若い人のもの忘れ ~若年性認知症

認知症は高齢者だけの病気ではない

認知症は高齢者の病気――そんな誤解をしている人も多いのですが、実は働き盛りの年代
でも認知症になることがあります。
それが「若年性認知症」です。
若年性認知症は18~64歳で発症する認知症の総称です。
以前の旧厚生省の研究によると、患者数は推計約3万人。
実際にはその3倍以上におよぶとも言われています。
老人性認知症と違って男性に多いと言われます。

若年性認知症の原因とは

認知症の主な原因>
老人性認知症  アルツハイマー病、脳血管障害など
若年性認知症  アルツハイマー病、脳血管障害、脳腫瘍後遺症、
        頭部外傷、薬物・アルコール依存症、クロイツフェル 
        ト・ヤコブ病、パーキンソン病エイズ、ピック病な
        ど

ここでは代表的なアルツハイマー病や脳血管障害と対応方法において特に注意を要する
ピック病をとりあげてみます。

うつ病と間違いやすいアルツハイマー
なぜ起こる
脳に「老人班」と呼ばれるしみのようなものができて、引き起こされます。
しみの正体は、「ベータ・たんぱく」という新種のたんぱく質からなる「アミロイド」
という物質です。
これがどんどん溜まることで、脳細胞の機能が阻害(脳が萎縮して脳機能が低下)されて
しまうのです。
(脳内に沈着したたんぱく質の毒性で神経細胞が死滅)
遺伝によるケースもあり、その場合、発症年齢は30~50歳くらいと言われています。
こんな兆候に注意
初期は頭痛やめまい、不眠が見られます。
さらに不安感、自発性の低下、抑うつ状態も見られることがあります。
本人も気づかないことが多いうえに、うつ病と診断されやすいので厄介です。
ポイントになるのは「人格の平板化」。
以前に比べて、頑固で、自分中心になり、他人への配慮がなくなった――と感じたら
要注意です。
ひどい物忘れや、帰宅途中で迷子になるようなことがあれば、赤信号と言えます。

生活習慣病が引き起こす脳血管障害
なぜ起こる
脳梗塞により、血管が詰まったり、血流の量が減る(血流障害)などして、脳細胞の
はたらきが低下するために起こります。
男性に多く、50~60歳で発病しやすいと言われます。
こんな兆候に注意
「物忘れが多い」「計算ができない」などのサインは見逃せません。
「まだらボケ」と言い、あることは忘れても、ほかのことはしっかり覚えていたり
します。
抑うつ症状のほか、喜怒哀楽が激しくなるなどの変化もみられることがあります。
脳梗塞による運動機能の低下、言語障害をともなうケースもあります。
高血圧や脳卒中の経験がある人は注意が必要です。

�行動に異変があらわれるピック病
アーノルド・ピックが発見したのでこの名前がついています。
ピック病は研究が遅れており、社会的にもあまり認知されていません。
若年認知症の場合、このピック病が病因の3分の1程度を占めると推定されています。
脳の前頭葉から側頭葉にかけて脳細胞が萎縮し、近辺にピック小体という異常物質が
できる(退行変性疾患)ために起こります。
はじめはゆっくりと進行するので発見しにくいのが特徴です。
平均発病年齢は50歳代です。
早ければ20歳で発病することもあります。
本人または家族にピック病や認知症の病歴があれば警戒が必要です。
「温厚な人が怒りっぽくなる」「几帳面な人がずさんになった」「約束を破る」
「同じことを繰り返す」「相手を無視する」など、人格の変化がポイントになります。
不潔になったり、衣服の乱れを気にしなくなることも見られます。
アルツハイマー病に似ていますが、違うのは行動上の異変が目立ったり不安感情が
さほど見られないなどの点です。
善悪の判断がつかなくなる症状もあり、万引きなどを犯し、職を失った後に病名が
分かることもあります。
つまりアルツハイマー病や脳血管障害による認知症が物忘れなどの症状から始まる
のに対して、ピック病は性格や行動の異変が現れるのです。
このほか、「話しかけられた言葉を何でも繰り返す」「言葉を一切話せなくなる」
などの言語障害も危険信号と言えます。
最終的には記憶障害や言語障害などが現れて重度化します。
原因は不明で、治療法も確立されていないのが現状です。
ゆっくりと進行するために発見が遅れ、働き盛りでの発病であることから職場で
トラブルになることが多いのも特徴です。
うつ病と診断された後、1年以上治療を受けているのに改善が見られない場合は、
一度、認知症の検査をした方がいいかも知れません。

