新型コロナウイルス 感染症との闘い 過去にも

感染症との闘い 過去にも

人類は感染症との闘いを繰り返してきた。1918年に世界各地で流行したインフルエンザは「スペイン風邪」と呼ばれた。日本でも2000万人以上が感染し、数十万人が死亡した。世界では約5000万人が犠牲になったともいわれている。

 

スペイン風邪の流行を受け、各国は患者の隔離や集会禁止、学校閉鎖などを実施した。東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授は「当時と今では病院設備や医療技術の水準は違うが、治療法やワクチンがない点は新型コロナウイルスと同じだ」と指摘する。基本的な対処法も現在と変わらない。

その後もインフルエンザの大流行は起きた。57年にはアジア風邪、68年には香港風邪が発生した。それぞれ200万人以上、約100万人以上の死者が出た。

2002年11月に中国南部で発生したSARSは、カナダやベトナムなど世界に感染が広がった。WHOが注意喚起を発したのは03年3月と対応が遅れた。SARSのウイルスは致死率が約10%と比較的高かった。高熱や肺炎などの深刻な症状が出る。同年7月にWHOが終息宣言を出したが、世界で約8000人が感染した。

 

MERSは12年に確認された。アラビア半島など中東を中心に、患者の発生が続く。ヒトコブラクダが感染源の一つと考えられ、約2500人が感染した。感染力は比較的弱い半面、致死率は約34%と非常に高い。

09年の新型インフルエンザの流行も記憶に新しい。米国やメキシコで確認され、各地に急速に感染が広がり、世界で1万8000人以上が亡くなった。一時的に閉鎖に追い込まれた学校などもあった。日本も1年間で約2000万人が感染したとされる。10代などの若い感染者が多かった。

 

参考・引用一部改変

日経新聞・朝刊 2020.5.5