白内障・多焦点眼内レンズ

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アンディー・ウォーホル 「マリリンモンロー」 シルクスクリーン
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p100839618

水晶体は、眼の中でカメラのレンズと同じ働きをしている部分です。
この水晶体という部分が濁って視力が低下する病気が白内障です。
眼内レンズという小さいレンズが眼の中に入りますのでほぼ正常と変わらない見え方
に治すことができます。
わが国では、1985年頃より眼内レンズ挿入術が、普及しだしましたが、1992年4月より
眼内レンズが保険適応となりました。
この眼内レンズは一ヵ所にピントが固定されているので、手術前に医師と相談して、
自分のライフスタイルに合った度数を選んでもらうことが大切です。
最近では眼内レンズも多焦点のレンズが登場しました。
ただし現在、保険は効きません。

週刊誌の記事から紹介します。  

白内障

新技術・多焦点眼内レンズ 遠くが快適に、近くもメガネなしで見える

白内障の眼内レンズ(単焦点)移植手術は1992年に健保適用となり、数百万人が
その恩恵に浴してきた。
新たに実用化された遠近両用の多焦点眼内レンズは、欲張りなことに遠くも近くも
見える、若いときのような目を取り戻せるという。

「遠近両用のコンタクトレンズがある以上、眼内レンズにもあって当然と、開発が
進められていました。
2年前にやっと実用に足るものができ、私どもは昨年から採用しています。
このレンズの適用条件に合致して選択した患者さんの満足度は非常に高い」と説くのは
先駆けの一人、ハマダ眼科の濱田慎一院長。

白内障はカメラのレンズに当たる水晶体が濁って光が透過できず、視力障害をもたらす
病気だ。

健康な水晶体は直径9~10ミリの透明な碁石といった外観で、中から外に向かって核、
皮質、嚢と呼ばれ、蛋白質で構成されている。
誰でも中年期にもなれば、大なり小なり水晶体の混濁が生じるが、中心部が濁って視力が
低下し、手術を要するのは1割程度だ。

白髪やシワと同じ老化現象ともいわれるが、顔面アトピー性皮膚炎や風疹の胎内感染など
にも併発し、薬剤や紫外線や放射線被曝の影響で起こることもある。
原因によらずいったん濁った水晶体は元には戻せず、治療法は手術以外にない。

手術は、顕微鏡下で虹彩(黒目)と白目の境界あたりを2~3ミリ切開し、まず核と皮質
を超音波で砕いて吸い出す。
次に嚢の中にプラスチック製の眼内レンズを折り畳んで入れるだけだ。
縫合しないことも多く、単焦点レンズでも多焦点レンズでも手術操作は同じだ。

度数合せと仮想体験が重要
白内障手術の進歩のポイントは、
�折り畳み可能な素材のレンズができて切開創が小さくなった
�超音波による水晶体破砕装置ができたこと。

さらにレンズの度数合せには超音波測定法が力を発揮してきた。
2002年に出たレーザー干渉計は精度、迅速性、非接触性などで優れ、多焦点レンズの
複雑な計算には不可欠だという。

レンズの度数は患者の生活スタイルに応じて選択されるが、遠方を重視すれば手元用
メガネが欠かせない。
「多焦点眼内レンズなら術後はメガネ不要です。ただし『遠くも近くもよく見える』という
のは過大評価で、『遠くがくっきりすっきり、近くも見える』というのが正確。
車の運転中は前方に注意を払いながら、裸眼でナビも確認できますし、眉や口紅も輪郭どおり
描けるようになります.
快適に見えるまでには脳の慣れを要し、3カ月はかかります」

細かい繊密な手作業を行う人などには不向きだが、小児や若年者には生活の質を上げる
助けになる。
適用となるのは要手術患者の2割程度とみられる。

また、一方が近視で他方が近視か遠視の目をモノビジョンというが、程度によっては単焦点
眼内レンズでこの状態にして見える範囲を広げる方法などもある。
いずれにしろ選択肢が増えた現状では、説明に際して術後の見え方をシミュレーションし、
看護師による説明の場も設けて、疑問を解消しているそうだ。

既に単焦点レンズを入れていて、多焦点レンズとの交換を望む人もいるだろうが、
再手術はレンズの脱臼など事故的ケース以外はしないのが原則だ。
手術はワンチャンスと肝に銘じよう。
白内障手術にあたっては、症例数が多く、目の屈折・調節や光学に精通した眼科医を探す
とよいだろう。

なお多焦点眼内レンズは両眼が原則で、健保適用外のため手術費用を含め百万円前後が相場
となっている。

週刊文春 2008.2.7
版権 文芸春秋社




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