百日ぜき

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当院でも今年の春は百日ぜきの方が数人来院されました。
普通、長引く咳はマイコプラズマ肺炎や咳喘息を疑います。
しかし、これからは百日ぜきも疑う必要がありそうです。
特徴的な咳の音は、ネット上で聞くことが出来ますので是非ご確認下さい。

子供のワクチン きちんと接種

流行する百日ぜき予防
生後3ヵ月で必ず
今年は百日ぜきが過去8年で最悪のペースではやっている。
昨春に大流行したはしか(麻しん)も、毎年、5月の連休後に患者が増える傾向があり、予断を許さない。
子どもがかかる感染症の大半がワクチンで予防が可能。
医師らは「きちんと接種し、防げる病気で苦しむ子どもをなくそう」と呼びかけている。

4月下旬、小児科医らが「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会を立ち上げた。
VPDとは「ワクチンで防げる病気」を示す医学用語。
代表の薗部友良日本赤十字社医療センター小児科部長は「ワクチンを打てば防げる病気で、命を落としたり後退症が出たりする子どもが後を絶たない。親だけでなく医師や看護師の知識も十分とはいえず、啓発を進めたい と話す。

呼吸不全の恐れ

今、最も懸念されているのが百日ぜき。
1~3月に全国3千の小児科から報告された患者は851人で、2000年以降で最も多い。
患者の4割弱が20歳以上の成人で、患者が減り、子どもの時に受けた三種混合ワクチンの効果が薄れたのが理由とみられる。

激しいせきでまれにろっ骨が折れることもあるが、大人ならほとんど回復する。
だが大人の間で流行すると、ワクチンを受けていない乳児に危険が及ぶ。
呼吸不全で命を落とすことある。

百日ぜきは三種混合ワクチンで防げる。国立感染症研究所の多屋馨子室
長は「生後3カ月になったらすぐに接種してほしい」と話す。
 
はしかが5月の連休後に流行するのは、人々が移動して感染が広がるからだ。
ワクチン未接種で、はしかにかかったことのない人が、せきや熱などが出たら、まず電話で医療機関に相談するとよい。

はしかと風しんを防ぐMRワクチンは、1歳の時と小学校入学前の1年間に計2回接種する。
1回しか打たなかった時期もあるので、今後5年間は中学1年と高校2年時にも接種することになっている。
 
水ぼうそう(水痘)やおたふく風邪も、ワクチンで防げる。
日本では「誰でも一度はかかる」と軽視する風糊があるが、リスクは無視できない。
 
水ぼうそうはひどくなるとけいれん、肺炎などを起こし、1000人に2~3人の割合で入院する。
おたふく風邪は時に髄膜炎や精巣炎を起こしたり、後遺症として難聴になったりすることがある。
 
水ぼうそうおたふく風邪のワクチンは定期接種対象ではなく、自治体や病院によっても異なるが、数千~1万円程度の費用がかかる。
日本は1回接種が主流だが2回接種した方がよいと考える医師も多い。

防げる病気12種

現在、国内で販売されているワクチンで防ぐことができる子どもの病気は全部で12種類。
8月にもHibウイルスによる髄膜炎が入って13種類になる見通し。
定期接種対象の、はしか、風しんなど9種類は、自治体が費用を補助する。
 
どのワクチンをどの時期に打つかは、流行の状況や自治体の制度、家族
の病気の状況によって変わる。
子どもが生まれたらすぐにかかりつけの小児科医をみつけ、相談するとよい。

出典 日経新聞・夕刊 2008.5.13
版権 日経新聞

<コメント>
「せきや熱などが出たら、まず電話で医療機関に相談するとよい。・・・・」
医療機関としてはいきなり電話をかけられては正直いって迷惑です。
相手のみえない電話での相談は大概の医療機関では断られます。
新聞でこのような無責任なことを書かれると医療現場は混乱します。
あくまでも診察を受けて医療機関から責任のある説明を受けられることを   
お勧めします。
医療機関ではなく電話相談コーナーが別に設けられている市町村があるの  
で、そのような電話相談はそのコーナーでお願いします。
電話の相談は医療行為となり、医療側にも責任が発生します。
無診療の相談は、医療訴訟や医療事故のもととなります。
この表現は、救急車をタクシーがわりに呼ぶといった発想と同じように感じ
ました。

「子どもが生まれたらすぐにかかりつけの小児科医をみつけ、相談するとよい。・・・・」
これも同様です。
乳児健診、予防接種や風邪で医療機関にかかられた際にたずねられるのが
常識です。

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