乳酸菌の効果

死菌でも起こる免疫の活性化

サラダチキンやスナック菓子、納豆、もずく・・・。
最近、思いがけない食品に「乳酸菌」が入っている。
使われているのは加熱処理して死んでいる「死菌」だ。
生きた菌(生菌)と死菌とでは、健康への効果にどのような違いがあるのだろうか。

従来、健康に良いと期待できる菌と言えば、「生きて腸まで届く」ことをうたい文句にした、ヨーグルト製品に入った乳酸菌やビフィズス菌が思い浮かぶ。

ヨーグルト製品などに使われている乳酸菌やビフィズス菌が生きたまま腸内に到達すると、腸内の栄養素や食物繊維などを分解し、乳酸や酢酸を産生する。
乳酸や酢酸には腸の粘膜の機能を高めたり、有害菌を排除する働きがある。
また、乳酸や酢酸で腸内が酸性化すると、腸壁が刺激されて蠕動運動が活発になり、便通がよくなると考えられている。

一方、食品が大腸に到達する前に通る小腸の腸壁には免疫組織があり、そこを乳酸菌などが通過すると菌体の一部が免疫細胞に認識され、免疫が活性化する。

様々な研究から、腸管免疫の活性化は菌体の成分や構成要素によって起こるため、菌が死んでいても生菌と同じように活性化が起こるとわかっている。

森永乳業では2014年から加熱処理した乳酸菌の死菌を「シールド乳酸菌」として発売している。
死菌なので加熱して製造する食品にも使えるため、食パンや即席みそ汁などこれまでに約250種類の製品に使われている。

生菌と死菌をどう食べ分けたらいいのか。
整腸作用を期待するなら生菌の方が効果が高いと思われるが、免疫機能の活性化ならどちらも同じだ。
むしろ、多種類ある乳酸菌すべての健康効果が確認されているわけではないので、効果が検証された「特定保健用食品(トクホ)」「機能性表示食品」かどうかなどをチェックして選ぶ方が賢明だ。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2018.10.6


<関連サイト>
乳酸菌 生菌と死菌の作用
https://wsnoopy.wixsite.com/mysite/blog/乳酸菌-生菌と死菌の作用