷房や冷たい飲み物で腸を冷やす
・高たんぱく・高脂質の食事が続く
・過度なストレスがかかる
抗生物質など薬物の過剰摂取

日経新聞・朝刊 2019.6.22


<関連サイト>
腸内細菌のチカラ~大腸が握る健康維持の鍵~|武田薬報web
https://takeda-kenko.jp/yakuhou/feature/intestinalbacteria/vol01.html
・ヒトの大腸に生息する腸内細菌は2万~2万5,000種以上、大腸内の腸内細菌の総重量は1.5kg、便1g当たりに含まれる腸内細菌は約1兆個といわれている。
また、便の成分の80%は水で、残りの20%が固形成分だが、この固形成分の3分の1が摂取した食物の食べカス、3分の2が腸内細菌とはがれた腸の粘膜。
ただし、食物の残渣には食物繊維が含まれるため、食物繊維が多い食物を摂取すれば、便の量は増えることになる。

・体に悪影響を与える「悪玉菌」、つまり「有害菌」が増えることで有害物質が産生され、直接大腸に障害を起こしたり、血流を介して全身に蔓延しさまざまな病気を引き起こすということもわかってきた。
大腸がんや乳がん、肥満、糖尿病、さらに花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー症状にも腸内細菌が影響することが相次いで報告されている。

次々に明かされる腸内細菌の力
・腸内細菌の研究はさらに進み、大腸の病気から全身の疾患、脳の機能さえも影響を及ぼしていることが明らかになってきている。

・腸内細菌は脳の機能を左右する生きた微生物であると考えられている。
例をあげると、おなかがすくとイライラしてくるのは腸内細菌が栄養源を要求している、そういうイライラさせる物質を作り出して信号を与えているということが明らかになってきているのだ。
 
・また最近の研究では、自閉症から始まって認知症に関わるアルツハイマー病やパーキンソン病と腸内細菌の関係までもが解明されつつあり、まさに腸内細菌の研究は現代医療のトップランナーの位置にあるともいえる。
 
・健康に関心を持つことは、自分の腸に関心を持つことから始まる。
運動と食事を工夫して、ビフィズス菌酪酸産生菌などの腸内細菌の力も借りながら、健康寿命を延ばそう。
寿命さえ左右する臓器である「腸」を制することこそが快適なネクスト・ライフを手にする「はじめの一歩」であると肝に銘じることが大切だ。


<関連サイト>
「腸内細菌」って何ですか
https://www.taiho.co.jp/kenko/otayori/chounai01.html


腸内フローラって、何?
https://www.biofermin.co.jp/nyusankin/
chonaiflora/aboutchoflora/
(動画でビオフェルミンが紹介されています)

腸内細菌の基礎
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM1410_03.pdf
(専門的な内容になっています)