海外旅行と健康

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連休も終わりました。
海外に旅行に行かれた方も多かったのではないでしょうか。
国内旅行と違って海外への旅行は特別に健康に気を使う必要があります。
きょうはこの海外旅行の話題を新聞記事からとりあげてみました。

楽しかった海外旅行 帰国後も体調に注意

時差ボケ解消、日光浴びて
■ 帰ってから数日
連休の海外旅行から無事に帰宅すると、ほっとひと息つきたくなるもの。
旅行中に気を使った健康への注意や体調管理も終わりと思いたいところだが、まだ
アフターケアが必要だ。
帰ってから数日、2週間、1ヵ月を目安に、出発前と比べておろそかになりがちな
帰国後の注意点を探った。


帰ってきたときの時差ぼけ。
長年住んできた日本の生活サイクルに戻すだけなので、旅先より楽に解消されそう
な気もするが、「そんなことはない。旅行先の時差に適応していた場合、もう一度
同じように修正が必要」と時差ぼけに詳しい日本航空インターナショナル健康管理室
の松永直樹主席医師は話す。
 
時差ぼけは、体のリズムを刻む体内時計と実際の生活時間とのずれが原因。
個人差はあるが、米国からの帰国など西方飛行の場合は1日に約90分ずつ、欧州
からの帰国など東方飛行の場合は1曰に約60分ずつ、時差に適応していく。
後者の方が体にきついとされる。
 
睡眠障害や体調不良、疲労感、ぼんやりするなどの症状が続く日数は適応日数より
少し短く、「西方飛行の場合は時差の数字の約半分の日数、東方飛行の場合は約3分
の2の日数」(松永主席医師)だという。
例えば時差9時間(時差15時間の場合も、24時間から15を引いて9時間と
して計算)なら西方は約4.5日、東方は約6日となる。
 
この間は、車の運転や細かい作業などは注意した方がよさそう。
一般に時差ぼけ解消には昼間に日光を浴びて体内時計を調節するのが有効とされる。

■ 2週間
片足の痛み、血栓も疑って
欧州旅行から帰ってきた60歳代の女性Aさん。
旅行中ら左のふくらはぎに痛みを感じたが、スーツケースにぶつけた程度に考え
シップをしていた。
だんだんと強くなってきたので、5日ほどして病院に行ったところ血栓と診断。
薬による治療を6ヵ月間続けた。
もし病院に行かなければ、血栓が肺の血管を詰まらせるなど重症にな
っていた可能性もある。

これはロングフライト血栓症、いわゆるエコノミークラス症候群の典型例の一つ。
最悪、死に至ることもある。
飛行機が着いてすぐに起きるケースばかりではなく、「発症は8~9割が2週間
以内で、1ヵ月後という例もある」と日本旅行医学会専務理事の篠塚規医師は指摘
する。
気づかないうちに足をぶつけた程度と勘違いする人も少なくないので、片方の足に
痛みや腫れなどがある場合、軽視は禁物だ。
 
また、高齢者や肥満の人の病気と思われがちだが、「条件がそろえば誰でもなる
(篠塚医師)。症状があるときは大きな病院の循環器科や血管外科で医師の診察を
受けた方がよいという。

■ 2ヵ月
潜伏期間を考え受診時に申告を
帰ってきたときすぐに下痢や発熱などがあれば、旅行中に感染したのではと疑うだろうが、何十日もたって忘れたころに症状が出てくる場合もある。
潜伏期間があるからだ。
厚労省検疫所では2カ月程度は注意をするように呼びかけている。

例えば、マラリアで最も怖いとされる熱帯熱マラリアは12日前後、A型肝炎は
15~50日など。
症状があれば早めに医療機関を訪れて診察受ける。
その際、「海外に行ってきたことを医師に告げることが大切」(成田空港検所検疫
課)。
日本にない感染症は、告げないと診断に時間がかかってしまう可能性もあるためだ。
 
日本や英国、豪州などを除き、ほぼ世界中に広がっている狂犬病は潜伏期間を過ぎて
症状が出てからでは遅い。
犬に限らずコウモリ、アライグマ、猫などでも感染する。
世界保健機関(WHO)ガイドンインでは傷口をなめられただけでも治療対象。
疑わしい人は、すぐに治療室を」(同)という。
検疫所では出発前だけでなく、帰国後の電話相談も受け付けている。
 
もちろん本来は予防が先。
もし今夏に海外へ出かけるつもリなら、すでに予防接種を考える時期に来ている。

<参考サイト>
厚労省検疫所
「海外旅行者のための感染症情報」
http://www.forth.go.jp/

出典 日経新聞・朝刊 2008.5.4
版権 日経新聞


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