万能細胞の先行く幹細胞 その1(1/2)

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今、新型万能細胞(iPS)が日米間で猛烈な研究競争が行われています。
きょうはより早く実用化が期待されている「幹細胞」のお話です。

幹細胞 患部再生し治療 臨床研究が進む

神経や筋肉、臓器などさまざまな組織や細胞に成長する新型万能細胞が注目
を集めているが、治療への応用が期待される特殊な細胞はこれだけではない。
その中でも実用化が近そうなのが「体性幹細胞」。
万能細胞ほど万能ではなく、限られた組織や細胞にしか成長しないが、
先行して臨床現場での研究が進んでいる。

京都大学の戸ロ田淳也教授らの研究チームは昨年12月から大腿(だいたい)
骨の股(こ)関節との接続部分が壊死(えし)する難病「大腿骨頭壊死」の治療
に患者の骨髄から取り出した細胞を使う試験を始めた。

手術の1~2カ月前に日帰り手術室で採取した骨髄液から体性幹細胞の一種
である「間葉系幹細胞」を分離し、別に採血した血清で約3週間培養。
十分な数になったら土台となる人工骨とともに壊死した部分に移植する。

利点は間葉系幹細胞が骨だけではなく血管の細胞にもなる点だ。
これまでの治療では人エ骨や骨となる細胞を移植していたが、あまり効果が
なかった。
戸口田教授は「栄養を供給する血管がなければ骨だけを移植しても治らない」
と言う。
その課題をクリアできるのが複数種に分化する幹細胞というわけだ。

幹細胞とは、何らかの細胞に分化(成長)する元の細胞。
あらゆる細胞になる能力を持つタイプが万能細胞で、受精卵から作る胚(はい)
性幹細胞(ES細胞)や新型のiPS細胞(人工多能性幹細胞)がある。
これに対し、特定の細胞になるタイプが体性幹細胞で、いろいろな種類がある。

「iPS細胞と比べても、狙ったものに分化・誘導する必要がないのが特徴」と
戸口田教授は指摘する。
万能細胞は何にでもなれるため、治療に必要な目的の細胞になるように誘導
する技術が課題。
逆に分化の種類が限られる体性幹細胞はその苦労 が少ない。

(続)

日経新聞・夕刊 2008.1.20 
版権 日経新聞

(参考)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

糖尿病治療に朗報か、インスリン分泌「幹細胞」発見

血糖値を下げるインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のベータ細胞のもとになる
幹細胞を、ベルギーなどの研究チームがマウスで見つけた。
幹細胞が人間でも見つかれば、ベータ細胞の破壊で起こる1型糖尿病の治療の
可能性も広がる。
科学誌セル最新号に発表された。

肝臓や血球など体の様々な細胞は、それぞれに特有の幹細胞から作られるが、
ベータ細胞の幹細胞は見つかっていなかった。研究チームは成熟したマウスを
使った実験で、傷ついた膵臓ではベータ細胞が増えることを発見。
その仕組みを詳しく調べ、分泌物を運ぶ導管の近くに幹細胞を見つけた。
ベータ細胞を含む「ランゲルハンス島」(膵島(すいとう))の様々な細胞を
生み出すらしい。

糖尿病の治療では、膵島移植が行われるが、膵島を培養して増やさなければ
ならない。
幹細胞の発見で膵島移植が効率よく実施できると期待される。
(2008年1月26日13時11分 読売新聞)より転載

<自遊時間>
ある日、風邪でかかった患者さんが、「昔うちの子が読んでた本です。
先生、ブログに書くネタを探してみえるみたいですからどうぞ。」といって
ある本を進呈してくれました。

その本のタイトルは
「みんなを笑わせるポケットジョーク」(二見書房)

結構面白かったので、これから少しずつ紹介させていただきます。

 
小学生のころ、「どうして『おとうさん』にもおかあさんにもおねえさん
にもおとうとにもおがつくのに、いもうとにだけおがつかないのだろうと
疑問に思っていた。」
Vサイン 
一浪の友人が、合格発表を見に行った。掲示板を見るなりVサインをしな
がら戻ってくるので、「合格か?」と聞いてみると、「違う。二浪だよ」
プロ野球の春季キャンプが始まりました。スポーツニュースを見ていたら
オリックスの清原選手がバスに乗り込む時Vサインをしていました。
その時のアナウンサーの解説は「清原選手。今年も2軍スタートです」でした。)


医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録 
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