脱け毛・薄毛の原因遺伝子

脱け毛・薄毛の原因遺伝子を特定 国立遺伝学研究所など

抜け毛や薄毛の原因になる遺伝子を、日本の研究チームがつきとめた。
この遺伝子が働かないと、毛をつなぎとめるのに必要なたんぱく質が減り、毛の表面
がつるっとした形になって毛根から抜け落ちてしまうという。
今後の新しい脱毛治療の糸口になるかもしれない。米科学アカデミー紀要に報告した。

抜け毛や薄毛は様々な原因で起こる。男性ホルモンや加齢の影響が知られているが、
今回は性別に関係ない。

国立遺伝学研究所や慶応大のチームは、神経細胞に関係する「Sox21」という
遺伝子の働きを、この遺伝子を人工的になくしたマウスで調べていた。
すると、このマウスは生後15日ごろから脱毛し、全身の毛が抜けた後、再び発毛
した。
発毛するが、毛が非常に抜け落ちやすかった。

電子顕微鏡で見ると、毛の外側の「キューティクル」部分で、ケラチンという
たんぱく質が減っていることがわかった。
キューティクルの表面はふつう、ウロコのような形で毛根にひっかかるように
つながっている。
だが、このマウスでは表面が平らだった。

Sox21やキューティクルは人の髪の毛にもあり、Sox21がうまく働かなく
なると脱毛が起きるかもしれない。国立遺伝学研究所の相賀裕美子教授(マウス発生
遺伝学)は「脱毛に悩む人の助けになる研究に発展させたい」と話している。

出典 朝日新聞・朝刊 2009.8.9
版権 朝日新聞社