耳鳴り

耳鳴りは本人のみがわかることで医師を含めて他人にはわかりません。
それがより本人を悩ませたり不安にさせるのです。

加齢が主要因、難聴の原因にも

夜、テレビと部屋の明かりを消して布団に入る。すると静寂の中から「キーン」と高い
音が耳の中で響いた経験がある。
耳鳴りは軽度のものを含めると日本人の約17%が経験したことがある症状だ。
 
一晩寝たら治るような一過性の耳鳴りならそれほど苦にもならないが、ある日突然始ま
ったきり、何日たっても鳴りやまないとなればやっかいだ。
 
痛みはないため、気にせずに放っておく人もいるが、耳鳴りを訴えて専門医を訪れる人
たちは「頭の中に腫瘍でもあるんじゃないか」「やがて耳が聞こえなくなるんじゃないか」
と不安を抱えているという。
    
   ■ ■ ■

慶応大学の小川部教授(耳鼻咽喉科)によると、耳鳴りは耳の奥で音の高さや大きさを
認識するセンサーの働きをする蝸牛と呼ばれる細胞が壊れて起こると考えられている。
巻き貝のような形をした蝸牛には1万5千個の細胞がある。
手前から奥に向かって、高音を認識する細胞から低音を認識する細胞へと、ピアノの鍵盤
のようにきれいに並ぶ。
耳鳴りは、壊れた部分の細胞が、音を認識ていないのに聴神経に誤って音の信号を届けて
しまうことで起こる。
詳しい原因はわかっていない。
 
壊れた細胞はその周波数の音が聞こえなくなる難聴も引き起こすことが多い。
「耳鳴りとして聞こえる音は、聞こえづらくなっている音に似ている」と小川さん。

耳鳴りになる主な要因は、加齢だ。



聴力は早い人で40歳を過ぎたころから衰え始め、高い音から徐々に聞こえづらくなる。
最初は日常生活にそれほど支障はないが、人の声が聞きづらいと感じる頃には、難聴は
かなり
進んでいると考えられる。
    
   ■ ■ ■
 
みつわ台総合病院(千葉市若葉区)の中川雅文副院長は「日常生活に支障がなければ気に
することはないが、聞こえにくいと感じたら早めに補聴器をつけた方がいい」という。
人は雑踏の中でも自分の名前が呼ばれれば気づくように、自分に必要な音と不要な音を聞
き分けられる。
耳鳴りは本来不要な音だが、過剰に意識すると絶えず聞こえてくる。
症状は目に見えないため、苦痛が家族に理解されずに苦しむ人も少なくない。

現在のところ、耳鳴りを完治させる治療はない。中川さんは「耳鳴りが何らかの病気の
予兆でもなく、怖くない症状だと知るとだいぶ軽減されるはず」という。
耳鳴りに対する不安が大きい場合は安定剤などの服用を促すこともあるという。
 
耳鳴りの周波数を含む雑音が出る補聴器のような器具を着けて自分の耳鳴りに順応させる
TRT(耳鳴り再訓練療法)と呼ばれる治療もある。
だが、効果が出るまでに半年以上かかるうえ、国内では入手が難しく、海外から購入しても
6万円以上かかる。
軽い耳鳴りの場合、静か過ぎる場所を避けて心地よいと感じる音楽を聞いて眠るなど、
リラックスできる環境づくりが大切だ。
イメージ 1

出典 朝日新聞・夕刊  2008.9.29
版権 朝日新聞社


<自遊時間>
新聞の週刊誌の広告に「男の『タベホ』」という記事の見出しが目に飛び込み
ました。
どうやら「食べ放題の店」のことのようです。
皆さんには常識かも知れませんが一つ勉強になりました。
メタボ対策とは別の方向性で、対メタボキャンペーンのような言葉のひびき
が何ともユーモアを感じさせます。


読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(2)
(内科専門医向けのブログです)
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(~H20.5.21)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)