若年化する五十肩

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小林昌郎「ばら」 油絵3号
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五十肩については以前にもとりあげました。


どんなにいたくてもそのうち治ってしまうのがなんとも不思議です。
たまたま新聞記事で五十肩の記事を見つけたので再度とりあげてみました。
少し違った角度からの説明です。

30・40代へ若年化する五十肩

筋肉バランス保ち予防
意識して左右を動かす
簡単なトレーニング法も

思い当たる原因がないのに突然、「肩が痛くて腕が上がらない」「背中に手を回せない」
などの症状が出る。
これを五十肩と呼ぶ。しかし、最近では症状が30代、40代にも多く見られるように
なったため「四十肩」ともいうようになってきた。
 
では、なぜ症状が若年化しているのか。
肩疾患の専門家である昭和大学藤が丘リハビリテーション病院整形外科准教授の筒井魔明
さんは「現代人は運動不足になりがちなほか、便利な生活環境によって体のバランス機能
が衰えているから」と指摘。
体のバランスを整える運動や生活習慣が予防に効果的だという。
 
五十肩は、医学的には肩関節周囲炎という。
無理な運動などで肩関節の周りの筋肉、腱(けん)などに小さな断裂などが起き、そのため
炎症が起こって痛みや運動障害が生じる病気だ。
肩関節の酷使によって起こるものなのだが、事務作業をする人や主婦など激しい運動をしない
人に多くみられるのはどうしてか。
   
  ※  ※  ※
 
そのナゾを「実はスポーツ選手や農業などに従事している人より、一般の人の方が気づか
ないうちに肩の関節を酷使している」と筒井さんは指摘する。
例えば、事務作業やパソコン操作などは、決して関節を壊すような激しい動作ではないが、
片方の腕だけで同じ動作を一日中くり返すことで肩関節の負担になる。
 
主婦が洗濯物を干したり、台所仕事をしたりするのも同様。
しかも、こうした生活を続けることで、気づかないうちに左右均等にできているはずの筋肉
のバランスが崩れ、その歪み(ゆがみ)が一方の肩に集中することで肩関節の状態は少し
ずつ悪化する。
 
表は筒井さんが作成した「五十肩チェックリスト」。
激しい痛みや運動障害がある場合など症状が進んでいる場合は整形外科を受診すべきだが、
軽い症状の改善や予防には日常生活の改善が有効だ。
その第一歩は、体のバランスを意識して整えること。
「週1回は、大きな鏡の前で、両肩を上下、前後にゆっくり動かす。肩甲骨が自分が思い
描いたように左右均等に動いていることを確認することが重要」と筒井さん。
 
これだけでも十分、五十肩の予防になる。
また、肩に痛みや違和感があるときに家庭で行える運動療法には、よく知られた「アイロン
運動」もあるが、「無理をすると逆に悪化させる。最初は、何も持たずに肩関節の力を抜いて
自然に腕の重みを感じ、肩関節の筋肉や腱を伸ばすことを意識するといい」と筒井さんは
アドバイスする。

※  ※  ※

より積極的な予防改善のトレーニングでも、専門医の考え方は体全体のバランスを整える
ことに重点が置かれはじめている。
肩まわりの筋肉で五十肩の原因となるのは、体表面にある大きな表層筋肉よりも関節の近く
についている深部筋肉であることが多い。

この肩の深部筋肉を左右均等に鍛えることが効果的だ。|

ただ、深部筋肉の動きは意識しにくいのでトレーニングが難しい。
そこでバランスボールやゴムバンドなど欧米で生まれた手法を患者指導に用いる整形外科医
も増えてきた。
「これらの運動は、表層筋肉を総動員するハードな卜レーニングではない。深部筋肉を
効果的に鍛えるのに向いている」と言うのはスポーツ医学の成果を日常の患者指導に用いて
いる岩間整形外科(横浜市)院長の岩間徹さん。
 
例えば、市販のゴムバンドを用いた運動方法である。
「この運動では腕を動かす角度はわずか30度ほど。外部筋肉を使って無理に大きく動か
さず、肩関節にゴムの負荷を自然に感じるぐらいが深部筋肉には効く。左右均等に行って
体のバランスを整えることを意識してほしい」(岩間さん)というのがコツだ。
 
五十肩など肩の不調は、全身の筋肉のバランスが衰えたサインと考え、体全体をバランス
よく動かす運動を心がけることが大切だ。
 

出典 日経新聞・朝刊 2007.10.20
版権 日経新聞


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