笑い

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ストレス和らげる運動効果も

「笑い」で健康作りを・・・そんな取り組みをする医師が少なくない。
体の緊張をほぐし、脳をリラックスさせるという。

群馬県高崎市にある中央群馬脳神経外科病院。
理事長の中島英雄医師が1988年4月に始めた寄席は、もう200回を超えた。

ここ数年、寄席の前後で脳の状態がどう変化しているのか、脳波を測って調
べている。
これまで61人を測定したところ、29人で「α波」と「β波」が増えていた。

    ■ □ ■

α波はリラックスしている時に、β波は物事を考えたり、活動したりしている
時に出るといわれる。
この29人の寄席を聞いた感想は「楽しかった」「おもしろかった」。
つまり、笑っていた人たちだ。
逆に、寄席で疲労感を感じ、面白くないと思った人たちではα波が下がるなど
していた。

中島さんは、脳がリラックスすると同時に、適度なβ波も出し、やる気が起き
ているとみている。
「病気と向き合うためには、このやる気も大切です」。
中島さんは落語家十代目桂文治門下の落語家でもある。
芸名は桂前治。
「ワハハと大きく笑うと運動効果もある。声を上げて笑うのが苦手な人は
ニヤリやへへへでもいいですよ」

驚きや不安、恐怖などのストレスを受けると様々なホルモンが血中に分泌
され、全身の血管収縮や心拍数増加、血圧上昇などの体の変化がおきる。

ところが、笑うと、こうしたストレスにかかわるホルモンが減ることが
専門誌に報告されている。
関節リウマチ患者に対する笑いの影響を調べた研究で、落語を聞く前後で
測定した。
しかも、関節リウマチにかかわる物質も減っていて、症状の改善につながる
効用もみられた、という。

糖尿病患者に漫才を聞いてもらった研究では、血糖値の上昇を抑える効果が
みられたと専門誌に発表されている。
免疫にかかわる細胞が活性化したという報告もある。

    ■ □ ■

もっとも、笑いの癒やし効果を研究する北里大医療衛生学部の大谷義夫教授は
「笑いのメカニズムにはまだまだ推論があり、科学的に実証されているわけ
ではない」。

笑った結果としての変化が測定されても、その仕組みは未解明だというのだ。

ただ、笑いはストレス緩和につながることは経験的に言えそうだ。
筑波大大学院人間総合科学研究科の林啓子准教授(看護学)は「外からの
ストレスに対し、脳がどう対処したのか。その結果として出てくるのが笑い
では」と話す。

映画「パッチ・アダムス」のように、欧米では「クラウン(道化師)」が
患者の心理的なケアをするのが一般的だ。

北九州市の伊藤実喜医師は老人ホームや病院を回り、マジックを通じて笑い
を提供する。
病気への不安などでふさぎ込む患者のストレス発散がねらいだ。

「笑うためには、まず心に余裕を持つこと」。
そう話す「癒しの環境研究会」代表世話人の高柳和江・日本医科大准教授は
例えば、孫の写真でもいい、自然に笑顔が出るものを常に持ち歩くことを
提案する。

大阪で8日まで開かれる日本医学会総会。
医療関係者向けパネル討論のテーマの一つが「笑いと医学」だ。

  
出典 朝日新聞・夕刊 2007.4.8
版権 朝日新聞社

<パッチ・アダムス 関連サイト>
パッチ・アダムス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%A0%E3%82%B9
学生時代から、金儲け優先の医療のあり方に疑問を持ち、愛とユーモアを根底に
おいて、人に優しい医療を目指す。
1971年に医学部を卒業すると、ウェストバー4ジニア州のポカホンタスに、自分の
目指す医療のできる、しかも無料で医療サービスの受けられる病院「ゲズントハイ
ト・インスティテュート」(お達者で病院、die Gesundheitは、ドイツ語で誰かが
突然くしゃみをした時に、そばにいる人がいう台詞で、「大丈夫?」「気をつけて」
「お大事に」といったニュアンスの言葉である)を設立。
12年間そこで無料の診療活動を行った。
パッチ・アダムスは、さらに社会的な活動家でもあり、一種の民間外交官でもあり、
プロの道化師、アーティストで俳優でもある。
たとえば、彼は毎年世界中のボランティアたちと共にロシアに出かけて、孤児や
患者やそのほかの大勢の人たちを喜ばせたり、希望を持たせるようなチャリティ
活動をしているし、1998年にはボスニアにも出かけている。

パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id84828/
ロビン・ウィリアムズが、実在の医師に扮した感動ドラマ。“ユーモアによる治療が
重要”という説を実践し、医学界の常識を覆した医学生パッチ・アダムスの半生を描く。
人間味溢れるアダムス役をロビンが熱演。
彼お得意のユーモアと温かな視点で、現代医学の問題点をさり気なく突く。
自殺未遂の果て、自らの意志で精神科に入院したアダムス。
彼はそこで目覚め、医学の道を志す。
2年後、ヴァージニア大学の医学部に入学したアダムスは、規則に背いては患者を
ユーモアで楽しませていた。冷ややかな視線を向ける学部長や同僚を後目に、やがて
彼は恋人カリンとともに、夢に見ていた無料治療院を開設するが・・・。

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