家族性アルツハイマー病「抑える傾向」 iPS創薬の治験 

家族性アルツハイマー病「抑える傾向」 iPS創薬の治験 
京都大学三重大学は30日、家族性アルツハイマー病の患者にiPS細胞を使って見つけた治療薬候補を飲んでもらう治験の結果、病状の進行を抑える傾向が見られたと発表した。

京大iPS細胞研究所の研究グループは、患者からつくったiPS細胞を使って、有効な薬の候補を探し、パーキンソン病治療に使われる「ブロモクリプチン」を見つけた。
特に、特定の遺伝子に変異がある家族性アルツハイマー病で高い効果が見込まれた。
このアルツハイマー病は平均の発症年齢が43歳と若く、進行も速い。

治験は2020年から始め、このタイプの患者5人にブロモクリプチンを飲んでもらった。 
1日最大10ミリグラムを20週間服用したところ、認知機能のスコアが下がったのは1人だった。
一方、偽薬を飲んだ患者は3人中2人でスコアが下がった。
行動、心理症状でもブロモクリプチンの服用者で進行が抑えられる傾向にあった。
 
研究チームによると、今回の治験で対象となった特定の遺伝子に変異がある家族性アルツハイマー病の患者は国内で約100人いる。
今後、他のアルツハイマー病患者への治験も検討する。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2022.7.1

 

関連サイト
ブロモクリプチン
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00063081

家族性アルツハイマー病の遺伝子診断
https://www.senshiniryo.net/column_a/23/index.html
家族性アルツハイマー病の特徴は、家族や親戚に多く発症することに加え、発症年齢の若さです。多くのアルツハイマー病は70〜80歳に発症年齢が集中するのに対し、家族性アルツハイマー病の場合は、40〜50歳代で発症するケースが珍しくありません。「一般的なアルツハイマー病よりも20年以上も前倒しして発症してしまうのです」と山本講師は話します。