昼休みに仮眠のすすめ

昼休みに仮眠のすすめ 短時間で頭すっきり

蒸し暑くて寝苦しい夜が続くと昼間にいつも以上に感じるのが眠気だ。
睡魔と闘っている間は仕事の効率も上がらない。
午後の眠気解消に効果的なのが昼寝だ。
ただし、睡眠時間を10~15分程度に収めるのがコツだという。
うまく「プチ仮眠」をとるポイントは・・・。

多い日には120人ものビジネスパーソンが憩いを求めて訪れるビルの一室――。
東京都千代田区霞が関ビルにあるテナント企業用の仮眠室だ。
毎日来るリピーターもいる。

眠気で交通事故や仕事のミスが多くなる「魔の時間帯」。
深夜や早朝なら当たり前のことに思えるが、実は午後2~4時も人は体のリズムで眠くなる時間帯。
昼ご飯を食べておなかがいっぱいになって眠くなっていると思っている人も多いが、自然のリズムなのだ。

あくびが出る程度の人もいれば、どうしようもない眠気に襲われる人もある。
こうなったら『プチ仮眠』で眠気を覚ましましょう。
では何を注意すればすっきりした午後を手にできるのだろうか。

まず一番大事なのが眠る長さ。
30分過ぎると、かえって起きた後にぼーっとする
短く抑えるのがポイントだ。
昼寝後に余計にぼーっとした経験がある人は長く寝過ぎてしまったのかもしれない。

人の眠りは最初は浅く、次第に深くなり、また浅くなるという周期を繰り返す。
特に寝不足だと深い眠りに早く到達しやすく、深い所で起きると、頭がしっかりと目覚めた状態に戻るまで時間がかかってしまう。
深い所まで行ってしまう前の15分程度が目安。

次にタイミング。会
社や学校で気ままに昼寝できない人も多いが、眠気を感じる前に予防的に昼休みを利用するのも手。
実験で4時間睡眠で寝不足の状態の参加者にいつも通り出社してもらい、昼休みの15分のプチ仮眠の効果を調べた。

イメージ 1



寝過ごしに注意
プチ仮眠をとった人は午後1時台から2時台の眠気が少なくなったと感じ、脳波を調べても眠気は減っていた。
論理性の正しさを聞く単純なクイズでも正答率が高まった。
寝付くまでの時間を考えると実質10分ほどの睡眠でも効果がある。

たった10~15分だが、有意義に過ごすには姿勢や周囲の環境も大事だ。
基本的には夜と同じ真剣さで眠りと向き合い、すっと眠りに入って時間を有効に使う。
姿勢は横になるのがベストだが、リクライニング式のいすの使用や、眠れるなら机の上に突っ伏すのも問題ない。
照明を消したり、アイマスクをしたり、耳栓で音を遮断するのも効果的だ。

すっきりと起きるための工夫は、今度は朝の目覚めと同じだ。
寝過ごさないようにきちんと目覚ましをかけて、起きた後は光を浴びたり顔を洗ったり、ストレッチなど体を動かす。
ただし、コーヒーのプチ仮眠での覚せい効果については実験で確かめられていない。
20分ほどでカフェインが作用するとされるので、仮眠前に飲んでみてすっきり起きられると感じたら利用すればよさそうだ。

イメージ 2



夜の睡眠十分に
短時間で午後の眠気解消に効果があるプチ仮眠だが、夜の寝不足分を本格的に補えるほどの威力はない。実験でも確かに眠気は抑えられたが、4時以降の夕方になればその効果は薄まる。

むしろ夜の寝不足は考えられている以上に重大で、本人が知らないうちにも蓄積する。
米国の研究グループが光に反応してボタンを押すという単純な課題で注意力の変化を1週間調べたところ、7時間睡眠で本人は眠気を感じていなくても正答率はじわじわと下がっていった。
加えて、初日の正答率に注意力を回復させるまで、8時間睡眠で1週間かかった。蓄積分はそう簡単には解消できない。

日中を元気に過ごすために夜の質のいい睡眠が欠かせないことは間違いない。
とはいえ、毎日しっかりと思い通りの睡眠をとれるわけでもない。
昼間の眠気を乗り切るための手助けとしてプチ仮眠を取り入れてみてはいかがだろうか。


勉強・運動後は長めに昼寝

昼間の眠気解消には15分程度のプチ仮眠が効果的だが、勉強したことをしっかりと定着させたりスポーツのトレーニング効果を上げたりするためには60~90分の長めの昼寝が効果的――。
最近は海外の研究グループから長い昼寝にもいい効果があると報告されているという。

夜、眠りについてから30分ほどして現れる深い眠りには日中学んだことを記憶として定着させる働きがある。
一方で、定説では質の異なる昼寝では深い眠りがあってもこの効果がないとされてきた。

ただ、確かにスポーツ選手には練習した後に仮眠をとる人もいて、理にかなっているのかもしれない。
資格取得を目指して勉強している人や受験生は、起きてからすっきりするまで少し時間がかかることを覚悟して長めの昼寝をとってみてもいいのかもしれない。

出典 日経新聞・朝刊 2011.8.6 「日経プラスワン」 (一部改変)
版権 日経新聞

<私的コメント>
この記事を読んで感じたこと。
お役人や大企業の民間人を除いて、どれだけの人が仕事中にプチ睡眠が出来るでしょうか。
そういえば、大学勤務の時に毎日プチ睡眠をとっている講師が隣りの席にいました。
営業の人やタクシーの運転手さんも、どこかの木陰でプチ睡眠しているかも知れません。
タクシーの運転手さんは、GPSで会社から監視されているので最近は昼寝もオチオチ出来ません。



読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。

他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)
「葦の髄」メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
があります。