コロナ禍の睡眠不足に注意 「遅寝・遅起き」避けるには
新型コロナウイルスの感染が広がり、テレワークなどで自宅にいる時間が増えた人は多いはずだ。
仕事とプライベートの切り替えが難しく、夜更かしをしがちになる。
コロナ禍で健康的な睡眠をとるのに必要な点はなにか。
通勤の抑制や学校の休校で、眠りの問題が生じているという。
睡眠外来などを受診に訪れる患者は「朝、起きられない」「昼間も眠い」などと訴えることが多い。
眠りの問題には、大きく二つの背景がある。
一つは「遅く寝て、遅く起きる」という生活パターンになっているもの。
もう一つは、新型コロナの不安などのストレスで不眠になっている、というものだ。
一般的な不眠では、朝早く起きてしまうことが多いが、コロナ禍でよく見られるのは、朝起きられない状態だという。
テレワークになって生活にメリハリがなくなり、ストレスがたまる人が多い。
睡眠パターンが乱れて十分な睡眠がとれず、体がダメージを受けることになりかねない。
なぜ、コロナ禍では「遅寝・遅起き」になるのか。
人の体には、活動と睡眠を繰り返すための「体内時計」の機能が備わっているが、周期はぴったり24時間ではなく、少し長くなっているという。
そのため、少しずつ後ろにずれて「遅寝・遅起き」になりやすいのだ。
不眠の兆候が表れた場合、よく眠れなくても朝は同じ時間に起きることが重要だ。
人の体には、よく眠れなかった場合、次の睡眠をより深くして疲労回復を補う仕組みがある。
眠れないからといって起床時間を遅らせると、夜の寝つきを悪くしてしまう。
日中はできるだけ昼寝は控え、体を動かすとよい。
室内での短時間のエクササイズやストレッチも有効だ。
前夜の眠りが悪くても、夜は眠くなる前に早く床につかない方がいい。
「睡眠―覚醒」のリズムを乱す原因になり、夜中に目覚めてしまうことにもなる。
また、人は体内時計の関係で、通常より早く眠ることが苦手で、寝つきに時間がかかると眠りに対する不安が高まり、不眠を長引かせることにもなる。
心がけとして、眠りが悪くなることを心配しすぎないことが大切だ。
また、リラックスしようとして、コーヒーやたばこ、お酒に頼るのは注意が必要となる。
コーヒーのカフェインやたばこのニコチンは、覚醒促進作用があり、寝つきを悪くさせる。
お酒は寝つきをよくする半面、睡眠を不安定にさせてしまう。
人は新型コロナのような脅威があると、立ち向かうために交感神経が優位になる。
この脅威が長く続くと、交感神経が常に優位になる「過覚醒」の状態になる。
以前よりも多くのことをストレスと感じるようになり、覚醒から戻らない悪循環となってしまう。
頭を少しでも休ませるようにしたい。
ある民間機関が4月、早期に緊急事態宣言が出された7都府県の1千人を対象に調査したところ、32.8%が新型コロナの影響を受ける前後で睡眠時間に変化があったと回答した。
働き方に変化があった人に、生活が夜型になる傾向が見られたという。
周りの環境やストレスで、睡眠は不安定になりやすい。
日中は体を動かし、夕食後はできるだけリラックスするなど、規則正しくメリハリのある生活を心がけることが大事だ。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.9.5
<関連サイト>
睡眠健康を保つために
https://wordpress.com/block-editor/post/aobazuku.wordpress.com/1355