後期高齢者医療制度 その2(2/2)

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宮下 孝一 「パンとワイン」
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昨日の続きです。

大垣市議会も「廃止を」

患者にも制度への疑問が募る。
今秋、75歳になるさいたま市の元会社役員、山口信雄さん
は「75歳で切り分ける制度の趣旨は高齢者の気持ちを踏みにじ
る」と憤る。
「不治の病になっても必要以上の医療は受けたくない。でもそれは自分の生き方として
自分が決めること。国から言われる筋合いはない」

地方議会でも反発が広がっている。
2006年末以降、地方議会から衆参両院議長あてに延べ60O近い意見書が提出された。
昨年は「制度の充実」で出した意見書の題を、今年に入って、「凍結・見直し」(岩手県)、
「中止・撤回」(北海道・沼田町)に変更して再提出した例もある。

保守系の議員たちからも、批判の声は強い。
岐阜県大垣市議会は3月、「廃止を求める意見書」を公明党を除く賛成多数で可決。
「我が国の繁栄に尽くしてきた人々の老後を踏みにじる暴挙となることは必至である」と
断じる。

提案者は最大会派の自民クラブ。
「お年寄りを独立した制度に移すのは、家族を引き離すことになる。これまで同様、家族と
一緒に国民健康保険でいいじゃないか」。
議論を主導した市議歴30年の高畑正さん(62)は、こんな違和感を抱く。

昨年10月には、「廃止」を求める要望書を会派でまとめ、自民党本部で伊吹文明幹事長に
直談判した。

大垣市は70年代から、高齢者の自己負担額を減らす独自の助成制度を持つ。
国は来年4月から、70~74歳の窓口負担を現行の1割から2割に上げる予定だが、これ
を市が1割負担に抑えるには約3億4千万円の追加財源が要る。
「これをなくせば大垣の特色が消える」と高畑さんは憂う。

一方、認知症などに詳しい国立長寿医療センター(愛知県大府市)包括診療部長の遠藤英俊
さんは「包括払いはこれまでの『やりすぎ医療』の見直しにつながる画期的なシステム」と
評価する。
外来診療で複数の医療機関にかかり一日にたくさんの薬を飲む人がいる。入院治療では、
人工呼吸管理、胃へ管を差し込む「胃ろう」など、在宅での管理が難しい措置が医療現場で
日常的に行われている。

「主治医制にすることで、病気だけでなく、一人の患者を丸ごと診られるようになる可能性
がある。高齢化社会の医療を考える上で、新制度のメリットにも光を当てる必要がある」

朝日新聞・朝刊 2008.4.18
版権 朝日新聞社

<コメント>
私は昨日とりあげられた「高齢者担当医」制度に特に憂慮しています。
多くの方は年金天引きに憤ってみえますが、医療側は報酬定額・月6000円の「担当医」
に問題の本質を見ています。
「必要な検査を省く恐れ」という副題がついていますが、この額では何も出来ないし、医療
側は何もしません。
逆に何かする医療機関があったらおかしなことです。
馬鹿にするのもいい加減にしろというのが医療側の言い分です。

また最後の遠藤先生のコメントは国家公務員という立場での発言と思われます。
『やりすぎ医療』とか『病気だけでなく、一人の患者を丸ごと診られる』という言葉は
そのまま国立長寿医療センターのこの先生にお返ししたいと思います。

<番外編>以下は「高齢者担当医」制度についてです。
後期高齢者の外来包括化に不満たらたら
(日経メディカルオンライン)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/kaitei2008/200803/505915.html
<パスワードが必要です>
いよいよ4月1日から、後期高齢者医療制度がスタートする。
それを受けて、新しい診療報酬にも、後期高齢者の外来に包括点数が導入された。
診療所開業医にとって最も気になるのは、外来で
算定する「後期高齢者診療料」(月1回600点)だろう。
これは、糖尿病や高血圧性疾患、認知症などの慢性疾患を抱える患者に対し、定期的に
診療計画を作った上で、療養上必要な指導・診療を行った場合に算定できる。
検査、画像診断、そして処置は、病状が急に悪化した場合に実施した550点以上のものを
除き、600点に含まれる。

後期高齢者医療制度:外来主治医制に反対 県医師会が会員に意見書 /佐賀

http://mainichi.jp/area/saga/news/20080419ddlk41010512000c.html
外来主治医制度は、慢性疾患患者の検査などの診療報酬を月6000円の定額制とし、
無駄な検査などを減らして医療費を抑制するために導入された。複数の病気を患う可能性
が高い後期高齢者患者を1人の医師が総合的に診察する。
 所定の研修を受けた医師がいる診療所が社会保険事務局に届け出て資格を得るが、従来
通り出来高に応じて診療報酬を受け取ることもできる。

後期高齢者医療制度 徳島市医師会が廃止決議 
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokushima/news/20080421-OYT8T00827.htm
同制度で新たに導入された、患者1人につき、かかりつけ医師1人が診察し、一つの医療
機関が厚労省から月額6000円の診療報酬を受け取る「後期高齢者診療料」について、
「多くの疾病を抱える高齢者に対し、専門医がきめ細かい医療を提供している現状を無視
しており、一人のかかりつけ医が一元管理するのは無理。医療費の抑制だけを目的にした
不合理な制度」と批判している。
 同制度を採用するかどうかは各医療機関に任されているが、同市医師会は、同診療料を
採用せず、従来の出来高で算定するよう会員に呼びかけている。
(2008年4月22日  読売新聞)

特集ワイド:言いたい! 怒りと落胆、後期高齢者医療制度
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080421dde012010007000c.html
今回、高血圧や糖尿病、認知症といった高齢者に多い病気の治療に関し、外来の後期高齢
者診療料は、一つの医療機関にしか保険からの給付をしないことになっています。しかも、
月の定額制です。そうなると、医療機関側は今後、患者の取り合いを始めると思います。
なぜなら、患者は途中で別の医療機関に移ると保険の利用が制限されるわけですから、
医療機関側は最初にたくさんの患者を診断しようと努める。その上で、例えば、保険で
支払われるお金は、1回でも5回でも同じ額なのですから、今まで週1回の治療を月1回
に減らす。さらに、この定額制の下では、さまざまな治療が必要な高齢者が、十分な医療
を受けられない、という問題も起こってきます。

後期高齢者診察料ボイコット宣言
http://d.hatena.ne.jp/zundamoon07/20080302/1204461001
理事会声明 「医療現場に無知な、羊頭狗肉の机上プラン 後期高齢者診療料(=登録医制)に抗す」
http://www.iiiryou.com/top/h/post_414.html
医療機関の立場からくわしく書かれています)
<コメント>
以上が「後期高齢者診察料」です。
今までこの内容について十分理解できていたとはいえません。
正直4月になってから知ったというわけです。
75歳以上のご本人、そしてその家族の方はこの制度については是非理解を含めておくべきです。
この制度ではまともなな診療は受けれないからです。


昨日のある週刊誌の見出し より
さらに年間340億の税金が消える
後期高齢者医療制度」で厚労省が新天下りポスト1300人を作っていた!
「年金天引きショック」の裏で官僚たちが高笑い

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