足のむくみ

血管の赤信号! むくみ根本改善術
http://cgi2.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20070207
からの紹介です。(一部改変)


「看護師さんたちの足のむくみ」

看護師さんたちの足は、1日の仕事でどれくらいむくむのでしょうか。
むくみは、足の血液の流れが悪くなって、水分がたまってできます。
では、どれくらいの水分が溜まってしまうものなのでしょうか?
勤務終了後、足の体積を測るガッテン流のむくみ測定器で調べてみると、最も多い人
は片足で198ミリリットルむくんでいました。
しかし、むくみやすい人と、むくみにくい人では、足の何が違うのでしょうか? 
そこで、都内の血管外科クリニックで看護師さんたちの足を診察すると、むくみ度
5位の人の足に、「静脈瘤(じょうみゃくりゅう)」が見つかりました。

<静脈瘤とは>
静脈瘤とは、足の静脈に血液が溜まる状態が長時間続いた結果、血管が皮膚の表面
に浮き出てしまうものです。
静脈瘤には、表面の血管にできる「クモの巣状静脈」や、内部の太い血管にできる
「伏在静脈瘤」などがあります。
ところが、むくみ度が1位から4位の人の足は、静脈瘤は見当たりません。
そこで、超音波で足の血管を詳しく見てみることにしました。

「上位の人の足の静脈を検査」

むくみ度が1位から4位の人の足を詳しく診察したところ、表面上は静脈の血管が
浮き出ていないように見えていましたが、内部では静脈に血液の逆流があり、初期
の静脈瘤の状態でした。
動脈では心臓から送り出される血液が流れ、静脈は心臓へと帰る血液が流れます。
しかし、圧力の弱い静脈の血液が足から心臓へと帰っていくためには、逆流を防ぐ
ための仕組みが必要になります。
その仕組みこそが、静脈に備わっている「弁」です。

静脈の弁を超音波エコーで見てみると、血液が流れるときにだけ開き、流れが止ま
ると閉じる様子がはっきり分かります。
足の静脈の血流が逆流する人の足では、弁が壊れてしまっていました。
そのため、血液の逆流を防ぐことができず、血液が溜まりむくみやすくなってしま
うのです。
血液がたまった状態が長く続くと、次第に血管が膨らみ、表面に浮き出てきます。
弁は、一度壊れると直ることはありません。

次のような人は静脈瘤になりやすいといえます。
○立ち仕事が多い人
○妊婦(血液が上体に戻りにくくなるため。また、ホルモンのバランスが崩れる
ためにできやすくなるという説もある)
○遺伝(血縁者に静脈瘤の人がいると、静脈瘤になりやすい)
※静脈瘤の検査は、専門の機械がある血管外科の病院で受診できます。
保険も適用されます。

<静脈瘤対策・弾性ストッキング>
締め付ける圧力が高い、静脈瘤対策のストッキングがあります(一般には弾性
ストッキングと呼ばれています)。
医療用で、専門の病院で入手可能です。
足首の圧力が高く、上に向かって弱まることから、静脈の血液を流しやすく
する作用があります。

<血流が滞ると血栓ができることも>
静脈の血液の流れが滞ると、水分が血管の外へと染み出すため、血液の粘度が
高まり、静脈の中で血栓ができてしまうこともあります。
急に動いたりして血栓が静脈の流れに乗ると、肺の動脈をふさぎ(肺動脈血栓
塞栓(そくせん)症)、死亡してしまうこともあります(いわゆるエコノミー
クラス症候群)。

「血流を活発にする方法は?」

では、静脈の血流をよくするにはどのようにすればよいのでしょうか。
3人の主婦は、
[1]足湯 
[2]足の指のマッサージ
[3]足を5分ほど椅子に乗せる 
という3つの自己流の方法を行っていました。
しかし病院で計測したところ、3つともあまり血流があがらないことがわかり
ました。

※足湯、マッサージ、足あげは、長時間行ったり、やり方次第ではむくみの
予防になる場合もあります。
ところが、病院の先生から教えていただいた“ある方法”を試してみると、
血流の速さが10倍以上になりました。その方法とは「足首曲げ」です。
足首を上に向けて曲げるだけで、一気に10倍以上も血液が早く進むように
なったのです。
足首を軽く曲げたとき、ふくらはぎの筋肉が静脈を押すことによって、
ポンプのように血液を流してくれます。これは「筋肉ポンプ」と呼ばれて
います。
そして、人間の体にはもう1つポンプがあります。

「もう1つのポンプとは?」

エコノミークラス症候群の予防法などを研究している研究者のもとで、2人
の女性に足の血流をあげる方法を実践してもらいました。
1人は、足首を曲げて筋肉ポンプを働かせたところ、足の体積が18ミリ
リットル減りました。
もう1人は、足首は曲げず腹式呼吸をしながら、荒川静香選手のイナバウア
ーのように後ろに反り返りました。
この体操を続けたところ、やはり足の体積が減りました。
この体操では、どんな体の“ポンプ”が使われたのでしょうか?

