パニック障害 誰もが患う可能性

パニック障害 誰もが患う可能性 専門医に早めの相談を

病名から誤解をまねきがちな「パニック障害」の患者らが、職場などで少しでも周囲の理解を得られるようにと、情報発信に取り組んでいる。

企業での講演を通じた啓発のほか、病気克服の成功体験を共有して相談活動につなげる例も。発症のメカニズムは未解明だが、周囲の理解があるという安心感で発作が起きにくくなることもあるという。
パニック障害は心臓や血管などに特に異常がないのに動悸や発汗、息苦しさなどの症状が起こる。

脳の神経伝達物質の働きが崩れることが原因とされるが、物質の働きが崩れる理由は分かっていない。
一度発作を起こすと、同じような環境になると「また発作が起きるのでは」と不安に陥り、発作を起こすこともある。
 
厚生労働省によると、パニック障害の受診者数は1996年に約3千人だったが、2017年は約8万3千人に増えた。
専門の医療機関が増えるなど認知度が上がったことも背景にあるとみられる。
発症のきっかけがないことがこの病気の特徴。
誰もがなり得る可能性がある。
 
効果的な治療法の一つである認知行動療法は、少しずつ成功体験を重ねさせて、不安に対する耐性を高める。
例えば急行電車の乗車時に発症した人の場合、最初は発作が起こらない範囲で、無理せず各駅停車で1駅だけ乗車する。

克服できたら徐々に乗る区間を伸ばし、「ここまで乗っても大丈夫」という心理状態を積み重ねる。
 
森田療法精神科医森田正馬1920年大正9年)ごろに生み出した治療法で、「症状は治さなくていい」としてあるがまま
を受け入れる心理療法だ。
このほか、神経伝達物質の崩れを整えるための薬剤治療も効果があるとされている。
 
発作を恐れて外出できなくなり、うつ病など他の精神疾患を併発する患者もいる。
パニック障害が疑われる発作が繰り返すなら、専門医に早めに相談したい。

参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2019.7.3