嗅覚障害(においがしない)

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においがしない

「先生、最近においがしなくて困ってるんです」
そんなことをいう患者さんがつい最近も来院」されました。
この症状は日常診療の中で決して珍しいわけではありません。
最近では各地の大学病院の耳鼻科で「におい外来」という特殊外来もあるよう
です。
女性の場合、においがわからないと料理もうまく作れなくなる場合もあるみたい
ですし、食べる時も「味」がよくわからなくなります。
嗅覚も味覚の一部かも知れないと思うぐらいに密接に関連しているようです。
何より(におい)マツタケを食べる意味がなくなってしまいます。
そんな時には(あじ)シメジのにしましょう。

風邪の後、においがしない
http://www.okinawa.med.or.jp/old/ippan/kenkou/981016.htm
鼻腔内か嗅粘膜に障害か/ステロイド剤の点鼻療法を
通常、呼吸によって鼻から入った、においのもととなる分子を含んだ空気は、鼻腔
(くう)の奥にある一種の化学センサーである嗅(きゅう)粘膜に到達し、その
刺激を受けた嗅細胞が嗅神経を介して興奮を大脳に伝え、においを認識します。
この経路のいずれかが障害を受けた場合、においの感覚に異常をきたします。

障害される部位として、
①鼻腔内の空気の流れが物理的に阻害されて嗅粘膜までにおいの分子が届かない
(鼻茸=はなたけ、慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎など)
②センサーである嗅粘膜の障害でにおいに対する反応が起こらない(急性鼻炎、
慢性副鼻腔炎など)③嗅神経の障害で反応が伝達できない(ウイルス、頭部の
外傷、薬剤によるものなど)
④大脳の障害でにおいを認識できない(脳腫瘍=しゅよう、脳手術後、脳卒中など)
- とおよそこの四つに分けられ、①と②が大部分で、③と④は治りにくいタイプ
です。

風邪の後、におい感じなく
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/soudan/20041114sr33.htm
風邪が治った後も、においがしない状態が長く続く時は、かぜのウイルスなどで
においのセンサーが強く障害を受けたことも考えられ、この場合は治療の効果は出
にくくなります。
中枢神経に異常がある場合も、治療は困難になります。

においの不思議
-風邪をひくとなぜにおいを感じなくなるのか?-
http://www.naramed-u.ac.jp/~aff/koukaikouza/h2002tsuboi.pdf
(かなり専門的な内容です)

嗅覚細胞が温度も感知 名大院教授らが線虫の実験で解明
2008年4月11日 朝刊
動物が温度を感じる仕組みについて、名古屋大大学院理学研究科の森郁恵教授、
久原篤助教らのグループが、実験動物の線虫で解明した。においを感じる神経細胞
のタンパク質を介して温度の情報を脳に伝えていた。

冷え性やクーラー病など人間の体温調節に支障を来す病気の治療に期待できるという。
成果は、10日付の米科学誌サイエンス(電子版)に掲載される。

線虫は体長1ミリ程度で土壌に多く存在し、約2万個の遺伝子や感覚情報を処理する
分子は人間と共通している。
森教授らは、線虫が温度を記憶して行動する性質を利用して、温度の変化に対する行動
を観察した。

変化に対し異常な行動を取った線虫の神経細胞を調べたところ、嗅覚(きゅうかく)
神経細胞にあり、脳へ刺激を送るタンパク質「Gタンパク」の働きを制御する分子
「RGS」が欠けていた。
逆に、異常行動を取る線虫の嗅覚神経細胞にRGSを注入したところ、温度の変化
に応じて正常な行動を示した。

また、線虫の神経細胞の働きを観察できるよう、神経細胞が働いている時に光を
発する物質を嗅覚神経細胞に組み込んだところ、外界の温度変化に対応して、嗅覚
神経細胞が発光するのを確認した。

久原助教は「嗅覚神経細胞が同時に温度を感知していたのは驚くべき発見。
人間も鼻にある嗅覚神経細胞で温度を感知している可能性がある」と話している。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008041102002824.html
<コメント>
冷え性の治療にどう結びつくのか今一つピンと来ませんでした。
鼻バカの人は冷え性にならないというのならわかりやすいのですが、現実にはにおい
がわからない人で冷え性の人もたくさんいます。
もし冷え性が嗅覚神経を破壊することによって改善するとすれば、みなさん冷え性
鼻バカのどっちを選びますか。

理化学研究所、脳の「匂い地図」を形成する神経軸索ガイド分子「BIG-2」を発見
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=185516&lindID=4

脳の「匂い地図」を形成する分子メカニズムの解明へ前進
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/080327/

<関連ブログの紹介>
”におい”の不思議に迫る / サイエンスZERO 第167回
http://blogs.yahoo.co.jp/under_the_shiny_sky/50499361.html
9 不思議なにおいの世界
http://blogs.yahoo.co.jp/rentan96chan/15060926.html
におい識別の仕組みは?
http://blogs.yahoo.co.jp/yaji_uma/50575520.html



<自遊時間>
月面越しに“満地球” 周回衛星かぐやが撮影
宇宙航空研究開発機構とNHKは11日、月周回衛星「かぐや」のハイビジョン
カメラで撮影した、月面越しに望むまったく欠けていない地球の画像を公開した。
地球で見る満月になぞらえ、いわば「満地球」(宇宙機構)。青々とした海と白い
雲が印象的だ。

撮影のチャンスは月、地球、太陽と、かぐやの軌道が一直線に並ぶ年に2回しかない
という。
昨年11月に「地球の出、入り」として公開した同様の画像は地球の一部が欠けて
いた。

撮影は今月6日(日本時間)。望遠のハイビジョンカメラでとらえた動画の一部を
静止画像に切り出した。
月面は月の裏側、南緯83度以上の南極付近。地球は南が上になり、左下に北米大陸
中央に太平洋が見えている。
2008/04/11 17:07 共同通信
http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008041101000600.html

プレスリリース
月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)による
「満地球の出」撮影の成功について
http://www.jaxa.jp/press/2008/04/20080411_kaguya_j.html
(ハイビジョンカメラによる動画がみれます)
<コメント>
皆さんは「満地球」の映像を見てどんな音楽が頭に浮かびますか?
私の場合はこれです。
皆さんのコメントをお待ちしていまーす。




誰も歌っておらぬ…パバロッティ氏は口(くち)パク トリノ五輪
「3大テノール」と呼ばれ、昨年9月に71歳で死去したイタリアの世界的なオペラ
歌手ルチアーノ・パバロッティ氏が06年2月のトリノ五輪開会式で歌ったアリア
誰も寝てはならぬ」が実は録音だったと当時のオーケストラの指揮者レオーネ・
マジエラ氏が近著で明らかにした。AP通信が伝えた。

同氏によると、会場に流れたパバロッティ氏の歌も、オーケストラの演奏も録音で、
開会式前に別々に録音。会場ではパバロッティ氏が実際に歌っているかのように口を
動かし、オーケストラも演奏しているふりをしたという。
パバロッティ氏はその後同年の6月に膵臓(すいぞう)がんと診断されており、当時
から痛みを感じていて「その場で歌うのは危険すぎた」という。

パバロッティ氏はニューヨークで手術を受け、その後の引退ツアーをキャンセルした。

出典 朝日新聞 2008.4.9
版権 朝日新聞社
(パバロッティ氏のこの話は4月11日朝刊の「天声人語」でもとりあげられました)
Luciano Pavarotti Nessun Dorma (turandot) Torino 2006
http://www.youtube.com/watch?v=EwlE_qNSWLw


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