骨粗鬆症の画期的な新薬

骨粗鬆症高齢化社会の進行する日本にとって国民病という位置づけさえあります。
現在の治療薬の中心は活性型ビタミンD製剤とビスホスフォネート製剤です。
昨日の新聞にその2つの薬剤に加わる可能性のある薬剤が開発されそう、という
記事が出ていました。
従来の薬剤と併用が出来るとのことで大いに期待できそうです。

骨粗鬆症の画期的な新薬候補、発見 大阪大

■国内に1千万人とも言われる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や、関節リウマチの
画期的な新薬の候補を、大阪大と米国立保健研究所のチームが発見、
8日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。脂質の一種で、骨を壊す細胞を、
骨から引き離す働きをする。

■骨を作る細胞と壊す細胞(破骨細胞)のバランスが崩れると病気になるが、破骨
細胞が骨の中で働く仕組みはよくわかっていなかった。

■阪大免疫学フロンティア研究センターの石井優准教授らは、生きたマウスの骨の中
を見ることができる新しい顕微鏡を開発し、骨を壊す細胞の動きを観察した。
その結果、血液中に含まれる脂質の一種「スフィンゴシン1リン酸」(S1P)に、
破骨細胞を血管へ引き戻す働きがあることを突き止めた。

■チームは、免疫抑制剤として海外で臨床試験の最終段階まで進んでいる薬に、S1P
と同じ仕組みで働くものがあることに注目。
この薬を骨粗鬆症のマウスに投与したところ、骨の破壊が6割軽減されることがわかった。

■この薬は、冬虫夏草の成分をもとに作られたもので、S1Pより強い働きをもつ。
■石井准教授は「すでに人の薬として開発中なので安全性は高い。骨粗鬆症や関節
リウマチ、がんの骨転移など骨が壊れる病気の患者に有望だ」と話している。

イメージ 1

マウスの頭蓋骨(厚さ0.1ミリ)の内部を見た画像。緑色に光っているのが骨を壊す細胞
大阪大学、米国立保健研究所提供)

出典 asahi.com 2009.2.9 
版権 朝日新聞社

<追加>
■効く仕組みが既存薬と異なるため、併用すれば骨折予防につながるなど症状を大幅に
軽減できるという。
■生きたマウスの破骨細胞が動く様子を、世界で初めて観察した。
■S1Pと似た構造で、破骨細胞を骨から引き離す作用のあるフィンゴリモドという
化合物を、骨粗鬆症のモデルマウスに投与した。
■フィンゴリモドは米国で別の病気向けに臨床試験が進んでおり、安全性も高いという。
日経新聞・夕刊 2009.2.9

<番外編>
経口骨粗鬆(しょう)症治療薬による顎骨壊死は予想以上に多い
■経口骨粗鬆(しょう)症治療薬として処方されることの多いビスホスフォネート製剤による
顎骨壊死(osteonecrosis of the jaw)発症率は、これまで考えられていたよりも多いこと
が、新しい研究によって示唆された。
■同製剤は、骨粗鬆症患者の骨折リスクを低減し骨量を増加させたり、癌(がん)が骨転移
した患者や多発性骨髄腫患者の骨の“ターンオーバー”を遅らせるために用いられる。
■顎骨壊死は、疼痛や軟部組織の腫脹、感染、歯のぐらつき、骨の露出を特徴とし、その発現
リスクは、ビスホスフォネート製剤の高用量静脈注射(静注)では高いが、経口剤では
“ごくわずか”であるとされていた。
■米南カリフォルニア大学(USC)歯学部(ロサンゼルス)臨床歯科助教授のParish
Sedghizadeh博士は、以前は年1回であった顎骨壊死の新規症例が週1~4回みられるように
なったため、今回の研究に踏み切った。
■歯学部の電子カルテデータベースを検索した結果、処方頻度の最も多い経口ビスホスフォ
ネート製剤であるアレンドロン酸ナトリウム水和物(商品名:フォサマックなど)の服用
患者208例中9例に進行中の顎骨壊死が認められ、有病率は約4%であった。
全例、抜歯など何らかの歯科処置を行っており、顎骨壊死は同薬を1年間服用した症例でも
認められ、抜歯後の発症頻度が最も高かった。
■Sedghizadeh氏は、同薬によって抜歯後の露出した骨に細菌が付着しやすくなると推測
している。
■USC歯学部では現在、全例のスクリーニングを実施しており、紹介受診の症例を除き合併症
はみられないという。
■米ユニバーシティ病院University Hospitalsケースメディカルセンター・マクドナルド女性
病院(クリーブランド)のJames Liu博士は「今回の知見は経口ビスホスフォネート製剤を
服用している女性に服用中止を促すものではなく、これまで考えられていたよりも副作用の
発現頻度が多いことを示したもの」と述べている。
■フォサマックを製造している米メルク社では「今回の研究は方法等に問題があり、データに
信頼性がない。1万7,000人以上の患者を対象とした比較試験で顎骨壊死は報告されていない」
としている。
http://www.e-expo.net/world/2009/01/post_140.html
出典 HealthDay News 2008.1.1


<自遊時間>
サラリーマン川柳の入選作が発表されました。

円高を実感したいが円が無い
コスト下げ やる気も一緒に 下げられる
金融危機 慣れたものです 我家では
円高を 実感したいが 円が無い
子供らに また教えてる 総理の名
投げ出すな! 国とは違う 学業は 
妻からは いつも低額 給付金
俺もだよ 何も言えねぇ この家じゃ
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090209AT1G0902T09022009.html

円下げて! ドル上げないで 株上げて!
久しぶり ハローワークで 同窓会
バラ撒(ま)きを 批判しつつも 待ちわびる
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090210k0000m040050000c.html

チェンジしろ! 怒鳴った部長がチェンジした
破綻(はたん)した俺(おれ)の小遣い支援なし
ダメもとで辞めた会社を受けてみる
朝バナナ効果があったのお店だけ
しゅうち心なくした妻はポーニョポニョ
遼君に生涯賃金追い越され
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009020900605

女房が 見つけてしまった 埋蔵金」と家庭でも問題になった。
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009020901000495.html

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