若年性乳がん

若年性乳がん 病状悪化しやすく 月1回の自己触診 習慣に

35歳未満でかかる乳がんを「若年性乳がん」という。
患者は少ないが病状が悪化する場合が目立ち、専門家は定期的に自己触診するなどして注意するよう呼び掛けている。
 
国立がん研究センター(東京・中央)の推計によると、2015年の女性のがんの罹患者数は42万1800人。
うち乳がんは8万9400人と2割を占め、1万3800人が同年に亡くなった。
早期発見できれば、比較的治りやすいがんとされる。
 
患者は30代から増加し始め、40代後半から50代前半が最も多い。
35歳未満でかかる若年性乳がんは珍しく、乳がん患者全体の3%程度だ。
 
若年性乳がんは痩せた体形の人に目立ち、リンパ節転移などで病状が悪化しやすい。
家族に乳がんにかかった人がいる場合が多いのも特徴だ。
早期の段階で見つけるのは難しく、ある程度進行してから発見されることが少なくない。
 
40代以上の検診は乳房を押しつぶしレントゲン撮影するマンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)が有効とされる。
ただ、がん研有明病院の乳腺センター長によると、乳腺もがん組織と同様に白っぽく映るため「がんと疑わしい」と診断されることは多い。
40代でも約1割が確定診断のための精密検査を行い、乳腺が発達した30代はさらに増えるという。
 
コンピューター断層撮影装置(CT)による精密検査は被曝線量が多く、さらに胸に針を刺して細胞を採取する検査を行うなどして傷痕が残る場合もある。
 
このため30代以下は自己触診が重要だ。しこりが大きめで、約9割は自分で気付くという。
通常の乳がんの自己発見率67%に比べて高い。
親が乳がんといった理由で懸念されれば、全額自己負担となるが遺伝子検査を受けることもできる。

「月1回でよいので、まずは自己触診を習慣づけてほしい」と専門医は話す。

参考・引用
日経新聞・朝刊 2016.6.26