怖い「膵がん」を早く見つけるには

怖い膵がん 早く見つけるにはどんな検査がいい?

近年の診断・治療技術の目覚ましい進歩により、がん全体の5年生存率(診断から5年後に生存している患者の割合)は65%まで上がってきた。

にもかかわらず、膵がんの5年生存率だけは依然として低く、わずか10%に過ぎない。

 

膵臓は胃の裏側にあるため、異常があっても察知されにくく、さらに、胃のように筋層に覆われていないため、がんができるとすぐに周辺のリンパ節や臓器に広がってしまう。

そうした特性ゆえ、膵がんは発見が遅れやすく、診断されても手術できる可能性が非常に低い。

 

しかし、ほとんどの膵がんは膵管の中にできる。

膵管の外まで浸み込む手前の段階で見つけ、がんを手術で取り除けば、90%の確率で再発はしない。

 

膵がんを早く見つける第一歩は、腹部エコー検査

膵がんが膵管の中に収まっているうちに見つけるのに一番手っ取り早い方法は腹部エコー検査だ。

 

膵管の中にがんがあると、膵管が圧迫されて太くなる。

それが膵がんの早期発見のサインとなる。

こうした変化を観察するには腹部エコー検査が有効だ。

ぜひ健診や人間ドックを受ける際のオプション検査に加えたい。

 

異変が見つかった際の精密検査として、近年導入されているのは「超音波内視鏡」という最新の検査機器だ。

超音波内視鏡とは、通常の胃カメラ(上部消化管内視鏡)のように口から内視鏡を入れ、食道、胃、十二指腸とつながる消化管の中で、壁越しに超音波を当てて周辺臓器の異常を調べるものだ。

 

胃腸の壁越しに超音波を当てる超音波内視鏡は、腹部エコーより精度が高い。さらに、その先端から出した穿刺針で膵臓の組織を採取する超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法も普及している

この検査が広まったおかげで、膵がんは以前より早い段階で見つかるようになりつつある。

しかも超音波内視鏡なら胃カメラを飲むくらいの感覚で済むので、検査を受けることへのハードルが低く、今後さらに広く普及することで、膵がんを少しでも早く見つけて生存率を上げていくことが期待されている。

 

参考・引用一部改変

日経Gooday 2019.11.25

 

参考

膵臓がんの中にはIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)と呼ばれる腫瘍性の膵嚢胞から発生するものが

 ある。

・IPMNは膵管の粘膜に粘液を産生する腫瘍細胞が発生し、産生された粘液が膵内にたまって腫瘍性

 の膵嚢胞が形成されると考えられているが、この粘液産生腫瘍細胞が過形成や腺腫といった良性の

 変化から悪性の膵がんに変化していく場合がある。

・膵体尾部(膵中央~脾臓寄り)にがんが発生すると腹痛や背部痛などの痛みを感じる事がある。

 これはがんが近くにある神経節に浸潤する事が原因とされている。

・また糖尿病のコントロールが不良になった場合も要注意だ。

国立がん研究センターの2018年の統計では、詳細部位の中で膵臓がんの生存率が最も低く、ステ

 ージが進むにつれてその確率が著しく低下することも発表されている。

・罹患リスクは男女共に50代から高まり、男性は60代で一気に増加する。部位別がん死亡数では男

 性5位・女性3位、2017年までの死亡率統計では男性の死亡率が圧倒的に多く、さらに近年その割

 合は増加傾向にある。

・臓の腫瘍マーカーとして、CA19-9・Span-1・DUPAN-2・CEA・CA50などがある。

 通常は複数の腫瘍マーカーをチェックする。