※本来イナバウアーは、左右のつま先を180度開いて滑るフィギアスケート
の技の一種です。上体を後ろにそらす姿勢を付け加えた荒川選手のイナ
バウアーは「レイバック・イナバウアー」と呼ばれています。
もう1つのポンプの名は「おなかポンプ」です。腹式呼吸をすることで静脈
の流れをよくするポンプなのです。

※血液の環流を良くする「おなかポンプ」は、通常「呼吸ポンプ」と呼ばれ
ています。
荒川選手のイナバウアーのような姿勢と併せて行うことから、番組では
「おなかポンプ」と呼ぶこととしました。

<おなかポンプのメカニズム>
腹式呼吸をするとき、おなかの中の圧力は、息を吸ったときに強まります。
すると強まった圧力によって、おなかの静脈がいったん押されます。
そして反対に息を吐くと、圧力が弱まって、静脈の流れがよくなると考え
られるのです。

イナバウアーの姿勢は、全身運動による血流促進や、腹式呼吸をしやすく
するなどの作用から、静脈の還流をさらに高めてくれると考えられます。

<おなかポンプ+筋肉ポンプ>
むくみやすかった看護師さんたちに、仕事の合間に、足首曲げと腹式呼吸
の体操をしてもらいました。その結果、勤務の前後での足の体積の差
(むくみ)は、対策をとらなかった前回よりも小さくなりました
(むくみにくくなりました)。

実習コーナー「自分のポンプを使ってむくみ解消法」

背あてが短く、しっかり固定されている(キャスターのない)イスを用意
してください。

<筋肉ポンプ(足首曲げ)>
1.足は、軽く前に出す。
2.ゆっくりと足首を上に曲げる。

※ポイントは、ふくらはぎの筋肉を動かしているという意識を持つこと。

※5回~10回を1セットとして、30分~1時間に1セットぐらい行うと
効果的。

<おなかポンプ>
※注意:日ごろあまり体を動かしたことがない方や、腰を痛めたことが
ある方は、急に行うと、腰を傷めたり、椅子からすべったりしてしまう
おそれもあります。
充分注意して行ってください。
1.腹式呼吸をして、後ろに反り返る。
※反り返りながら息を吸い、元に戻りながら吐くとやりやすいです。

※筋肉ポンプとおなかポンプを両方行うと、より効果的です。





以下は新聞記事からです。
出典 日経新聞・夕刊 2009.5.22
版権 日経新聞

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「足のむくみ」
■むくみとは「皮膚の下に水がたまった状態」で、血液の水分(血しょう)
が血官から漏れでて起こります。
■血管から漏れ出た水分は、酸素や栄養を細胞に送り込み、老廃物を引き
取って再び血管に戻ります。
この戻る水の量が少ないか、漏れ出る水の量が多いと、皮膚の下にたまっ
てしまいます。
これがむくみの正体です。
■夏が近付いて気温が高くなると、血管が拡張して血液がたくさん足に流
れ、足がむくみやすくなります。
■むくみと同時に「尿の出が悪い」「息切れがする」「体重が急に増えた」
などの症状があれば、心臓や腎臓などが悪いことがあります。
顔や手がむくむときも注意が必要です。
■片方だけがむくむのは、足の静脈瘤やリンパ浮腫の可能性があります。
■血管から漏れ出た水分は、ほとんどは血管に戻りますが、一部はリンパ
に吸収されます。
リンパ浮腫の95%はがんの手術後におきます。
乳がんや子宮がんなどを患った40、50歳代以上の女性患者に多い傾向に
あります。
■「足は第2の心臓」といわれます。
筋肉が動くと心臓と似たポンプの役割を果たし血液を送り出します。
しかし女性や高齢者は筋肉量が少なく、このポンプの役割が弱いため、漏れ
出た水が血管に吸収されにくくなります。
高齢者の皮膚のたるみ、女性のホルモン変動なども関係します。
■むくみを予防するには、まずは長時間同じ姿勢でいることを避けます。
立ち仕事や座り仕事が続く場合、少し歩いたり、足を上げる姿勢で休憩した
りするようにしましょう。
手軽にできる運動としては、座ったまま足のつま先を上げ下げするのが効果
的です。
■むくんだ足を圧迫するストッキングや靴下も市販されています。

  小林製薬「ムクミキュア」  段階的に足を締め付ける編み方が特徴。
                血流を促進する特徴があります。
立ち仕事の多い接客業などには、ふくらはぎを圧迫するハイソックスタイプ
が向きます。
病気によるむくみの場合には、圧迫力の強い医療用ストッキングが医療機関
で入手することが出来ます。


<関連サイト>
足のむくみ予防広場
http://www.mukumi-yobou.jp/

「足のむくみ予防研究会」が発足
http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20080604/101890/