若年性認知症の治療と予防

■治療法はさまざま
一口に「若年性認知症」と言っても、治療や対応法はまちまちです。
例えば「脳血管障害」なら、外科手術、薬物・運動療法によって症状はほとんど
改善します。
またアルツハイマー病でも、早期発見し、リハビリに努めれば回復の可能性も
あります。
しかし、ピック病の場合は、残念ながら今のところ有効な治療手段はありません。
錯乱して暴れるなど、介護は危険をともなうので、在宅でのケアは難しいのが現状
です。
感染症にかかりやすく、数年で死に至るケースもあります。

■若年性認知症は生活改善が予防のカギ
きちんとした食事や睡眠、適度な運動を心がけるなど生活習慣を見直せば、発病の
確率は減らせるはずです。
また、趣味や職場以外の社交場を持つなど、毎日を生き生きと暮らす工夫も大切です。

認知症の予防に役立つといわれる食品>
ゴマなどビタミンEを含む食品
ニンジン・ピーマンなどの緑黄色野菜
アジ・サンマ・イワシなど、 DHAEPAを含む青魚
カテキンを含む緑茶

■もしも家族がかかってしまったら
もしも、家計を支える働き盛りの家族が認知症になってしまったらどうしますか。
経済的な問題や心理的ストレスはとても大きいものとなります。
若いだけにその後の人生も長いため、家族を含めて精神的・経済的な負担は、より
大きいことになります。
高齢者と違い、若いだけに体力もあるので、介護する側もエネルギーを消耗して
しまいます。

現在のところ、専門施設や情報の不足も深刻です。
少しずつですが、助け合いの輪は生まれつつあります。
自分たちだけで抱え込まず、いざというときはSOSを発信することが大切です。
また、介護する側も息抜きを忘れずに心がける必要があります。

■40歳未満の患者には介護保険も適用外
高齢者の認知症患者に対しては公的なサービスも充実していますが、若年認知症
対してはほとんど整備されていないのが実情です。
40歳以上であれば、介護保険の「特定疾病」の一つとして「初老期の痴呆」が認められ
ているので給付対象になっています。
しかし、対象となる疾病はアルツハイマー病や脳血管障害、ピック病などであり、
交通事故などによる頭部外傷による後遺症やアルコール脳症などは含まれません。
さらに40歳未満ならば、介護保険の対象外になってしまいます。
介護保険による給付を受けるためには要介護認定の申請が必要ですが、要介護度を
決める調査員が若年認知症について知らなければ、介護度を低く認定されるおそれも
あります。
認知症と一概にいっても、アルツハイマー病とピック病によって介護の対応も異
なります。
特に施設側のピック病への無理解から入所を渋ったり、断るケースもあるようです。


<参考および引用サイト>
若年性認知症~働き盛りにしのび寄る「認知症
http://www.health.ne.jp/library/5000/w5000393.html

<参考サイト>
知症を知るホームページ www.e-65.net(エーザイ
http://www.e-65.net/
呆け老人をかかえる家族の会
http://www.alzheimer.or.jp/jp/kaigo/boke_kaigo.htm
明日の記憶 公式サイト
http://www.ashitanokioku.jp/
<参考資料>
イメージ 1

朝日新聞・夕刊 2009.2.9 「若い人のもの忘れ」

<番外編>
■痴漢漫画家(45歳)、プロ顔負けの似顔絵で御用
http://www.sanspo.com/shakai/news/090208/sha0902080503002-n2.htm
漫画の神様、手塚治虫もビックリ!?のベレー帽愛用の漫画家が“マンガ”で手配&
逮捕された。
調べでは、○○容疑者は、○○市内を走る路線バスの中で、帰宅途中の○○市の女子
高生の胸を触った疑い。

■○○高裁支部の裁判官(52歳)逮捕、高速バス内で短大生触った疑い 
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090209-OYT1T00105.htm?from=main1
○○高裁の丸々事務局長は「裁判官逮捕の情報に接して驚いている。早急に事実関係
の確認に努めたい」とのコメントを出した。
<コメント>
こういった事件の犯人はピック病かも知れません。
こういった犯罪も若年性認知症と診断されたら多分無罪です。