乳がん検診 見逃しリスク
日本に多い脂肪少なめ乳房 乳がん検診 見逃しリスク大
「マンモだけ」は不十分、エコー併用で発見増
年々増える乳がん。
日本女性の11人に1人が生涯に発症する身近ながんだ。
乳房のタイプによって、乳がん検診で発見されにくい場合がある。
自分にあった検査法を知っておこう。
乳がん検診で多いのはマンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)だ。
ごく早期の乳がんやしこりになる前の石灰化の状態を発見できるが、「高濃度乳房」と呼ばれるタイプの人は、この検査でがんを見つけにくい。
乳房は母乳を作る乳腺と脂肪などで構成される。
マンモグラフィーの画像には、X線が透過しづらい乳腺が白く、透過しやすい脂肪は黒く写る。
がんも白く写るため、乳腺が多い乳房だとがんを見つけるのが難しくなる。「雪原で白うさぎを探すようなもの」と例えられるほどだ。
乳房は乳腺濃度に応じて4タイプに分かれる。
乳腺が多く脂肪がほとんどない「極めて高濃度」、乳腺の中に脂肪が混在する「不均一高濃度」、脂肪の中に乳腺がまばらに存在する「乳腺散在」、そして脂肪がほとんどを占める「脂肪性」だ。
このうち極めて高濃度と不均一高濃度の2タイプが高濃度乳房だ。
高濃度乳房は病気ではなく体質。
海外では乳がんになるリスクがやや高いとの報告があるが、日本での研究はまだない。
欧米人に比べて脂肪が少ない日本人女性は、高濃度乳房の人が多い。
<コメント>
「脂肪が少ない日本人女性は、高濃度乳房の人が多い」・・・乳腺が発達しているからではなく脂肪が少ない、という説明で長年の謎が解決できました。
その割合は4~8割と報告により幅がある。
高濃度乳房かどうかは画像を見て医師が判定するため、結果にばらつきが出やすい。
最近は乳腺濃度を自動測定するソフトを導入する医療機関もある。
ある医療機関がこの方法で検診受診者を調べたところ、8割近くが高濃度乳房だった。
一般的に乳腺は閉経後に脂肪に置き換わっていくが、60代、70代でも高濃度乳房の人が7割近くいたという。
この医療機関では、「従来考えられていたよりずっと多いことがわかった」という。
高濃度乳房だと、マンモグラフィーの結果が「異常なし」でもがんを見逃している可能性がある。
そこで専門家が薦めるのが超音波(エコー)検査の併用だ。
全国約7万6千人を対象に実施した大規模調査によると、マンモグラフィーとエコーを併用すると、マンモグラフィー単独のときよりも乳がんが見付かりやすいという結果が出た。
検査者の技量に左右される面はあるが、エコーだと4~5ミリ程度の小さながんも発見できる。
40歳以上の人は国の乳がん検診で2年に1回、マンモグラフィーを無料か少額の自己負担で受けられる。
エコー検査は自己負担になるが、高濃度乳房の人はぜひ併用したい。
医療機関によるが、検査代は5千~1万円程度が目安だ。
自分が高濃度乳房かどうかかを知ることはできるのか。
検診結果は受診者のもの。
自分の乳房タイプを知ることが重要となる。
厚生労働省は自治体が乳がん検診の受診者に通知する体制の整備を始めた。既に通知しているか、通知を予定する自治体は2016年度時点で2割程度だった。
参考・引用 一部改変
日経新聞・朝刊 2017.9.9
<関連サイト>
高濃度乳房
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/668
高濃度乳房の難しさ
https://osler.hatenadiary.org/entry/43598484
「高濃度乳房」
https://osler.hatenadiary.org/entry/20170824
乳がん見逃すリスク「高濃度乳房」知って 厚労省、通知体制を整備
https://osler.hatenadiary.org/entry/43339405
日本人に多い「高濃度乳房」 がん検診、マンモに限界
https://osler.hatenadiary.org/entry/43199908