インフルエンザウイルス

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牧利保 ブドウ畑 勝沼にて  水彩画
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インフルエンザが流行しています。
今シーズンは例年より流行が早かったのですが、
当院での状況は、今のところ爆発的な流行というより例年なみといった
ところです。
12月初旬にインフルエンザ第1例が見つかり、その方はB型でした。
その後はすべてA型です。
1月2日に休日診療所に出務しましたが全例A型、看護師さんに聞いても
今シーズンはすべてA型とのこと。
当院の1例目はいったい何だったんでしょうか。

さて、最近他のブログで
鳥インフルエンザ 人から人に感染」 
http://wellfrog.exblog.jp/7992770/
という題で新型インフルエンザの脅威について書かせていただきました。

こんなインフルエンザがパンデミックになったら大変です。
インフルエンザウイルス検出キットで検査して、「普通のインフルエンザで
よかったね」って患者さんにいうような事態にならないことを祈るばかりです。
さて、新聞にちょっと面白い記事が出ていたので紹介させていただきます。

インフルエンザ  敵の正体を知り備えよう

インフルエンザが猛威をふるっている。
年が明け、さらに広がる気配だ。

今回の流行の中心は「Aソ連型」と呼ばれるウイルスで、冷戦さなかの1977年に
現れた種類だ。
その名のもとになった国が消えたいまも、しぶとく生き残っている。

といっても、「生き残った」という表現は、正確ではないかもしれない。

「私は、ウイルスを生物であるとは定義しない」。
40万部を超え、科学書としては異例のベストセラーになっている「生物と無生物の
あいだ」で、福岡伸一青山学院大教授はそう書いている。

「生物ではなく、限りなく物質に近い存在」なのだという。
生きていないのだから、殺すことはできない。
なんだか拍子抜けするような話である。ウイルスとはいったい何か。
まず敵の正体を知っておくことが大切だ。

同じ病原体の仲間である細菌と比べると、その違いがはっきりする。

細菌は、外から物を取り込んでエネルギーを生みながら生きている。
単細胞とはいえ、生命活動を営んでいるから、抗生物質で殺すことができる。

ウイルスはDNAなどの遺伝物質がたんぱく質の殻をかぶっただけのもので、
生命活動は一切ない。
細菌は形や大きさがさまざまなのに、ウイルスは同じ種類なら全く同じだ。
まさにモノである。

単なるモノと違うのは増えていくことだ。
ただ、細菌と違って自分で増える力がないので、特定の細胞に入り込んで乗っ取り、
作らせる。
乗っ取られた細胞は機能が損なわれて病気になる。
では、乗っ取りをどう防ぐか。
頼りは、からだに免疫を与えるワクチンだ。
ワクチンはいわば、おとりを大量に作り出す。
それがウイルスをおびき寄せ、ねらわれた細胞を守る。
ところが、インフルエンザのウイルスは次々に変化し、ワクチンが仕掛けたわなを
かいくぐろうとするから厄介だ。

そこで大切なのは、入ごみを避け、よく手を洗うなどの基本動作によって、
ウイルスを体の中に入れないことだ。
ウイルスに入られたら、対抗するには体力をつけることが欠かせない。

せきが出る人にはマスクをしてもらいたい。
これはウイルスを他人にまき散らさないため守るべき作法だ。

インフルエンザの薬であるタミフルは、細胞で作られたウイルスが外に飛び出す
のをじゃまする。
異常行動を招く疑いが消えず、10代には使えないことになっているが、10代なら、
薬に頼らずに治す体力があるはずだ。

自然界には、膨大な数のウイルスがいる。
薬害が問題になったC型肝炎ウイルスは20年前に見つかった。
今も、毎年のように新顔が人間の世界に飛び込んできて、病気を起こしている。
ウイルスと人類の戦いに、おそらく終わりはない。
正体を知ったうえで、インフルエンザにも備えたい。

朝日新聞・朝刊<社説> 2008.1.4
版権   朝日新聞社

ウイルス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9
ウイルスはどんな生物ですか?
http://www.fiberbit.net/user/biology/QA/items/seibutu19-1.html
[今日の勉強]ウィルスは生物か非生物か?
http://ikimonotuusin.com/doc/219.htm
ウイルスは、生物が進化するための小器官である
http://www1.plala.or.jp/yossie/ikimono/ik03.htm
ウイルスは生きているのか
http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0503/virus.html

<コメント>
生物兵器」という言葉があります。
ウイルスが生物でないとすると、ウイルスを兵器として使用しても「生物兵器
使用に該当しないということになります。
生物兵器使用禁止を唄うのなら、名称の変更が必要です。
屁理屈をいう国家が出てくるかも知れないからからです。
ちょっと怖い話になってしまいました。

<自遊時間>
昨日、新患の赤ちゃんが母親に連れられて来院しました。
カルテを見てびっくり。
カルテ番号が19990.
赤ちゃんの生年月日が平成19年9月9日。
思わずお母さんに「診察券、一生大事に持っててね」って言ってしまいました。
赤ちゃんが大きくなるころには当院はもうありません。多分。

それだけのことです。


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