いびき

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無呼吸症につながるケースも

高いびきは、はた迷惑このうえない。
本人の心地よさそうな寝顔をみるとなおさらしゃくにさわる。
でも、その白河夜船の陰に・・・。

「実は、いびきがうるさい人ほど昼間に眠気を感じる傾向も強いと言えます」と、
国立病院機構福岡病院いびき外来の中野博・呼吸器科医長。

いびきは睡眠中に何らかの原因でのど(上気道)が狭まったところに、息をして
空気が通り、のどが振動する音だ。
さらに吸い寄せられると、呼吸がしにくくなり、閉塞すれば無呼吸になる。

   ■ □ ■

中野さんは、いびきなどで受診した510人を対象に、いびきの大きさと眠気との
関係を調べたことがある。

10秒以上の呼吸停止が1時間に15回以上の人は軒並み507デシベル(クーラー
の音程度)を超え、約8デシベルになる人もいた。
電車内の騒音に近いうるささで、そういう人ほど日中に感じる眠気も強かった。

「狭い場所を押しのけて呼吸するから音も強くなる。いびきをかくことで疲労し、
寝た気がしないのです」

その結果、集中力がなくなり、ミスや事故につながりかねない。
特に気をつけなければいけないのが、睡眠時無呼吸症侯群(SAS)だ。

いびきの後、平均30秒、長いときは2分以上呼吸が止まり、いびきで呼吸を
再開する。
1~2分の周期でいびきが強くなったり弱くなったりするのも特徴だという。
呼吸が止まるたびに覚醒反応が起きるので慢性的な睡眠不足に陥る。
体への負担が大きく、ひどくなると高血圧や心臓病なども招き、生命に危険が
及ぶことだってある。

睡眠中は重力で舌の根元が下がるため、太っていたり、あごが小さかったりすると
上気道が圧迫され、いびきをかきやすいという

国内にいびき症の人は2千万人、うちSASは200万~300万人と言われる。

   ■ ■ ■

池松いびき研究所(千葉県野田市)の池松亮子所長は「小さないびきが習慣化し、
呼吸抵抗が大きくなってSASになるケースが多い。いびきが小さいうちに、早めに
予防しましょう」とアドバイスする。
 
枕の高さや体位を変え、口を閉じて寝るのも効果的だという。
「いびきを録音し、いかに迷惑をかけているかを自覚することも大切です」

治療は、鼻マスクから空気を送って気道を広げる呼吸装置(CPAP)が一般的だ。

いびきに悩む歯科医らが考案したマウスピース型装置(スリープスプリント)もある。
装着すると下あごが少し前に突き出た状態となり、舌が沈み込むのを防いで気道を
確保する。
開発者の一人、東京医科歯科大大学院の長谷川誠主任(歯科睡眠呼吸障害管理学)は
「医師と相談して自分に合った治療法を見つけるとともに、減量や寝酒をやめると
いった自己管理も欠かせません」と話す。

出典 朝日新聞・夕刊 2007.11.19
版権 朝日新聞社
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