めまい

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めまいは日常診療で結構多い病気です。
めまいの多くは心配の要らない末梢性のものですが、中には中枢性といって危険な
めまいもあります。
めまいがひどいと動けない場合が多いのですが、軽くなったら医療機関できちんと
診察を受けられることをお勧めします。
きょうは、めまいの原因としてはもっとも頻度の高い「良性発作性頭位めまい症」を
とりあげてみました。

末梢性と中枢性めまいの区別については
めまい
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%AE%E7%9C%A9
のサイトを参考にして下さい。


広がる理学療法、薬は期待薄か

めまいの原因はさまざまだ。
軽いものも多い。
その代表格が「良性発作性頭位めまい症」。
めまいを専門にしているO耳鼻咽喉科院長(大阪市)は「ある病院耳鼻咽喉科の外来患者
を対象にした調査で、良性発作性頭位めまい症が2割を占め、最も多かった。
ここ数年、注目されているめまい疾患です」と話した。

良性発作性頭位めまい症は、頭を特定の位置(頭位)に動かした時に、突然、くらくらと
回転性のめまいを起こす病気だ。

耳の奥の内耳には、体の平衡を保つため、チューブ状の3つの半規管と、耳石が収まった
袋状の器官・卵形嚢(のう)などがある。
どちらもリンパ液に満たされている。

平衡感覚は、頭の位置や高低の変化で起こる半規管内のリンパ液の流れを「クプラ」と
呼ばれる部分が感知して、目や体の動きをコントロールして保たれている。

ところが、耳石のかけらが何らかの理由で、クプラに付着したり、半規管内で漂ったり
すると、間違った運動の信号を送るために、めまいにつながる。

さまざまな原因が推定されているが、交通事故などで頭に強い衝撃を受け、耳石が脱落
してしまうケースのほか、耳石は炭酸カルシウムの結晶なので、骨粗鬆症などで、
耳石ももろくなってはがれるという説もある。

症状は、朝起きようとした時や、洗濯物を干そうとかがんだり、立ち上がったりした時
などに、よくみられる。
ひどいと、吐き気を覚えることもあるが、多くは数秒から十数秒で治まる。
脳が慣れて次第に軽くなり、1~2カ月ほどすると発症しなくなる場合も少なくない。
   
 ■ ■ ■ 

治療は、近年、理学療法が広がりつつある。
医師が患者を、一定の手順に従って座らせたり、横にさせたりして耳石をもとの場所に
移動させる「エプリー方法」と呼ばれる治療などがある。

聖マリアンナ医大のH 教授(耳鼻咽喉科)によると、この手法で1週間以内に8割の
患者が、2週間以内だど9割以上が治癒したという報告もある。
ただ、高齢者の場合、頭や体をいろんな風に動かして耳石を戻す方法が難しい場合も
あるため、「一定の回数、寝返りを打たせて治そうという方法も研究中」と
している。
薬物による治療は効果が見込めない。

H 教授は「めまいでも比較的、経過は良好だが、何度も再発する難治性のものもある。
特定疾患になっているメニエール病などの経過で起こる
場合もあるので、おかしいと思ったら、早めに専門医に受診してほしい」と話している。

朝日新聞・夕刊 2008.3.24
版権 朝日新聞社     

<参考サイト>
めまいナビ
http://www.memai-navi.com/
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
http://www.memai-navi.com/chishiki/kankei01.htm#
(マンガも載っています)
めまい患者さんの20~40%程度がこの病気で、耳の異常が原因で起こるめまいの中で最も
多い病気といわれています。
朝、寝床から起き上がるときなどに、頭を動かしたり、頭がある特定の位置に移動したり
すると回転性めまいが起こります。
めまいは次第に悪化し、すぐに軽快し消失します。持続時間は数秒から数十秒くらいです。
めまいを繰り返すと、徐々にめまいの症状は軽くなり、消失します。

めまい
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%AE%E7%9C%A9
良性発作性頭位めまい症は加齢や外傷によって前庭の耳石器が遊離し、三半規管に迷入
することによって回転性めまいが生じる病態である。
一度耳石が三半規管に入り込むとクプラがつっかえとなり治らなくなる場合がある。
こうなったばあいはBPPVと診断される。診断はDix-Hallpike Test(ディックスホール
パイクテスト)である。
このテストでは患側が下になった場合のみめまいがおこる。
そして体動によってめまいが増悪し、時間経過とともに消失する。
患側が上の場合はクプラがストッパーになりめまいは誘発されない。
治療はEpley法(エプレイ法)である。これは遊離した耳石を三半規管を巡らせて前庭
に再配置させる方法である。
成功すればめまいの根治となるが急性期では悪心、嘔吐を誘発するので行わない方が
よいといわれている。
よく訓練された医師が行えば80%は根治可能であるが3回ほど行っても改善が見られ
なければ専門医に相談するべきである。
前庭神経炎はBPPVと異なり1か月ほどめまいが持続するのが特徴だが初回の大発作時に
受診した場合BPPV様の経過をとることも知られているため、必ず後日耳鼻科の受診を
勧めるべきである。

ディックスホールパイクテスト
まず一方向に45度首を傾け上体を仰臥位にする。この時、患側が下になっていれば眩暈
が誘発される。
エプレイ法
患側に45度首を傾け仰臥位をとる。首を更に下へ45度傾け、頭部を支えながらゆっくりと
反対方向に回す。
めまいの消失を待ち、逆方向に90度寝返りをうたせ側臥位とし、そのまま上体を起こす。

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