腸内環境

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「善玉菌」増やし快適に


毎朝、トイレですっきりしたあと、どうしていますか。
臭いからさっさと流す?
ちょっと待って下さい。
「うんち」は食べた物の残りかすだけではありません。様々なものが含まれ、腸の中の
様子を知る一つの手がかりになるそうです。

    ■ □ ■

「文字通り、腸内環境の状況を私たちに伝える『お便り』です。トイレは、お便りを
チェックする場所でもあるんです」

こう話すのは、理化学研究所バイオリソースセンターのB・微生物材料開発室長
(腸内細菌学)だ。
便の中身はざっと8割が水分で、食べかすは1割、残りは腸からはがれた粘膜や、
生きた腸内細菌。
食べた物の消化にかかわる分泌物もある。

腸内細菌は500~1000種類ともいわれ、重さは実に1キロを超える。
ビフィズス菌のように腸内をきれいに保つものもあれば、有害物質を出す「クロスト
リジウム」などに代表される「悪玉菌」もいる。

こうした細菌の勢カバランスで腸内環境は左右される。
年とともに悪玉菌が幅をきかすようになり、便やおならのにおいがきつくなったり
便秘になったりする。

「腸内細菌のバランスをみる目安になるのが腸年齢です」とBさん。
食生活などをチェックすることで実年齢より腸年齢が上か下か相対的に把握でき、
腸内環境をうかがえ、生活習慣を見直すきっかけになる。

ヤクルト本社が2007年に20~60代の女性600人(無作為抽出)を対象に、
この腸年齢を調査したところ、腸年齢が実年齢より若かったのは4割に満たなかった。
それも若い人ほど腸の方が老けていた。

    ■ □ ■

B さん自身、2001年にこんな経験をしている。
当時168センチ82キロあった。
便はにおいが強い。
分析してみると、悪玉菌が多かった。
振り返ると食事は肉と酒が中心。
「腸年齢が老け込んでいたんです」

食物繊維の多い野菜中心の食事に切り替え、苦手なヨーグルトも積極的に食べた。
愛犬と一緒にウオーキングに励んだ。
1年後。
体重は10キロ減り、腸内ではビフィズス菌など「善玉菌」が増え、日に400

グラムほどの便がすっきり出るようになった。

「研究を自分で試せました」

腸内環境は、便のよしあしを決めるだけではない。
遺伝子レベルで腸内細菌の研究が進み、肥満、動脈硬化やがん、さらに花粉症や
アトピー性皮膚炎といったアレルギ-関連疾患との関係も指摘される。
 
「口から肛門までを一つの筒と考えると、絶えずいろんなものが入ってくる腸も
外との窓口なんです。多くの細菌がいながら秩序が保たれているのは腸の免疫が
作用しているからです」と、東京大学医科学研究所のK 教授(炎症免疫学)は話す。

本来、人間にとっては異物の細菌が、免疫から攻撃されずに「居候」を許されている。
それは互いに何らかの利益があるから共生しているのだろう・・・。
K さんたちは、そんな観点から研究を重ねている。

「もしかしたら、いま『善玉菌』『悪玉菌』と呼ばれている菌にも、これまでのイ
メージががらりと変わる機能が見つかる可能性があるかもしれません」
出典 朝日新聞・朝刊 2008.6.8
版権 朝日新聞社 

<参考サイト>
腸内細菌
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%B8%E5%86%85%E7%B4%B0%E8%8F%8C
腸内細菌(ちょうないさいきん)とは、ヒトや動物の腸の内部に生息している細菌のこと。
ヒトの腸内には一人当たり100種類以上、100兆個以上の腸内細菌が生息しており、糞便
のうち、約半分が腸内細菌またはその死骸であると言われている。
宿主であるヒトや動物が摂取した栄養分の一部を利用して生活し、他の種類の腸内細菌
との間で数のバランスを保ちながら、一種の生態系(腸内細菌叢、腸内常在微生物叢、
腸内フローラ)を形成している。
腸内細菌の種類と数は、動物種や個体差、消化管の部位、年齢、食事の内容や体調によって
違いが見られるが、その大部分は偏性嫌気性菌であり腸球菌など培養可能な種類は全体の
1部であり、VNCの種類も多数存在する。
なお、その名称から腸内細菌の代表のように考えられている大腸菌は、全体の0.1%にも
満たない。

腸内細菌叢を構成している腸内細菌は、互いに共生しているだけでなく、宿主であるヒト
や動物とも共生関係にある。宿主が摂取した食餌に含まれる栄養分を主な栄養源として
発酵することで増殖し、同時にさまざまな代謝物を産生する。
腸内細菌が発酵によって作り出したガスや悪臭成分がおならの一部になる。

腸内細菌は多数の雑多な菌種によって構成され、一人のヒトの腸内には100種以上(一説
には500種類とも言う)100兆個の腸内細菌が存在していると言われる。
一般にヒトの細胞数は60-70兆個程度と言われており、細胞の数ではそれに匹敵するだけの
腸内細菌が存在することになる。
ただし細菌の細胞は、ヒトの細胞に比べてはるかに小さいため、個体全体に占める重量比が
宿主を上回ることはない。
しかし、それでも成人一人に存在する腸内細菌の重量は約1.5 kgにのぼるとされる。
腸管内容物を見ると、内容物1gに100億個から1000億個(1010-1011個)の腸内細菌が存在
しており、糞便の約半分は腸内細菌か、またはその死骸によって構成されている。

母乳で育てられている乳児と人工のミルクで育てられている乳児では、前者では、
ビフィズス菌などのBifidobacterium属の細菌が最優勢で他の菌が極めて少なくなっている
のに対して、後者ではビフィズス菌以外の菌も多く見られるようになる。
このことが人工栄養児が母乳栄養児に比べて、細菌感染症や消化不良を起こしやすい理由の
一つだと考えられている。

乳児が成長して離乳食をとるようになると、Bacteroides属やEubacterium属など、成人にも
見られる嫌気性の腸内細菌群が増加し、ビフィズス菌などは減少する。
さらに加齢が進み、老人になるとBifidobacterium属の数はますます減少し、かわりに
Lactobacillus属や腸内細菌科の細菌、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)などが
増加する。

大食いで有名なタレントのギャル曽根の腸内細菌の検査をしたところ、一般女性の平均は
10%~15%に対し、50%以上をビフィズス菌が占めることが判明、「生まれたての赤ちゃんのよう」
と評された[6]。また、1日25キロカロリーで生活する森美智代の腸内細菌を検査し、草食動物
のように植物をアミノ酸に変える細菌が通常の100倍存在することが分かった。




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